オンコロジー事業部門(がん領域)では、最新の科学を果敢に追究することで、がんを引き起こす遺伝的要因や免疫システムの反応をより高める方法を理解し、最終的に患者さんの病状の改善に貢献できると信じています。

ノバルティスは、がんのシグナル伝達経路への標的療法、免疫システムの働きを活用した治療法、併用療法による治療法等が、がん研究や新しい治療法の開発においてカギを握っていると考えています。また、患者さんにとってニーズが高く、ノバルティスのポートフォリオの中でも特に有望な「乳がん」「肺がん」「悪性黒色腫」「腎細胞がん」「血液腫瘍」の5つの領域に注力して研究を進めています。

標的療法 

がん領域で豊富なパイプラインを有するノバルティスは、標的療法のエキスパートとして、がんの遺伝子シグネチャーに注目しながら研究を進めています。ここでは、がんに最もよくみられるシグナル伝達経路の特定、その経路に作用する可能性が最も高い化合物のスクリーニング、その化合物の投与で効果が得られる可能性が最も高い患者さんを対象とすることが基本のアプローチとなっています。

がん免疫療法 

近年、免疫システムに対する理解が進み、がんの研究は大きく前進しました。ノバルティスでは、バイオテクノロジー企業と提携し、新たな標的やメカニズムに関する共同研究を行うなど、がん免疫療法の研究プログラムに投資をしてきました。2016年現在、免疫システムの一連の反応における重要なステップを標的とした7つのがん免疫薬の臨床試験を実施しています。また、他の大手製薬企業と協働し、既に発売されているがん免疫薬とノバルティスの分子標的薬の併用についても研究を進めています。重要性が増加し、治療が急速に進化をとげるがん免疫の分野への投資を続けていきます。

がんに対する免疫システムの反応:3つのステップ

ステップ1

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教育

免疫システムの樹状細胞はがんを異物と認識しますが、がん細胞には免疫の攻撃から逃れて自身を守る仕組みがあります。私たちは、樹状細胞がより正確にがん細胞を認識できるように教育することを試みています。

ステップ2

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活性化

教育された樹状細胞は、免疫システムの他の因子を防御モードにする必要があると判断します。そこで、樹状細胞はリンパ節でT細胞およびB細胞に複製・増殖するよう情報を伝えます。

ステップ3

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体内への移動

刺激されて活性化への準備が完了したT細胞およびB細胞は、標的となる腫瘍環境を検出するため、正常細胞と癌細胞を見分けながら巡回します。

ノバルティスは、これまで複数の領域で培った専門知識に加え、戦略的パートナーシップと幅広い製品ポートフォリオを活用することで、がん免疫薬を探索していきます。

キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法 

CAR-T細胞療法は、がん治療のための個別化された細胞療法です。CAR-T療法では、患者さんの血液からT細胞を採取し、細胞処理施設でCAR技術を用いて、T細胞の再プログラム化を行います。再プログラムされたT細胞(CAR-T細胞)を患者さんに輸注して戻すと、CAR-T細胞はがん細胞を含む標的タンパクを発現する細胞を特異的に攻撃する免疫システムとしての役割を担います。

ノバルティスは、ペンシルバニア大学(Penn)と提携し、がん治療における標的CAR-T細胞療法の研究、開発および商用化を共同で進めています。この共同研究は、Dr. Carl JuneのチームがPennで行った先駆的研究に基づいて開始されました。

ノバルティスのがん領域における戦略的パートナーシップおよび研究についての詳細は、「がん免疫」(英語)を参照してください。

併用療法 

がんが、複数の経路、またはひとつの経路内の複数のポイントの異常を通じて発生するということを理解した上で、がん患者さんにとって適切な併用療法をみつけることは、ノバルティスの研究にとって欠くことのできないアプローチの一つです。オンコロジー事業部門の研究者たちは、とりわけ悪性黒色腫、乳がんおよび肺がんの領域で患者さんによりいっそう有効な治療法を提供したいという思いのもと、種類の異なるがん免疫薬どうしの併用、がん免疫薬と分子標的薬の併用、あるいは分子標的薬どうしの併用にベネフィットがあると考えて研究を行っています。

ノバルティスでは、現在ポートフォリオにある分子標的薬、現在締結しているパートナーシップ、そしてがん免疫薬の製品群を活用することで、がんと戦うための新たな治療法を探索していきます。