ノバルティスが開発中の新規吸入配合剤QMF149、コントロール不十分な喘息患者を対象とした第III相QUARTZ試験において主要評価項目および主要な副次的評価項目を達成
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2019年5月30日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。本剤は日本国内では未承認です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。
- 低用量のQMF149(インダカテロール酢酸塩およびモメタゾンフランカルボン酸エステル)は、吸入ステロイド(ICS)の単剤療法と比較して、呼吸機能および喘息コントロールの統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した1
- QUARTZ試験は、QMF149(インダカテロール酢酸塩およびモメタゾンフランカルボン酸エステル)とQVM149(インダカテロール酢酸塩、グリコピロニウム臭化物およびモメタゾンフランカルボン酸エステル)の両剤を評価する、第III相PLATINUM臨床開発プログラムの中で最初に完了した試験です
- ノバルティスは、喘息患者のより良好なコントロール達成を支援するために、吸入確認が可能な吸入器「ブリーズヘラー®」を用いる1日1回吸入の用量固定配合剤を開発することにより、喘息に対する吸入療法の再定義を目指します
2019年5月30日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、インダカテロール酢酸塩[以下、IND - 長時間作用性β2刺激薬(LABA)]およびモメタゾンフランカルボン酸エステル[以下、MF - 抗炎症薬(ICS)]を配合した1日1回吸入の固定用量配合喘息治療薬として開発中のQMF149の安全性および有効性を評価した第III相PLATINUM臨床開発プログラムの最初の試験結果を発表しました。
この多施設共同、無作為化、二重盲検、第III相QUARTZ試験(ClinicalTrials.gov Identifier:NCT02892344)において、成人および青年期の喘息患者を対象に1日1回吸入投与した低用量 IND/MF(QMF149)150/80μgは、吸入器ツイストヘラー®を用いて1日1回吸入投与したICS、モメタゾンフランカルボン酸エステル(以下、MF)200μgと比較して、主要評価項目および主要な副次的評価項目(それぞれ投与12週時におけるトラフFEV1およびACQ-7スコア)を達成しました1。
QUARTZ試験では、低用量ICSの投与(追加維持療法の有無を問わない)による喘息コントロールが不十分な患者(喘息管理質問票のACQ-7スコアが1.5を上回ると定義される症状を示す)を組み入れました1。
ノバルティスの呼吸器治療薬開発部門責任者(Respiratory Development Unit Head)であるリンダ・アームストロング(Linda Armstrong, MD)は次のように述べています。「様々な喘息治療を利用できるにもかかわらず、多くの患者さんの生活は喘息の影響を受け続けています。QUARTZ試験におけるQMF149の結果は、2019年の米国胸部学会会議で最近発表されたQVM149の第II相試験のデータを補完しています。それは、現行の標準治療に対するQVM149の優越性を示すデータでした。PLATINUM臨床試験プログラムの残りのデータを見るのを楽しみにしています」
成人および青年期のコントロール不十分な喘息患者において、12週間の投与後のトラフFEV1(治験薬の最終投与からおよそ24時間後に測定する1秒量)で評価した呼吸機能は、IND/MF投与群の方がMF投与群と比較して統計学的に有意な改善を示しました[最小二乗(LS)平均値の投与群間差:0.182 L、95%信頼区間(CI):0.148-0.217、p < 0.001]1。さらに、IND/MFの臨床的に意味のある呼吸機能のベネフィットは、MF単剤と比較して、夜間のPEFが26.1 L/min改善したことにより裏付けられています(95% CI:21.0-31.2)。
12週間の投与後にACQ-7で評価した喘息コントロールもまた、IND/MF投与群の方がMF投与群と比較して統計学的に有意な改善を示しました(LS平均値の投与群間差:−0.218、95% CI:−0.293、-0.143、p < 0.001)1。さらに、ACQ-7の臨床的に意味のある改善は、レスポンダー解析で、QMF149投与群のレスポンダー(ACQ-7が0.5以上改善)の割合がMF投与群と比較して高かったことにより裏付けられています(それぞれ74.7%対64.9%、オッズ比:1.69、95% CI:1.23、2.33)。
両剤(IND/MFおよびMF)の忍容性は概ね良好でした。有害事象の全体的な発現率は、IND/MF投与群の方がMF投与群と比較して低くなりました(それぞれ32.3%対38.3%)。両投与群における有害事象の大部分は重症度が軽度から中等度(有害事象の90%超)であり、投与群間で同程度でした。重度の有害事象の発現率は低く、QMF149投与群は7例(1.8%)の報告があったのに対し、MF投与群は14例(3.5%)でした1。
