ノバルティス、移植された臓器の生着延長の可能性を示唆するiscalimab(CFZ533)の初めての組織学的データを発表
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2019年6月6日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。本剤は日本国内では未承認です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。
- データでは、iscalimabを投与された移植患者の60%は、移植後1年以上の期間において腎組織像が正常であったのに対し、タクロリムス(現在の標準治療)投与患者では0%であった1
- 移植腎の10年生着率は半分未満であるため、移植腎を長く健康に保つことは、移植を受けた患者そして移植を待機中の患者における重要なアンメットニーズとなっている2。米国では、ドナーの慢性的な不足から、10万人を超える患者が移植待機リストに登録されている3
- データは、最新の研究成果の抄録(late-breaking abstract)として、6月1~5日に米国移植学会議(ATC)で発表された
2019年6月6日スイス・バーゼル発 - ノバルティスは、開発中のiscalimab(CFZ533)が移植腎の生着期間を延長させ、腎移植患者の長期予後が改善する可能性を示唆する腎移植後の組織学的データを新たに発表したことを本日発表しました1。
免疫・肝臓・皮膚科学領域のグローバル開発部門責任者であるエリック・ヒューズ(Eric Hughes)は次のように述べています。「移植腎の生着期間が延長すれば、透析に戻る患者さんや、2度目の移植を受ける患者さんがより少なくなり、3~5年という米国の移植待機期間が緩和されます。患者さんのケアを抜本的に変えていく私たちの道のりとして、移植臓器の長期生着率改善が実現する可能性を見つけられたことは、とても喜ばしいことです」。
米国移植学会議(ATC)で発表されたデータは、iscalimabを用いるカルシニューリン阻害薬を使用しない治療により、移植された腎臓の質が維持されるかどうかを検討したものです。この解析によると、iscalimabはタクロリムス(現在の標準治療)慢性同種移植片損傷指数(chronic allograft damage index : CADI)スコアがより低値であり、iscalimabを投与された移植患者の5人中3人(60%)に正常な腎組織像が認められたのに対し、タクロリムスを投与された患者では、7人中0人(0%)でした1。CADIスコアが低値であることが、長期転帰の改善につながると報告されています4。この結果は限られた患者数から得られたものですが、実施中の第IIb相試験(Cirrus I, NCT03663335)で確認する予定です。
iscalimab(CFZ533)について
iscalimabは新規の完全ヒトモノクローナル抗体で、白血球分化抗原40(CD40)経路のシグナル伝達とCD40+細胞の活性化を抑制します1。非劣性複合評価項目を主要評価項目とした、直近の多施設共同無作為化対照試験(CT02217410)によると、iscalimab群が臨床的複合評価項目において非劣性であることが示され、タクロリムスと比較して腎機能が改善し、糖尿病新規発症のリスクの低減すること、およびほぼ同程度の安全性が示唆されました5。ATCで発表した解析には、本治験中にルーチン生検またはプロトコールで規定した経過観察の一環として生検を受けられた患者さんが含まれています。盲検下の病理医が確立されたBanff基準およびCADIを用いてスコア化し、データ審査を行いました。CADIが1以下の場合を「正常な腎組織像」とみなしました。最終生検での平均CADIは、iscalimabが1.6 ±0.6、タクロリムスが5.1 ±0.8でした1。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の7億5千万人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約10万5千人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。ノバルティスに関する詳細はホームページをご覧ください。 https://www.novartis.com
以上
参考文献
- Farkash E, et al. Cni-free Therapy With Iscalimab (anti-cd40 Mab) Preserves Allograft Histology Compared To Standard Of Care After Kidney Transplantation. Presented at the American Transplant Congress (ATC). June 2019.
- Hart A, et al. OPTN/SRTR 2016 Annual Data Report: Kidney. Am J Transplant 2018;18:1-96.
- University of California San Francisco. The Kidney Project Key Statistics [online]. Available from: https://pharm.ucsf.edu/kidney/need/statistics [Last accessed: May 2019].
- Yilmaz S, et al. Protocol Core Needle Biopsy and Histologic Chronic Allograft Damage Index (CADI) as Surrogate End Point for Long-Term Graft Survival in Multicenter Studies. J Am Soc Nephrol 2003;14:773-779.
- Novartis data on file. May 2019