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2008年12月22日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
ノバルティス(スイス)が発表しましたリリースの日本語訳(要約)をご参考までにお届けします。
ノバルティスのエベロリムス、第III相臨床試験開始へ
転移性乳がん患者さんで
ハーセプチン®*への耐性を克服する可能性
2008年12月12日、バーゼルこの度発表された2つの早期臨床試験の新しいデータによると、エベロリムス(開発コード:RAD001、海外で承認申請中の製品名「Afinitor®」) が、HER2陽性転移性乳がん患者さんのハーセプチン® (一般名: トラスツズマブ) に対する耐性を克服する可能性が示されました1,2。こうした結果を受け、ノバルティスは、エベロリムスの乳がん治療における可能性を検証するための第III相臨床試験を開始する予定です。
これら2つの第I相臨床試験の結果は、第31回サンアントニオ乳癌シンポジウムで発表されたものです。試験結果の初期報告は、今年開催された米国臨床腫瘍学会 (American Society of Clinical Oncology: ASCO) の年次大会で発表されています。
1本目の第I相臨床試験の最新のデータは、ハーセプチン耐性が確認されているHER2陽性転移性乳がん患者さんに対して、ハーセプチンと週1回のタキソール® (一般名:パクリタキセル) ** にエベロリムスを併用した場合、腫瘍の増殖が77%の患者さんで抑制されることを示しています。さらに、今回のデータでは、完全奏効した症例も認められています。
2本目の第I相臨床試験の最新データでは、多数の前治療を受けハーセプチンに耐性となったHER2陽性の転移性乳がん患者さんに対して、ハーセプチンとナベルビン® (一般名:ビノレルビン)***にエベロリムスを併用することで、62%の患者さんで腫瘍の増殖が抑制され、エベロリムスの抗腫瘍効果が期待できることが分かりました。
米国アトランタにあるエモリー大学医学部のルース・オリーガン博士 (Ruth O'Regan, MD, Emory University School of Medicine, Atlanta GA) は次のように述べています。「今回発表されたデータによって、エベロリムスがハーセプチン耐性を克服し、患者さんの治療への反応を回復させる可能性が確認されました。これらはハーセプチンに耐性となったHER2陽性の転移性乳がん患者さんにとって重要な結果です」。
前臨床試験データでは、mTOR阻害剤であるエベロリムスが、ハーセプチン耐性を形成する経路に作用し、耐性となった患者さんの反応を回復させる可能性があることが示されました。エベロリムスは、直接的な抗腫瘍効果と、乳がん発症経路のうち最も重要な2つの経路であるerbB受容体とHER2が関わる経路に作用することによって効果を発揮します。
ノバルティス オンコロジー事業部のエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼グローバル開発責任者であるアレッサンドロ・リバ博士 (Alessandro Riva, MD, Executive Vice President & Global Head of Development, Novartis Oncology) は次のように述べています。「これらの臨床試験によって、転移性乳がんの患者さんに対するエベロリムスのベネフィットが示されたことを嬉しく思います。ノバルティスは、乳がん以外のがん種におけるエベロリムスの可能性とともに、乳がんの新しい治療法としての、ハーセプチンとエベロリムス併用の可能性をさらに評価していきます」。
ノバルティスは、HER2陽性転移性乳がん患者さんを対象として、ハーセプチンと化学療法に併用した場合のエベロリムスの可能性を検証する国際第III相臨床試験を開始する予定です。この試験には日本も参加を検討しています。
1本目の試験の詳細
この試験は、多数の前治療を受けハーセプチンに耐性となったHER2陽性転移性乳がん患者さんを対象としたオープンラベル・多施設・用量漸増第I相試験で、タキソール (第1日目、8日目、15日目、以降28日毎に60分以上かけて静注で80 mg/m2 を投与) とハーセプチン (30分以上かけて静注で2 mg/kgを毎週投与) との併用で、エベロリムスの連日投与 (5 mg, 10mg) と週1回投与(30 mg, 50 mg, 70mg) を評価しました1。
