Nov 29, 2023

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2023年11月9日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。

  • 2つの主要第Ⅲ相検証試験(REMIX-1試験およびREMIX-2試験)において、高い選択性を示した経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤であるremibrutinibは、プラセボと比較して、臨床的に意義があり統計的有意に蕁麻疹の活動性を低下1
  • Remibrutinibの投与により、投与2週の早期から症状コントロールが有意に改善され、12週まで維持1 
  • Remibrutinibの忍容性は良好であり、良好な安全性プロファイルが示された。肝機能検査値異常を含めた両試験における全体的な有害事象の発現率はプラセボ群と同程度1
  • REMIX-1試験およびREMIX-2試験は進行中。2024年に最終解析データ(投与52週時)が得られ、規制当局に承認申請する予定 

2023年11月9日、スイス・バーゼル発 ―ノバルティスは本日、ヒスタミンH1受容体拮抗剤でコントロール不十分な慢性特発性蕁麻疹(CSU)患者を対象とした、高い選択性を示す経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤remibrutinibの有効性を検証する2つの第III相検証試験(REMIX-1試験およびREMIX-2試験)において、remibrutinibの効果を示す新たなデータを発表しました1。これらの試験において、remibrutinibは投与12週時のすべての主要評価項目および副次評価項目を達成しました1。投与12週時の蕁麻疹活動性(UAS7)、そう痒(ISS7)および膨疹(HSS7)のベースラインからの変化量において、プラセボに対するremibrutinibの優越性が認められました1。良好な疾患コントロール(UAS7 ≤ 6)を達成した患者の割合は投与2週の早期からプラセボ群と比べてremibrutinib群で有意に高く、その傾向は投与12週まで維持されました。また、投与12週時には約1/3の患者でそう痒と膨疹の完全な消失がみられました1。この結果は、11月9~13日にカリフォルニア州アナハイムで開催された2023年米国アレルギー・喘息・免疫学会で発表されました。

シャリテ・ベルリン医科大学のアレルギー研究所の所長であり、皮膚科学・アレルギー学部門の教授であり、フラウンホーファー研究機構トランスレーショナル医療・薬理学研究所のアレルギー学・免疫学部門の共同責任者でもあるマーカス・マウラー(Marcus Maurer, M.D.)医学博士は次のように述べています。「これらの結果はCSUの症状コントロールが不十分な数百万人の患者さんにとって重要となるでしょう。CSUを抱えながらの生活は非常に苦痛を伴うことがあり、しばしば睡眠や仕事の能力など生活のさまざまな側面に影響を及ぼします。抗ヒスタミン薬を試した後、2週という早期に症状が緩和されうる選択肢が増えることは、このような患者さんにとって大きな影響を与える可能性があります。」

REMIX-1試験およびREMIX-2試験における12週時のUAS7、ISS7、およびHSS7のベースラインからの平均変化量(change from baseline 以下「CFB」)1

 

REMIX-1試験

REMIX-2試験

最小二乗平均 ± *SEremibrutinib
(309名)
プラセボ
(153名)
remibrutinib
(297名)
プラセボ
(153名)
CFB-UAS7–20.1 ±0.7–13.8 ±1.0–19.6 ±0.7–11.7 ±0.9
CFB-ISS7–9.6 ±0.3–6.9 ±0.5–9.0 ±0.3–5.7 ±0.5
CFB-HSS7–10.5 ±0.4–6.9 ±0.5–10.5 ±0.4–6.0 ±0.5

*SE:標準誤差

二つの検証試験(REMIX-1試験,REMIX-2試験)の安全性データを併合解析した結果では、remibrutinibの良好な忍容性と安全性プロファイルが示され、感染症(remibrutinib群:32.8%、プラセボ群:34.0%)および肝機能検査値異常を含めた全有害事象発現率はremibrutinib群とプラセボ群で同程度でした(remibrutinib群:64.0%、プラセボ群:64.7%)。肝トランスアミナーゼ値の上昇は両投与群(remibrutinib群およびプラセボ群)で同程度であり、無症候性で一過性であり、かつ可逆的でした1。 治験担当医師により治験薬と関連ありと判断された重篤な有害事象は認められませんでした。

ノバルティスの開発部門、免疫部門のグローバルヘッドであるアンジェリカ・ヤーライス(Angelika Jahreis)は次のように述べています。「CSU患者さんの治療選択肢は限られており、多くの患者さんは、承認を超える用量であっても抗ヒスタミン薬に反応しないため症状のコントロールが不良であり、また眠気などの副作用が生じてしまう可能性があります。私たちは皮膚免疫疾患の患者さんのための新しい治療法の開発に取り組んでおり、絶え間ないかゆみに苦しみ制約の多い生活に悩んでいるCSU患者さんに新たな選択肢を提供できる可能性に胸を高鳴らせています。これらのデータは、経口BTK阻害剤であるremibrutinibが投与2週の早期に有意な症状改善をもたらし、12週時まで持続することを示しています。」

