肝移植について
肝移植とは
末期肝臓病の悪くなった肝臓を手術によって他の人の肝臓と交換する唯一の根治療法です。
末期肝臓病
末期肝臓病の原因には様々な疾患がありますがその症状は、大きく5つに分けられます。
- 黄疸
黄疸の指標には、ビリルビン値があります。
ビリルビンは肝臓から腸へ排泄される胆汁の色素のことで、肝臓が働かなくなると胆汁は腸へ排泄できなくなるため血中に入り、皮膚や目が黄色くなったり、かゆみが出たりします。
- 腹水
肝臓が悪くなって硬くなる(肝硬変)と、血液が肝臓の中を通りにくくなり、肝臓の近くにある細い血管を通って心臓に戻ろうとします。しかし、肝臓に直接入る血管に無理がかかり、そこから血中の水分やタンパクなどの成分が血管の外に滲みだしてきます。その量が増えるとお腹に水が貯まり、お腹も大きく張ってきます。また、血中のタンパクが減少します。
- 食道静脈瘤
肝臓が硬くなってくると、門脈からの血流は肝臓以外の経路を通って心臓にもどろうとします。特に、食道の細い血管を通って心臓にもどろうとするときは無理がかかり、細い血管が風船のように一部ふくれ破れやすい状態になります(静脈瘤)。これが破けると大出血し命をおとすこともあります。
- 肝性脳症
腸で作られたアンモニアという有害な物質は、肝臓で分解され無害となります。しかし、末期肝臓病では、分解する力がないために、脳へいってしまいます。それで頭がもうろうとしたり、訳が分からないことを言ったり、意識を失ったりということが起こります。
- 出血傾向
肝臓は血の成分の一つである、血を止める役割をする物質を作ったり、また、血を止める働きを助けたりしています。肝臓が働かなくなると血を止めるための物質が少なくなってしまいます。そこで、血が止まりにくくなったり、出血しやすくなります。少しぶつけただけでも青あざができたり、鼻血が出やすくなり、一度血が出ると止まりにくくなったりします。
他の人の肝臓と交換
慢性肝不全になった肝臓は、残念ながら健康な肝臓に戻すことはできません。
また、肝臓のはたらきを肩代わりしてくれる人工臓器は、いまだ開発されておらず、移植しか助かる手立てはありません。
肝移植を大きく分けると
生体部分肝移植と脳死肝移植の2つがあります。
生体部分肝移植
生体部分肝移植では、こどもには左葉か左葉の一部を、おとなには右葉か左葉をドナーより提供してもらい、患者さんに移植します。
肝臓はかなりの予備能力と変わった再生能力を持っています。肝臓は一部分切除して小さくなっても、2~3カ月でその人の体に必要な大きさに戻りますので、移植した人も手術前に比べ断然に元気になれます。普通の生活が送れるようになります。
もちろん、ドナー(提供した人)も問題なく日常生活を送ることができます。
脳死肝移植
脳死で亡くなった方の肝臓を移植するもので、レシピエント(臓器をいただく方)はあらかじめ日本臓器移植ネットワークに登録しておき、肝臓の提供があるのを待つことになります。
肝移植の適応
移植の適応疾患は、急性肝不全、慢性肝不全および肝腫瘍の3つに大別されます。
<進行性・不可逆性肝疾患で下記の症状を併発し、予後が期待されないか、もしくは日常生活が著しく障害されている場合>
適応
・高度黄疸
・肝腎症候群
・再発性胆管炎
・成長障害 |
・非代償性腹水
・肝腎症候群
・特発性細菌性腹膜炎
・栄養不良 |
・血液凝固異常
・上部消化管出血
・骨病変
・肝悪性腫瘍 |