投与群全体の病勢コントロール率は77%でした (完全奏効/部分奏効/16週間以上の病勢安定)。多数の前治療を受けており、有効性評価が可能な患者数は全体で22名で、エベロリムス1日5 mg/日投与群に5名、エベロリムス1日10 mg/日投与群に8名、エベロリムス30 mg/週投与群に9名が割り付けされました。エベロリムス5 mg/日投与群は5名のうち1名に完全奏効、4名に部分奏効が見られました。エベロリムス10 mg/日投与群では、1名に部分奏効、6名に病勢安定、1名に進行が見られました。エベロリムス30 mg/週投与群は9名のうち3名に部分奏効、5名に病勢安定、1名に進行が見られました。最初の投与サイクルで生じた用量制限毒性は、エベロリムス5 mg/日投与群、エベロリムス10 mg/日投与群、エベロリムス30 mg/週投与群に、発熱性好中球減少症、口腔粘膜炎、錯乱がそれぞれ生じました1。治療に関連すると思われるグレード3または4の有害事象で、もっとも多く報告されたもの (≥10%) は、好中球減少症、リンパ球減少症、口内炎、白血球減少症、脱毛症、貧血でした。
2本目の試験の詳細
この試験は、オープンラベル・多施設・第I相試験であり、ナベルビン (第1日目、8日目に10~15分かけて25 mg/m2を静注、21日毎に繰り返す) とハーセプチン (30分以上の静注で2 mg/kgを毎週投与)との併用でエベロリムスの毎日投与 (2.5 mg, 5 mg, 10 mg) と週1回の投与 (20 mg, 30 mg, 50 mg, 70 mg) を評価しました。本試験は、タキサンによる前治療歴があり、ハーセプチン投与中または投与直後にがんが進行した患者さんを対象にしています。前治療としての化学療法レジメン数は、中央値3レジメン (範囲1~5)2でした。
投与群全体の病勢コントロール率は、62%で(完全奏効/部分奏効/16週間以上の病勢安定)、これまで、多数の前治療を受けていた患者さん34名を対象に評価が行われています (割付けはエベロリムス5 mg/日投与群15名、20 mg/週投与群6名、30 mg/週投与群13名)。5 mg/日投与群は、15名のうち1名に完全奏効、2名に部分奏効、9名に安定、3名に進行が見られました。20 mg/週投与群は、6名のうち1名に部分奏効、3名に安定、2名に進行が見られました。30 mg/週投与群は、13名のうち2名に部分奏効、9名に安定、2名に進行が見られました。5 mg/日投与群に生じた用量制限毒性は、グレード3/4の好中球減少症、グレード3の口内炎、倦怠感、食欲不振などでした。30 mg/週投与群に生じた用量制限毒性は、グレード3/4の好中球減少症のみでした2。エベロリムスの20 mg/週投与群には用量制限毒性は認められませんでした。治療に関連すると思われるグレード3/4の有害事象で、もっとも多く報告されたもの (≥10%) は、好中球減少症、口内炎、白血球減少症でした。
エベロリムスについて
「アフィニトール(RAD001)」は、1日1回の経口投与で、mTORタンパク(がん細胞の分裂と血管新生の中心的制御因子)を持続的に阻害することで、がん治療に新たなアプローチを提供する薬剤です。乳がんに加えて、腎細胞がん、神経内分泌腫瘍、リンパ腫、胃がん、肺がん、その他の及び結節性硬化症に対し、単独または既存の治療薬との併用による開発が進行中です。
がん領域において、エベロリムスの安全性と有効性のプロファイルはまだ確立されておらず、がん領域で製品化されるという保証はありません。
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、将来の結果が現在の予想と異なる場合があることをご了解下さい。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照下さい。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。ノバルティス グループ全体の2007年の売上高は381億米ドル(約4兆4,925億円)で、当期純利益は65億米ドル(約7,717億円)、研究開発費は64億米ドル(約7,552億円)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは、約98,000人の社員を擁しており、世界140カ国以上で製品が販売されています。詳細はインターネットをご覧下さい。http://www.novartis.com
参考文献