エビデンス:ASCOT-BPLA

※本コンテンツはメディカルレビュー社 『高血圧ナビゲーター第2版』 第6章EBMより、出版社の承諾のもと一部改変し掲載しております。
※本コンテンツに掲載された記事には海外で実施された試験が含まれており、本邦で承認されている効能・効果および用法・用量とは異なる場合があります。
Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Blood Pressure Lowering Arm
川名正敏(東京女子医科大学附属青山病院循環器内科)
ASCOT-BPLAは古典的な降圧薬:愍遮断薬+利尿薬に比べて“新しい”降圧薬:Ca拮抗薬+ACE阻害薬が冠動脈疾患発症予防により有効であることを示した初めての試験である。
目的と背景
ASCOT-BPLA1)試験は、長時間作用型Ca拮抗薬アムロジピンを基礎治療薬としてACE阻害薬を併用する“新しい”降圧療法と、欧米では以前から使用されてきたβ遮断薬アテノロールを基礎治療薬としてこれに利尿薬を併用する“古典的な”降圧療法による冠動脈疾患(CAD)抑制効果を比較検討する目的で行われた。
対象は、心筋梗塞など冠動脈疾患の既往がなく、高血圧以外の心血管リスク因子を3つ以上有する高血圧患者19,257例で、これらをランダムにアムロジピンベース治療群(9,639例)またはアテノロールベース治療群(9,618例)に割り付けた。
結果
平均5.7年のフォローアップの結果、両群とも血圧値の低下は良好であったが、全試験期間を通じてアムロジピンベース治療群における血圧値はアテノロールベース治療群の血圧を下回っていた。
本試験ではアムロジピンベース治療群ではACE阻害薬であるペリンドプリルの併用を、アテノロールベース治療群では利尿薬であるベンドロフルメチアジドの併用を認めている。全試験期間を通じた両群の併用率は、アムロジピンベース治療群では49.5%、アテノロールベース治療群では54.9%であり、アムロジピンベース群のほうが単独使用で良好な血圧コントロールの得られた症例が多かった。
本試験の一次エンドポイントは「非致死性心筋梗塞+致死性冠動脈疾患」である。この一次エンドポイントの発症率は両群間で有意差は認められなかったが、アムロジピンベース治療群ではアテノロールベース治療群に比べて10%のリスク低下が認められた。
二次エンドポイントの「全死亡」では11%、「致死性および非致死性脳卒中」では23%、「全冠動脈イベント+血行再建術」は16%の有意なリスク低下がアムロジピンベース治療群で認められた(図)。同様に三次エンドポイントである「新規糖尿病の発症」は30%のリスク低下がアムロジピンベース治療群で認められた。

図 二次エンドポイントの比較
対象:高血圧症患者 119,257例(40〜79歳)。
方法:高血圧患者をアムロジピンをベースとした併用療法群、またはアテノロールをベースとした併用療法群にランダムに割り付け、心血管系イベント発症を検討した。平均フォローアップ期間は5.5年。
結論
これらの結果から、アムロジピンベース治療群とアテノロールベース治療群の降圧効果の差はわずかであったにもかかわらず、冠動脈疾患発症抑制作用の差はきわめて大きいことが示され、アムロジピンベースの治療による降圧とは独立した作用機序に基づく冠動脈疾患発症予防作用の存在が推定された。
また、これと並行して行われたASCOT-LLAを合わせた2×2解析2)から、アムロジピンベース治療群にスタチンを加えたほうが、アテノロールベース治療群にプラセボを加えた群に比べて「致死性心筋梗塞+非致死性冠動脈疾患」は48%、「致死性および非致死性脳卒中」は44%のリスク低下を示すことが明らかになっている。これはアムロジピンを用いた降圧療法とスタチンを用いた脂質低下療法のシナジー効果を示すものとして注目される。
略語
ASCOT-BPLA : The Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Blood Pressure Lowering Arm
ASCOT-LLA : The Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Lipid Lowering Arm
References
- Dahlf B et al : Lancet 366 : 895-906, 2005
- Sever PS et al : Lancet 361 : 1149-1158, 2003