抗ヒスタミン薬はCSUの治療として推奨されていますが、必ずしも有効というわけではありません2。国際的ガイドラインでは、承認用量を最大4倍**まで増量することが推奨されていますが、高用量でも依然として症状のコントロールが不良である場合があります3。生物学的製剤による注射は、抗ヒスタミン薬でコントロールできないCSU患者にとって有効な選択肢ですが、この製剤を用いて治療されているのは、生物学的製剤が適用可能な全世界の患者のうち、20%未満の患者です4

CSUは、6週間以上持続する慢性特発性蕁麻疹の医学用語であり、この疾患の根本的原因はアレルゲンへの曝露や外的誘因ではなく内的要因です5,6。CSUでは、BTKはヒスタミン放出のシグナル伝達経路に関与し、症状を引き起こすと考えられています7。RemibrutinibはBTKを阻害し、かゆみを伴う皮疹(膨疹)もしくは深部組織腫脹(血管浮腫)またはその両方の原因となるヒスタミンの放出を抑えます6,8

現在REMIX-1試験及びREMIX-2試験に登録されている患者は、52週まで投与を継続した後、長期継続投与試験に移行することができます。ノバルティスは2024年から各国の保健当局にremibrutinibを承認申請する予定です。

**日本皮膚科学会ガイドライン 蕁麻疹診療ガイドライン2018では、抗ヒスタミン薬について2倍量までの増量を行っても良いとされている(但し添付文書に適宜増減の記載のない薬剤は除く)

Remibrutinibについて

Remibrutinibは、選択性の高い共有結合型の開発中の経口BTK阻害剤で、BTKカスケードを阻害し、かゆみ(膨疹)や腫脹を引き起こすヒスタミンの放出を抑えます6-8。第III相検証試験において、remibrutinibの投与によって投与2週の早期から症状コントロールの有意な改善が認められ、12週まで維持されました1。良好な疾患コントロール(UAS 7 ≤ 6)を達成した患者の割合はプラセボ群と比較してremibrutinib群で有意に高く、投与2週時からの早期に認められ12週まで維持し、投与12週時に約1/3の患者でそう痒と膨疹の完全消失を達成しました1。Remibrutinibの忍容性と安全性プロファイルは良好であり、肝機能検査結果は試験間で均衡していたことが示されています1。第III相REMIX試験で最も多く認められた有害事象(24週間の二重盲検期間中に患者の3%以上に発現)は、気道感染(COVID-19および鼻咽頭炎、いずれもプラセボと同程度)でした1。CSU以外にもremibrutinibは、多発性硬化症、化膿性汗腺炎、食物アレルギー、シェーグレン症候群などの他の免疫介在性疾患においても開発の検討が行われています9-13。承認された場合、remibrutinibは、CSUを適応症とする最初で唯一の生物学的注射製剤である「ゾレア®」(一般名:オマリズマブ、以下「ゾレア」)を補完するための有効な経口薬の選択肢になる可能性があります14。 米国ではノバルティス ファーマとロシュ・グループの一員であるジェネンテック社が共同で「ゾレア」の開発とプロモーションを行っています。

REMIX-1試験およびREMIX-2試験について

REMIX-1試験(NCT05030311)およびREMIX-2試験(NCT05032157)は、同一デザインによる国際多施設共同、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照第III相検証試験で、第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬でコントロール不十分な成人CSU患者を対象として、remibrutinib 25 mgの1日2回投与の有効性、安全性および忍容性をプラセボと比較することを目的にデザインされています。REMIX-1試験は470名、REMIX-2試験は455名が組み入れられています15,16。主要評価項目は、12週時におけるUAS7のベースラインからの絶対変化量、ISS7およびHSS7の絶対変化量です15,16。すべての被検者は、試験期間全体を通じて第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬の各国で承認されている用量を投与しました。現在REMIX-1試験およびREMIX-2試験に登録されている患者は52週まで投与を継続し、その後長期継続投与試験に移行することができます15,16

慢性特発性蕁麻疹(CSU)について

世界中で約4,000万人がCSUに罹患しています5,17。CSUの特徴は、かゆみを伴う皮疹(膨疹)もしくは深部組織の腫脹(顔、喉、手、足に発生する血管性浮腫)またはその両方が急に現れ、6週間以上続くことを特徴とします6,18。CSUは全年齢で発症しますが、20~40歳に好発し、女性の発症率は男性の約2倍です5。CSUは精神的苦痛が大きく、患者の大半が睡眠不足に悩んでおり、不安や抑うつなどの精神障害の発生率が高く、労働生産性にも影響を及ぼしています5。現在、CSUに対する有効な治療選択肢は限られており、多くの患者は第一選択の抗ヒスタミン薬で十分なコントロールが得られていません2

