ノバルティスの治験薬 capmatinib (INC280)、MET遺伝子変異を有する進行非小細胞肺がん患者を対象とした、第Ⅱ相GEOMETRY mono-1試験において良好な結果を示す
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2018年10月19日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。
- METエクソン14スキッピング変異を有する進行非小細胞肺がんを対象とした第II相試験の有効性データにおいて、未治療の患者群で72.0%、治療歴のある患者群で39.1%の全奏効率が示された
- 進行中の試験における安全性プロファイルは、これまでに報告されたデータと一貫していた
- 治験段階のMET阻害薬であるINC280は、既知の発がん性ドライバー遺伝子であるMETエクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺がん患者の奏効率を改善する可能性がある
2018年10月19日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、METエクソン14スキッピング変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者94人を対象とした、MET阻害薬 capmatinib(INC280)の第II相試験であるGEOMETRY mono-1試験の中間結果を発表しました。GEOMETRY mono-1試験における全奏効率(ORR)は、未治療の患者群で72.0%(95%CI:50.6-87.9)、治療歴のある患者群で39.1%(95%CI:27.6-51.6)でした。ORRは、盲検下独立判定委員会(BIRC)によって評価されました。有害事象は、これまでに報告されたデータと一貫しており、新たな安全性の懸念は認められませんでした。第II相試験の結果は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2018会議(2018年10月19日午後4:45 CET)(要旨#LBA52)1で発表されました。
ケルン大学のJuergen Wolf 医学博士は、次のように述べています。
「これらの中間試験結果は、METエクソン14スキッピング変異を有する進行NSCLC患者さんにおけるINC280の可能性を示唆しています。治療歴のある患者さんに比べ、未治療の患者さんにおいて優れた全奏効率を示したことは、治療が困難なこの患者集団に対して早期の診断と迅速な治療を行うことが臨床的に重要であることを物語っています」
NSCLCは年間200万人以上2に見られる、最も一般的なタイプの肺がんです。NSCLC患者さんの約3〜4%にMET遺伝子変異が同定されます3。この変異を有する頻度は稀ではありますが、特に深刻な予後不良の指標でもあり、現在この変異を標的として承認された治療薬は存在しません4。
ノバルティス・オンコロジー事業部のエグゼクティブ・バイスプレジデントでありグローバル医薬品開発の責任者であるサミット・ヒラワット(Samit Hirawat)は次のように述べています。「MET遺伝子変異を有する進行NSCLC患者さんの医学的ニーズは満たされておらず、多くの場合、これらの患者さんの予後は不良です。GEOMETRY mono-1の試験結果と、INC280がこの疾患に苦しむ患者さんの救いとなる可能性が示されたことに、私たちは勇気づけられています」
GEOMETRY mono-1について
GEOMETRY mono-1は、多施設共同、非盲検の第II相試験であり、EGFR野生型、ALK融合遺伝子陰性、MET遺伝子増幅および/またはMETエクソン14スキッピング変異を有する成人患者におけるINC280単剤の有効性および安全性を評価する臨床試験です。METエクソン14スキッピング変異を有する患者はMET遺伝子増幅/遺伝子コピー数(中央検査によって確認)に関わらず、コホート4(治療歴のある患者群)または、5B(未治療の患者群)に振り分けられ、capmatinib錠400 mgを1日2回投与されました。主要評価項目は、RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors:固形がんの効果判定規準) v1.1に準拠したBIRC評価に基づくORRです。主要な副次的評価項目は、BIRCによる奏効期間(DOR)です。 GEOMETRY mono-1試験では、ORRは未治療の患者群(n = 25)で72.0%(95% 信頼区間[CI]:50.6-87.9)、治療歴のある患者群(n = 69)で39.1%(95% CI: 27.6-51.6)でした。解析時点でDORは未到達であり、奏効の持続可能性を示しています1,6。
主な有害事象は、末梢浮腫、悪心、嘔吐、および血中クレアチニン値の上昇でした。INC280で治療された患者さんのうち、83.8%に有害事象が発現し、33.1%にグレード3/4の有害事象1,6が発現しました。
INC280は、2009年にノバルティスがIncyte 社からライセンスを取得した、経口および選択的MET阻害剤です。この契約に基づき、Incyte社はノバルティスに、このMET阻害性化合物および特定のバックアップ化合物に対する包括的な独占的開発および全世界における商業権を付与しました。
肺がんに対するノバルティスのコミットメント
世界的には、結腸がん、乳がん、前立腺がんを合わせた数よりも、肺がんによる死亡数の方が多いとされており、毎年200万人以上の人々が新たに肺がんの診断を受けています2。NSCLC患者さんの約70%は、治療標的となる遺伝子変異を有しており、分子標的薬による治療の可能性があります7。最も適切な治療法を決定するために、医療関連学会は肺がん患者さんのゲノム検査を推奨しています8。
ノバルティス・オンコロジーのNSCLC研究は、遺伝子変異をドライバーとする疾患に罹患している患者さんの治療法を改善することに貢献しています。ノバルティスは、進行中の研究、ならびにNSCLCにおける遺伝子バイオマーカーを標的とする治験薬の探求を通じて、世界の肺がんコミュニティへのコミットメントを継続しています。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の2017年の売上高は491億米ドル、研究開発費は90億米ドルでした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約125,000人の社員を擁しており、世界140カ国以上で製品が販売されています。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com
以上
参考文献
- Juergen Wolf. Results of the GEOMETRY mono-1 phase II study for evaluation of the MET inhibitor capmatinib (INC280) in patients with MET exon-14 skipping mutated advanced non-small cell lung cancer. Abstract #LBA52. 2018 European Society of Medical Oncology (ESMO), October 19-23, 2018, Munich, Germany.
- Globocan. Lung Fact Sheet. Available at http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf. Accessed October 9, 2018.
- Salgia R. MET in Lung Cancer: Biomarker Selection Based on Scientific Rationale. Mol Cancer Ther. 2017; 16(4):555-565.
- Tong JH, Yeung SF, Chan AWH, et al.. MET Amplification and Exon 14 Splice Site Mutation Define Unique Molecular Subgroups of Non–Small Cell Lung Carcinoma with Poor Prognosis. Clin Cancer Res. 2016; 22(12):3048-3056.
- Lungevity. Targeted Therapy: What is driver mutation? Available at https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/treatment-options/targeted-therapy. Accessed October 9, 2018.
- A Study of Capmatinib (INC280) in NSCLC Patients With MET Exon 14 Alterations Who Have Received Prior MET Inhibitor. (2016).
- Hirsch FR, Suda K, Wiens J, et al. New and emerging targeted treatments in advanced non-small-cell lung cancer. Lancet. 2016;388:1012-1024.
- Lindeman NI, Cagle PT, Beasley MB, et al. Molecular Testing Guideline for Selection of Lung Cancer Patients for EGFR and ALK Tyrosine Kinase Inhibitors. J Thorac Oncol. 2013;8(7):823-859.