ページ内を移動するためのショートカット

2006年7月20日
報道関係各位
ノバルティス(スイス)が発表しましたリリースの日本語要約をお届けします。
世界初の経皮吸収型製剤であるノバルティスのリバスチグミンのパッチ剤
アルツハイマー型認知症の有望な治療薬として、新たな選択肢となる可能性が示された
2006年7月19日、スイス・バーゼル – 全世界で1,500万人以上が罹患していると推定される、変性脳疾患であるアルツハイマー型認知症に対する世界初の経皮吸収型製剤であるリバスチグミン(海外での販売名:エクセロン®)のパッチ剤の国際的臨床試験で、本剤が新たに有望な治療法であることが示されました1。
アルツハイマー型認知症患者1,195例を対象とした6ヵ月間投与のIDEAL試験において、本剤は種々の臨床症状に対し有効性を示し、目標用量での忍容性も良好でした。この結果は、スペインのマドリッドで本日開催された第10回国際アルツハイマー型認知症および関連疾患会議(International Conference on Alzheimer’s Disease and Related Disorders (ICAD))において発表されました。
プラセボ群と比較して、リバスチグミンのパッチ剤を投与した患者さんでは、記憶力の大幅な改善が認められ、日常生活1を維持しやすくなりました。また、プラセボと比べて集中作業を最大20秒早く終わらせることができ、治験医師は、パッチ剤を投与した患者さんの方が全般的に良い結果であったと判断しました。
さらに、IDEAL試験において実施したアンケート調査によると、試験に参加したアルツハイマー型認知症患者さんの介護者の70%以上が、投与スケジュールを守りやすい、使い勝手が良い、日常生活の中で支障となり難いなどの理由から、従来のリバスチグミンの経口剤であるカプセル剤よりもパッチ剤の方が好ましいと回答しました2。
本治験で治験責任医師を務めるカロリンスカ研究所(スウェーデン・ストックホルム)のベン・ウィンブラッド(Bengt Winblad)教授は、次のように述べています。「パッチ剤の登場で、アルツハイマー型認知症患者さんやその家族にとって重要な治療選択肢が一つ増えました。目標用量のリバスチグミンのパッチ剤を投与したところ、有効性は最高用量のカプセル剤を投与した場合と同等であり、しかも吐き気や嘔吐といった症状は3分の1程度に留まっています。したがって、アルツハイマー型認知症治療におけるリバスチグミンの投与方法としては、パッチ剤が最適と言えるかもしれません」
経皮吸収型のパッチ剤は、持続的にかつコントロールしながら、一定用量の薬物を皮膚から吸収させるよう設計されています。このため、血中の薬物濃度が一定に保たれ、副作用が軽減される結果、高用量での投与が可能となります。また、薬剤の使用状況が一目でわかるため、介護者にとっても服薬順守状況の把握が容易になるという利点もあります。
ノバルティス社のグローバル開発部門責任者のジェームズ・シャノン(James Shannon)は次のように述べています。「アルツハイマー型認知症の治療薬としては、かねてより経口剤という選択肢がありましたが、パッチ剤は、患者さんにとってパッチ剤ならではの利点を提供することができます。リバスチグミンのパッチ剤が承認されれば、服薬コンプライアンスの改善に加え、患者さんと介護者の双方にとってQOLの向上が期待されます」
リバスチグミンは、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症および パーキンソン病に伴う認知症の治療薬として、世界各国で承認されているコリンエステラーゼ阻害剤です。規制当局に対するパッチ剤の承認申請は2006年末に予定されていますが、このようなIDEAL試験結果は、申請をサポートするものであると言えます。
IDEAL試験について
IDEAL (Investigation of Transdermal Exelon in Alzheimer’s disease)試験は、中等度のアルツハイマー型認知症患者さんを対象とし、パッチ1日1回投与の有効性、安全性、忍容性を従来のリバスチグミンの経口剤であるカプセル剤(1日2回投与)と比較する24週間の多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ及び実薬対照試験です。主要評価項目としては、認知機能の評価尺度であるADAS-cog (Alzheimer’s Disease Assessment Scale cognitive subscale)およびアルツハイマー型認知症患者さんの全般的な臨床症状の変化を示す評価尺度であるADCS-CGIC(Alzheimer&s disease Cooperative Study – Clinical Global Impression of Change)を用いています。
IDEALは世界21ヵ国、100施設を拠点に、記憶障害あるいは認知症の評価方法として最も広く用いられているミニメンタルステート検査(MMSE)のスコアが10~20ポイントであった50歳~85歳の患者1,195例を対象として実施されました。リバスチグミンは、カプセル剤(6mg、1日2回)として、あるいは大きさの異なる2種のパッチ剤(24時間で9.5mgを放出するパッチ剤10、および24時間で17.4mgを放出するパッチ剤20)として投与されています1。
いずれの大きさのパッチ剤もプラセボと比べて優れた有効性を示しました。また、目標用量であるパッチ剤10とカプセル剤の最高用量とは、有効性においてはほぼ同等でしたが、コリンエステラーゼ阻害剤の副作用として広く知られている吐き気、嘔吐の発現率もカプセル剤では23.1%、17.0%であったのに対して、パッチ剤10ではそれぞれ7.2%、6.2%と3分の1程度に留まっています。なお、パッチ剤20もカプセル剤と比べて有意差はなかったが認知スコアに改善が見られ、しかも忍容性は同等であるという結果が出ています。
皮膚局所における忍容性は良好で、試験中に中等度、重度の発赤が認められた患者さんの割合はパッチ剤10、パッチ剤20の各投与群でそれぞれ 7.6%と6.2%でした。また、入浴や気温が高いなど日常生活の様々な状況においても、良好な皮膚貼付性を24時間維持しました。
リバスチグミンについて
リバスチグミン(海外での販売名:エクセロン®)は、1997年以降、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症治療薬として世界70ヵ国以上で広く使用されており、米国およびヨーロッパにおいて、アルツハイマー型認知症とパーキンソン病に伴う認知症の両方の適応症が承認された唯一のコリンエステラーゼ阻害剤です。
リバスチグミンは、脳内神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素であるコリンエステラーゼの阻害薬の一種で、世界中で用いられているコリンエステラーゼ阻害剤の中でも、アセチルコリンの分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼの双方を阻害する唯一の薬剤です。この特徴により、リバスチグミンにはアセチルコリンエステラーゼのみを阻害する薬剤にはないメリットが期待できます。記憶力と思考力の両方の維持、行動障害の改善、日常生活の各場面における対応力の改善の可能性があり、それは、患者さんが周囲の人々とよりよいコミュニケーションを図り、社会に参画し、趣味や日常生活を楽しむことへの支援を示唆するものです。3,4。
アルツハイマー型認知症について
アルツハイマー型認知症は、進行性の疾患であり、脳が変性・萎縮することで、記憶や思考、行動が減退します。世界ではおよそ1,500万人の人々、65歳以上では2~6%の人が発病していると言われている最も発症頻度の高い認知症であり、この年齢層において、心血管系疾患、がんに次ぐ3番目の死亡原因となっています5。2003年における全世界のアルツハイマー型認知症にかかる年間総費用は、1,560億ドルと推定されています5。
References
# # #
ノバルティスについて
ノバルティス は、スイス・バーゼル市に本拠を置く医薬品とコンシューマーヘルスの世界的リーダーです。ノバルティス グループ全体の2005年の売上高は322億米ドル(約3兆5,433億円)、当期純利益は61億米ドル(約6,755億円)、研究開発費は48億米ドル(約5,330億円)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは、約96,000人の社員を擁しており、140カ国以上で製品が販売されています。