「タシグナ®」治療後の長期無治療寛解と、治験薬 Asciminib(ABL001)の併用療法の有望なデータにより、ノバルティスのCMLにおける革新的な取り組みがさらに前進
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
- ENESTfreedom試験とENESTop試験の2つの第II相試験の結果は、タシグナ治療中止後の分子遺伝学的奏効の長期持続に関するこれまでの知見を強調1,2し、
多くの慢性骨髄性白血病患者における薬剤投与期間を短縮 - 複数の治療歴がある慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病患者を対象として、asciminibとイマチニブ、ニロチニブ、またはダサチニブとの併用を評価する新たな第I相試験のデータは、分子遺伝学的奏効の可能性と良好な忍容性プロファイルを示す3,4
2019年6月14日、スイス・バーゼル発– 非盲検のピボタル試験であるENESTfreedom試験およびENESTop試験から得られた長期フォローアップデータにより、慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)の成人患者において、一次治療および二次治療として「タシグナ(ニロチニブ)」治療を中止した後も無治療寛解(TFR)が維持されることが示されました。さらに、別のデータから、複数の治療歴があるPh+ CML-CP患者において、アロステリックBCR-ABL阻害剤の治験薬「asciminib(ABL001)」を3種類の異なるチロシンキナーゼ阻害剤と併用した結果、有望な結果が示されました。これらの結果は、アムステルダムで開催された第24回欧州血液学会(EHA)で発表されました1-4。
ノバルティスのグローバル医薬品開発責任者であり、チーフメディカルオフィサーであるジョン・ツァイ医師(John Tsai, MD)は、次のように述べています。
「タシグナの治験に参加された患者さんが、有害事象による負担が軽い状態で、ほぼ4年間にわたって無治療寛解を継続的に維持していることを報告できるのは、私たちにとって大きな喜びです。ENESTfreedom試験やENESTop試験のような長期にわたる試験や、「ABL001」の第I相試験から得られた有望なデータは、私たちがCML治療を変革する上で有用です」
ENESTfreedom試験では、一次治療としての「タシグナ」治療を中止後、約44%の患者が192週にわたってTFRを維持したことが示されました(84例/190例)。192週時点における無治療生存率は約49%でした。TFR期間中に分子遺伝学的大奏効
(MMR)を喪失し、「タシグナ」治療を再開した患者の約99%(90例/91例)がMMRを、約92%(84例/91例)がMR4.5を回復しました。「タシグナ」治療を再開した91人の患者で、最も多く認められた有害事象(AE)は、上咽頭炎(18.7%)のほか、そう痒症、疲労、リパーゼの上昇(それぞれ14.3%)であり、AEの大部分はグレード1または2でした1。
ENESTop試験でも同様の結果が得られており、二次治療としての「タシグナ」治療を中止後、約46%の患者が192週にわたりTFRを維持していました(58例/126例)。192週時点における無治療生存率は59%を超えています。「タシグナ」治療を再開した59人の患者に最も多く見られたAEは高血圧症(20.3%)と関節痛
(13.6%)でした。AEの大部分はグレード1または2でした2。
ノバルティスは、複数の治療歴があるPh+ CML-CP患者を対象として、「ABL001」をアデノシン三リン酸(ATP)競合的なチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)と併用する第I相試験から得られたデータも発表しました。この試験は、それぞれの併用の組合わせごとに異なる「ABL001」の用量を評価する用量設定試験であるため、
3つの治療群の結果を直接比較することはできませんが、予備的解析結果は次に示すものでした:
ベースライン時点でBCR-ABL1国際標準値(1%未満)に達していなかった患者
で、48週までに次の結果が得られました3,4。
- 「ABL001」+「イマチニブ」併用群では60%(9例/15例)が1%未満の分子遺伝学的奏効を達成
- 「ABL001」+「イマチニブ」併用群と「ABL001」+「ダサチニブ」併用群
では、それぞれ43%(6例/14例)と56%(5例/9例)が1%未満の分子遺伝学的奏効を達成
ベースライン時点でMMRが認められなかった患者は、48週までに次の結果を示しました3,4。
