Dec 22, 2023

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:レオ・リー、以下「ノバルティス ファーマ」)は、本日、トロンボポエチン受容体作動薬「レボレード錠® 12.5 mg、同25 mg」(一般名:エルトロンボパグ オラミン、以下「レボレード」)について、「再生不良性貧血」に対する小児患者(6歳以上)に対する用法及び用量の追加承認を取得したことをお知らせいたします。

再生不良性貧血(AA)は末梢血での汎血球減少と骨髄の低形成を特徴とする骨髄不全症候群の1つで、本邦では指定難病に指定されています。また、小児におけるAAは極めて稀であり、国内の年間発症数は70~100名と推定されています1

小児AAに対する治療では、移植適応の場合には骨髄移植が第一選択となり、移植非適応の場合には免疫抑制療法が選択されます1。抗胸腺細胞免疫グロブリン(ATG)で未治療の場合、成人に対しては「レボレード」と免疫抑制療法の併用が選択肢の一つとなっていますが2、小児に対する適応はこれまで承認されていなかったため、成人と同様に使用可能となることが期待されていました。

この度の小児の用法及び用量追加の承認は、免疫抑制療法で未治療の6歳以上の東アジア人重症AA患者を対象とした国際共同第II相試験(G2201試験/REACTS試験、日本人小児患者5例を含む計36例)のデータに基づいています。G2201試験では、投与26週時の完全奏効(CR)率*及び奏効率**は、16. 7 %(6/36例)及び77.8 %(28/36例)でした。また、日本人小児患者5例における投与26週時のCR率及び奏効率は、20.0 %(1/5例)及び80.0 %(4/5例)でした。副作用発現頻度は83.3 %(30/36例)で、主な副作用は、ALT増加、高ビリルビン血症が各30.6 %(11/36例)、γ-GTP増加が19.4 %(7/36例)でした。日本人小児患者5例における副作用発現頻度は80.0 %(4/5例)で、主な副作用はALT増加が40.0 %(2/5例)でした。ATGで未治療の日本人小児AA患者における安全性は成人と同様であり、新たな安全性上の懸念はありませんでした。

* 好中球数1,000/μL超、血小板数100,000/μL超、ヘモグロビン100 g/L超のすべてを満たした患者の割合
** CR又は部分奏効(好中球数 500/μL以上、血小板数 20,000/μL以上、網赤血球数 20,000/μL以上のうち2項目以上を満たすが、CRの基準には不十分である)の基準を満たした患者の割合

また、ATGで未治療のAA患者に対しては、これまではATG投与後一定期間経過後にレボレードの投与を開始するよう添付文書において注意喚起されておりましたが、G2201試験の結果に基づきこの注意喚起が削除され、ATGとレボレードを同時に投与開始することが可能となりました。

この度の承認取得について、ノバルティス ファーマの代表取締役社長であるレオ・リーは次のように述べています。
「今まで小児における、移植非適応の再生不良性貧血に対する治療選択肢は限られていたため、この度の『レボレード』の用法及び用量追加の承認により、小児の患者さんやご家族に新たな治療選択肢を提供できることを嬉しく思います。」

「レボレード」(一般名:エルトロンボパグ オラミン)について

「レボレード」は、経口投与のトロンボポエチン受容体作動薬です。トロンボポエチン受容体は造血幹細胞や骨髄前駆細胞などの膜表面に発現する膜貫通型受容体で、トロンボポエチンとの結合により活性化され、核内にシグナルを伝達することで、造血幹細胞や骨髄前駆細胞の増殖や分化を誘導すると考えられています。「レボレード」は、トロンボポエチン受容体に直接結合するのではなく、受容体膜貫通領域と特異的に相互作用をすることで、トロンボポエチンの主要な細胞内シグナル伝達経路の一部であるJAK-STAT経路とRas-MAPK経路を活性化し、血球の増加を促進します3-5。国内においては、2010年10月27日に「慢性特発性血小板減少性紫斑病」に対する治療薬としてグラクソ・スミスクライン株式会社が承認を取得しており、2015年11月2日に同社より製造販売承認を継承しました。また、2017年8月25日に「再生不良性貧血」に対する治療薬としての承認を追加取得しました。

再生不良性貧血(AA)について

AAは末梢血での汎血球減少と骨髄の低形成を特徴とする骨髄不全症候群の1つですが、同様の特徴をもつ疾患は数多くあるため、その中から疾患概念がより明確な疾患を除外することで診断します。主な症状は、労作時の息切れ、動悸及びめまい等の貧血症状や出血傾向などが挙げられます。重症度別に治療指針が示されており、輸血を要する中等症以上で移植適応の場合には骨髄移植、非適応の場合には免疫抑制療法とレボレードの併用などが主な治療となります2

ノバルティス ファーマ株式会社について

ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く医薬品のグローバルリーディングカンパニー、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、医薬の未来を描いています。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.co.jp

以上

参考文献

  1. 造血細胞移植ガイドライン 再生不良性貧血(小児)第3版、2018年9月 一般社団法人 日本造血・免疫細胞療法学会https://www.jstct.or.jp/uploads/files/guideline/02_05_aa_ped03.pdf.
  2. 再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和4年改訂版、2023年3月 特発性造血障害に関する調査研究班
    http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/Aplastic_Anemia.pdf.
  3. Kaushansky, K. et al.:Exp. Hematol. 24(2), 265, 1996.
  4. Sun, H. et al.:Stem Cell Res. 9(2), 77, 2012.
  5. Erickson-Miller, CL. et al.:Stem Cells 27(2), 424, 2009.

 

<参考資料>
レボレード錠® 12.5 mgと同錠25 mg製品概要

製品名:

  • 「レボレード錠® 12.5 mg」(REVOLADE® Tablets 12.5 mg)
  • 「レボレード錠® 25 mg」(REVOLADE® Tablets 25 mg)

一般名:
エルトロンボパグ オラミン

効能又は効果:

  • 慢性特発性血小板減少性紫斑病
  • 再生不良性貧血

用法及び用量(下線部が今回追加):

  • 慢性特発性血小板減少性紫斑病
    通常、成人には、エルトロンボパグとして初回投与量12.5 mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、血小板数、症状に応じて適宜増減する。また、1日最大投与量は50 mgとする。
     
  • 再生不良性貧血
    <抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療の場合>
    抗胸腺細胞免疫グロブリンとの併用において、通常、成人及び12歳以上の小児には、エルトロンボパグとして75 mgを1日1回、6歳以上12歳未満の小児には、エルトロンボパグとして37.5 mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

    <既存治療で効果不十分な場合>
    通常、成人には、エルトロンボパグとして初回投与量25 mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。また、1日最大投与量は100 mgとする。

承認取得日:
2023年12月22日

製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社

「効能又は効果に関連する注意」、ならびに「用法及び用量に関連する注意」の詳細については、電子化された添付文書(電子添文)をご覧下さい。

ノバルティス ファーマ、再生不良性貧血に対する「レボレード®」の小児用法・用量追加の承認を取得(PDF 380KB)