ドイツのマインツ大学病院内科呼吸器疾患部門(Pulmonary Department, Internal Medicine, University Hospital Mainz)のオリバー・コルンマン医師(Dr Oliver Kornmann)は次のように述べています。「QUARTZ試験の結果に非常に満足しています。これは、インダカテロールとモメタゾンフランカルボン酸エステルの固定用量配合剤の有効性と安全性を検討した試験です。固定用量配合剤の吸入器は、手間のかかる吸入器レジメンをシンプルにすることで喘息患者にメリットをもたらす可能性があります。特に、1日1回投与が可能な場合は、疾病の負担をさらに軽減できます」
本試験の有効性および安全性データは、次回の医学学会で発表するために提出済みです。試験のすべての主要評価項目および副次的評価項目の結果は、ClinicalTrials.gov(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02892344?term= NCT02892344& rank=1)およびEUdraCT(番号:2016-000472-22)に掲載されています。IND/MFおよびIND/GLY/MFは規制当局への申請が最近受理され、欧州医薬品庁(EMA)による審査が行われています。
QMF149(インダカテロール酢酸塩およびモメタゾンフランカルボン酸エステル)について
インダカテロール酢酸塩とモメタゾンフランカルボン酸エステル(IND/MF)の配合剤は、コントロール不十分な喘息(現在の治療にもかかわらず症状が持続している)の治療薬として現在開発中です。この開発中の1日1回吸入の配合治療薬は、規制当局への申請が最近受理され、欧州医薬品庁(EMA)による審査が行われています。本剤は、ultra-LABAインダカテロール酢酸塩[長時間作用性β刺激薬(LABA)]の気管支拡張作用とモメタゾンフランカルボン酸エステル(ICS)の抗炎症作用を組み合わせたもので、正確な1日1回投与製剤として、吸入確認が可能な吸入器「ブリーズヘラー®」を使用します。モメタゾンフランカルボン酸エステルのQMF149での使用に関して、Merck & Co., Inc(米国ニュージャージー州ケニルワース)の子会社からノバルティスに独占的なライセンスが与えられています。
QVM149(インダカテロール酢酸塩、グリコピロニウム臭化物およびモメタゾンフランカルボン酸エステル)について
インダカテロール酢酸塩、グリコピロニウム臭化物およびモメタゾンフランカルボン酸エステル(IND/GLY/MF)の配合剤は、コントロール不十分な喘息患者(現在の治療にもかかわらず症状が持続している)の治療薬として現在開発中です。この開発中の1日1回吸入の配合治療薬は、規制当局への申請が最近受理され、欧州医薬品庁(EMA)による審査が行われています。本剤は、インダカテロール酢酸塩[長時間作用性β刺激薬(LABA)]およびグリコピロニウム臭化物[長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)]の総合的な気管支拡張作用とモメタゾンフランカルボン酸エステル[高用量または中用量の吸入ステロイド薬(ICS)]を組み合わせたもので、正確な1日1回投与製剤として、吸入確認が可能な吸入器「ブリーズヘラー®」を使用します。グリコピロニウム臭化物および特定の用途ならびに製剤の知的財産権に関して、2005年4月にSosei HeptaresおよびVecturaからノバルティスに独占的なライセンスが与えられています。モメタゾンフランカルボン酸エステルのQVM149での使用に関して、Merck & Co., Inc(米国ニュージャージー州ケニルワース)の子会社からノバルティスに独占的なライセンスが与えられています(米国を除く全世界)。
QUARTZ試験について1
QUARTZ試験は、成人および青年期の喘息患者を対象に、インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル(QMF149)(150/80 μg)の有効性および安全性を吸入器ツイストヘラー®を用いて投与するモメタゾンフランカルボン酸エステル(MF)(200 μg)と比較する第III相、多施設共同、無作為化、12週投与、二重盲検試験です。
患者全員が、導入期間への組み入れ前1ヵ月以上にわたり低用量ICS(LABAの有無を問わない)の投与を継続している必要がありました。導入期間中、全患者に非盲検下でフルチカゾンプロピオン酸100 μgを、アキュヘラーを用いて1日2回投与しました。導入期間終了時に適格基準を満たした患者を、吸入確認できる吸入器ブリーズヘラー®を用いてIND/MF 150/80 μgを1日1回投与する群と、ツイストヘラー®を用いてMF 200 μgを1日1回投与する群に、無作為にそれぞれ1:1の割合で均等に割り付けました。