免責事項

本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com

以上

参考文献

  1. Sarbjit S, Giménez-Arnau A, Hide M, et al. Fast Symptom Improvement and Favorable Safety Profile With Remibrutinib in Chronic Spontaneous Urticaria: REMIX-1/-2 Studies. Presented as a late-breaking abstract at ACAAI 2023. 
  2. Guillen-Aguinaga S, Jauregui Presa I, Aguinaga-Ontoso E, et al. Updosing nonsedating antihistamines in patients with chronic spontaneous urticaria: a systematic review and meta-analysis. Br J Dermatol. 2016;175:1153–1165.
  3. Weller K, Church M, Kalogeromitros D, et al. Chronic spontaneous urticaria: how to assess quality of life in patients receiving treatment. Available from: https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/1105319. [Last accessed: November 2023]. 
  4. Novartis Data on File. 
  5. Maurer M, Weller K, Bindslev-Jensen C, et al. Unmet clinical needs in chronic spontaneous urticaria. A GA2LEN task force report. Allergy. 2011;66:317–330.
  6. Powell RJ, Leech SC, Till S, et al. BSACI guideline for the management of chronic urticaria and angioedema. Clin Exp Allergy. 2015;45:547–565.
  7. Maurer M, Berger W, Gimenez-Arnau A, et al. Remibrutinib, a novel BTK inhibitor, demonstrates promising efficacy and safety in chronic spontaneous urticaria. J Allergy Clin Immunol. 2022;150:1498–1506.
  8. Angst D, Gessier F, Janser P, et al. Discovery of LOU064 (Remibrutinib), a Potent and Highly Selective Covalent Inhibitor of Bruton's Tyrosine Kinase. J Med Chem. 2020;63:5102–5118.
  9. ClinicalTrials.gov. NCT05156281. Efficacy and Safety of Remibrutinib Compared to Teriflunomide in Participants With Relapsing Multiple Sclerosis (RMS). Available from: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05156281 [Last accessed: November 2023]. 
  10. ClinicalTrials.gov. NCT05147220. Efficacy and Safety of Remibrutinib Compared to Teriflunomide in Participants With Relapsing Multiple Sclerosis. Available from: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05147220 [Last accessed: November 2023]. 
  11. ClinicalTrials.gov. NCT03827798. Study of Efficacy and Safety of Investigational Treatments in Patients With Moderate to Severe Hidradenitis Suppurativa. Available from: https://clinicaltrials.gov/study/NCT03827798 [Last accessed: November 2023]. 
  12. ClinicalTrials.gov. NCT05432388. Study of Efficacy, Safety and Tolerability of Remibrutinib in Adult Participants With an Allergy to Peanuts. Available from: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05432388 [Last accessed: November 2023]. 
  13. ClinicalTrials.gov. NCT04035668. A Phase 2 Study to Evaluate the Safety and Efficacy of LOU064 in Patients With Moderate to Severe Sjögren's Syndrome (LOUiSSe). Available from: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04035668 [Last accessed: November 2023]. 
  14. Genentech USA, Inc. and Novartis Pharmaceuticals Corporation. Xolair Omalizumab. Chronic Spontaneous Urticaria (CSU). Available at: https://www.xolair.com/chronic-spontaneous-urticaria.html [Last accessed: November 2023]. 
  15. Clinical Trials.gov. A Phase 3 Study of Efficacy and Safety of Remibrutinib in the Treatment of CSU in Adults Inadequately Controlled by H1 Antihistamines (REMIX-1).  NCT05030311. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05030311 [Last accessed: November 2023]. 
  16. Clinical Trials.gov. A Phase 3 Study of Efficacy and Safety of Remibrutinib in the Treatment of CSU in Adults Inadequately Controlled by H1 Antihistamines (REMIX-2).  NCT05032157. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05032157 [Last accessed: November 2023]. 
  17. The World Bank. Population, total. Available from: https://data.worldbank.org/indicator/SP.POP.TOTL [Last accessed: November 2023]. 
  18. AAAAI. Hives (Urticaria) and Angioedema Overview. Available at: https://www.aaaai.org/tools-for-the-public/conditions-library/allergies… [Last accessed: November 2023].

ノバルティスのremibrutinib、慢性特発性蕁麻疹の経口治療として投与2週から有意な症状改善をもたらす(PDF 447KB)

 

 

印刷するには以下の印刷ボタンをクリックし、次のページで右クリックの上、メニューの「印刷」を選択してください。
また、この文章は印刷ページにも表示されます。