ノバルティスのデータ利活用を推進することが、CD&Aの患者志向

2023年1月、ノバルティスに「CD&A」というチームが発足しました。ノバルティス初となるデータ専門部隊・CD&A。その意義と業務内容について、リーダーである中村さんにお話を伺いました。

Feb 20, 2024

中村佳永さん
CD&Aチームヘッド。2021年3月ノバルティスに入社。CD&Aのゼロからの立ち上げに携わり、2023年1月の発足以降、ヘッドを務める。

分析、データ、人材、3つのテーマに取り組むCD&A

CD&AとはCustomer Data & Analytics の意味。2023年1月より発足したチームです。ノバルティスの活動をデータ&アナリティクスを活用し、よりスムーズに、より効果的になるよう推進していくことを目的としています。データ利活用が進み、ノバルティスの活動がより活性化することは、医師の先生方へより早く、正確な情報をお届けすることにつながり、患者さんへの貢献につながると考えています。

現在チームメンバーは6名。分析、データ、人材育成をそれぞれ担当しています。

分析担当のミッションは、事業の意思決定を支援すること。各フランチャイズから上がってくる業務課題を解決するために、どういったアナリティクス を活用するのかを考えることです。

データ担当のミッションは、データ環境を近代化させること。社内外のデータをひとつの基盤に集約し、誰でも必要なデータを抽出・加工できる環境を目標としています。

そして人材育成担当のミッションは、データ分析の民主化。民主化とは、社内の誰もが、データ利活用を推進できるスキルが身についている状態を指します。

この3本柱を中心に、ノバルティスの組織変革を実現し、優れた顧客体験を提供してもらうために、CD&Aは活動しています。

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ノバルティスのデータアナリティクス利活用を推進していきたい

私がノバルティスに入社したのは、2021年の3月のことです。それまではコンサルティング・ファームにおり、データサイエンスやデータエンジニアリング、ビジネスアナリシスといったものを、業界問わず15年ほど務めていました。その立場を続ける中で、当事者としてコミットすることに、強い希望を持っていました。

そんな時に声をかけていただいたのが、ノバルティス。
やりがいがある仕事になるな、と思いジョインすることにしました。製薬業界は、他の業界に比べコマーシャル領域でのデータアナリティクスの活用が先進的ではなく、ノバルティスにおいても競合優位性を確立する必要性を認識していました。

問題が大きいということは、できることが大きいことの裏返しでもあります。お話を聞き、自分がこれまで培ってきたデータとアナリティクスの専門性を患者さんのために発揮することが、自分のやりがいや社会貢献に繋がるのではないかと思い、転職を決意しました。

今はCD&Aのヘッドというポジションにおりますが、入社した当初はまだCD&Aは存在せず、プレイヤーとして1人でデータ基盤の要件定義や分析案件の推進に取り組んでいました。チームという形になったのは、2023年の1月のことです。

私はチームの立ち上げからCD&Aに携わっていますが、チームを作るにあたり、次の3つを持って欲しいとメンバーに伝えました。

ひとつめは“オーナーシップ&リーダーシップ”。各々が自身の仕事に責任を持ち、泥水をすすりながらほふく前進してでもタスクを推進すること。ふたつめは“論点・仮説思考”。何が問題か、何が課題か、何が論点でそれに対する仮説かを考え抜くこと。そして最後が“「プロフェッショナル」としての意識”です。自身のアウトプットのクオリティが、患者さんや医師への貢献に繋がっているのか、誠心誠意向き合うこと。それを必ず意識してもらうよう徹底しています。

データ領域も大切なのは「人と人」

ただデータアナリティクスというのは、成果が出るまでに非常に時間がかかる領域です。人材育成に関しては、我々からお伝えさせていただいたナレッジやスキルが少しずつ社内に浸透している実感がありますが、分析とデータに関しては、まだまだこれからと言わざるを得ません。

分析の問題は、結果に理解が得られないことや実際の施策に分析結果が反映されないことにあります。経験則やこれまでのナレッジから導き出した現場での意思決定と、我々がデータから導き出した意思決定。それが異なったときに、いかに関係者を説得をするのか。分析結果の施策への妥当性をいかに理解してもらうのか。そのあたりは、大きな論点だと感じています。しつこく、粘り強く、社内のステークホルダー1人1人ときめ細やかなコミュニケーションをとり、サポーターを増やしていきたいと考えています。

データの問題は、新しいデータ基盤の導入に時間を要し、データの集約管理がまだできていないこと。また、データ品質を担保するためのルートコーズアナリシスや、解決策の開発・実装に苦戦を強いられていることです。こちらも、業務側のニーズに寄り添いながら、IT部門と実直にデータエンジニアリング業務を続けていき、新しいデータ基盤を導入することによって、社内の様々な業務を効率化していく必要があると思っています。

どちらの課題を見てもわかる通り、データ領域とはいっても結局は「人と人」によるところが大きいと思います。だからこその難しさもある反面、私たちの仕事で人から感謝されたときの喜びはひとしおです。人を大事にし、人に寄り添ったコミュニケーションを心がけていこうと思います。

そしてこのコミュニケーションは、やがて患者さんにも届くと信じています。我々は患者さんに直接アプローチすることはできませんが、その手前にいる医師にアプローチをすることはできます。データとアナリティクスを活用することで医師に寄り添い、医師の問題を解決することで、患者さんに貢献する。それが我々の「患者指向」だと思っています。

CD&Aの短期的な目標はCD&Aにデータサイエンティスト、データエンジニア、ビジネスアナリストを増やし、ステークホルダーに対する貢献度合いをもっと拡大すること。

もうひとつは、CD&Aメンバーのスキルアップと自分の力を発揮できる環境を整えること。データアナリティクスのスキルアップは将来、各メンバーのキャリアにもつながっていきます。どの会社/環境でも通用するスキルをこの部で身に付けていくことを、メンバーには期待しています。そのための業務環境は私が責任を持って整備します。

私はノバルティスに入った直後、一人でデータ利活用の推進に取り組んでいました。しかし、一人でやれることには限界があります。今の私は、頼りになる心強いチームメンバーに恵まれています。そのメンバー1人1人の力を集積し、データとアナリティクスを通して患者さんに貢献する、というミッションを必ず完遂させたいと思います。