男性および女性の患者802例(12歳以上18歳未満の青年期患者64例を含む)をIND/MF投与群(n = 398)またはMF投与群(n = 404)に無作為に割り付けました。 平均年齢は45.6歳、喘息の平均罹病期間は14.0年でした。
気管支拡張薬投与前の平均FEV1(正常予測値に対する%)は、ベースライン時に75.1%であり、短時間作用性β刺激薬吸入後のFEV1可逆性の平均は20.7%でした。患者の大半は、試験前に低用量ICS(42.9%)または低用量LABA/ICS(56.0%)による治療を受けていました。
投与期間終了時にスパイロメトリーを実施しました。主要評価項目は、成人および青年期患者における12週間の投与後のトラフFEV1に関して、1日1回投与のMF 200 μgに対する1日1回(夜に)投与のIND/MF 150/80 μgの優越性を示すことでした。主要な副次的評価項目は、12週間の投与後の喘息管理質問票(ACQ)-7のスコアに関して、MF 200 μg(1日1回)に対するIND/MF 150/80 μgの優越性を示すことでした。
PLATINUM臨床開発プログラムについて
PLATINUMプログラムは、QVM149およびQMF149の開発を支援するノバルティスの第III相臨床開発プログラムであり、IND/MFとMFを比較検討するQUARTZ試験、IND/MFとMFおよびサルメテロール/フルチカゾンを比較検討するPALLADIUM試験、IND/GLY/MFとIND/MFおよびサルメテロール/フルチカゾンを比較検討するIRIDIUM試験、IND/GLY/MFとサルメテロール/フルチカゾンおよびチオトロピウムの併用を比較検討するARGON試験の4試験が含まれます。
喘息について
喘息は世界中で3億5800万人が罹患していると推定されます。十分にコントロールされていない場合、個人的、健康的、経済的に重大な負担を引き起こす可能性があります2,3。多くの喘息治療薬が使用できるにもかかわらず、患者の1/3以上はコントロール不良の状態が続いています4。
呼吸器領域におけるノバルティスについて
ノバルティスは、呼吸器領域のリーディングカンパニーとして、世界中で呼吸器疾患を抱えて暮らす患者さんの生活を改善するための新たな進歩を推進しています。ノバルティスは、勇気ある革新と患者さんや医療専門家との緊密なパートナーシップを通じて、喘息管理におけるアンメットニーズの解決と、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のより良い治療転帰の改善に取り組んでいます。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の7億5千万人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約10万5千人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。
ノバルティスに関する詳細はホームページをご覧ください。 https://www.novartis.com
以上
参考文献
- Clinicaltrial.gov(Identifier:NCT02892344)
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02892344?term=NCT02892344&rank=1 - GBD 2015 Chronic Respiratory Disease Collaborators. Global, regional, and national deaths, prevalence, disability-adjusted life years, and years lived with disability for chronic obstructive pulmonary disease and asthma, 1990-2015: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2015. Lancet Respir Med 2017: 5(9): 691-706.
- Global Inititative for Asthma. Global Strategy for Asthma Management and Prevention, 2018. Available from http://ginasthma.org/gina-reports/. Accessed in May 2019
- Fang J, Busse W, Marvel J, Tian H, Altman P, Cao H. Demographic, clinical characteristics and control status of pediatric, adolescent, and adult asthma patients by GINA Step in a US longitudinal cohort. Am J Resp Crit Care Med 2018: 197:A1903