- 「ABL001」+「イマチニブ」併用群では、42%(8例/19例)がMMRに到達。治療による曝露期間の中央値は54.6週
- 「ABL001」+「ニロチニブ」併用群では31%(4例/13例)、「ABL001」+「ダサチニブ」併用群では36%(5例/14例)がそれぞれMMRに到達
ベースライン時点でMMRであった患者で、3つの併用療法の治療中にMMRを喪失した患者はいませんでした。いずれの組み合わせも、複数の治療歴があるCML患者において忍容可能な安全プロファイルが示されました3,4:
- 「ABL001」+「イマチニブ」併用群で、グレードを問わず最も多く認められたAEは、悪心(32%)、リパーゼの上昇(20%)のほか、腹痛、末梢性浮腫、嘔吐(それぞれ16%)
- 「ABL001」+「ニロチニブ」併用群で、グレードを問わず最も多く認められたAEは、筋肉痛(35%)、リパーゼの上昇(29%)、アミラーゼの上昇、疲労、そう痒症(それぞれ24%)
- 「ABL001」+「ダサチニブ」併用群で、グレードを問わず最も多く認められたAEは、リパーゼの上昇(35%)、下痢、頭痛、悪心(それぞれ18%)
アンダーソンがんセンター(テキサス州ヒューストン)白血病科の副科長であり、医学部教授であるホルヘ・コルテス医師(MD)は、次のように述べています。「TKIの登場はCML治療にパラダイムシフトをもたらしました。しかし、TKI治療に不耐容あるいは抵抗性を示す患者さんがまだ存在しているのも事実です。現時点で処方できるTKIと『ABL001』のようなBCR-ABL1阻害剤の併用療法から得られた結果は非常に有望であり、分子遺伝学的奏効をさらに改善し、新たな変異の獲得を防ぐ可能性を示しています」
CMLへのコミットメント
ノバルティスは、継続的なPh+ CML研究を通して、CMLを命にかかわる疾患から、ほとんどの患者さんにとって慢性疾患へと変えることに貢献してきました。ノバルティスは、科学的なイノベーションと世界中の患者さんに向けた治療の提供に対する揺るぎないコミットメントを継続しています。ノバルティスは、今後も患者さんとCMLコミュニティのため、臆することなく大きな目標に情熱をもって取り組み、CML治療を変革してまいります。
タシグナについて
「タシグナ」(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)は、130カ国以上で、グリベック(一般名:イマチニブメシル酸塩)を含む少なくとも一つの前治療に抵抗性か不耐性の初発慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+CML)の成人患者さん、ならびに慢性期および移行期のPh+ CML成人患者さんの治療薬として承認されています。「タシグナ」はTKIの前治療に抵抗性または不耐容、並びに初発の慢性期のPh+ CMLの小児患者さんの治療薬としても承認されています。日本では、「タシグナカプセル200mg」が「イマチニブ抵抗性の慢性期または移行期の慢性骨髄性白血病」を適応症として2009年1月に製造販売承認を取得した後、2010年12月に「慢性期または移行期の慢性骨髄性白血病」に適応拡大され、「タシグナ®カプセル200mg」の承認事項一部変更承認、「タシグナ®カプセル150mg」の製造販売承認を取得しています。また、2017年9月に「タシグナ®カプセル50mg」の新剤形が承認され、2017年12月には、すべての用量規格が小児の慢性骨髄性白血病治療薬として承認されています。
Asciminibについて
「Asciminib(ABL001)」は、CML患者さんに対して現在適用できるTKI治療とは作用機序が異なるアロステリックBCR-ABL阻害剤の治験薬です。「ABL001」に関する多様な臨床開発プログラムが進行中です。単剤治療として三次治療以降のCMLを対象とした第III相ASCEMBL試験や、深い分子遺伝学的奏効に到達しないCML-CP患者を対象に「ABL001」と「イマチニブ」の併用を評価する第II相ASC4MORE試験を実施しています。また、多くの分子標的療法への抵抗性の原因となる遺伝子変異のある患者さんと、このような変異を起こしていない患者さんの両方を対象とした研究も進められています。これらの試験から安全性と有効性が実証されれば、「ABL001」はCMLの新たな治療選択肢となり、患者さんの治療ニーズに対処する意義ある治療法となる可能性があります。
「タシグナ」の安全性に関する重要な情報については、最新の製品添付文書をご確認ください。http://www.tasigna.com/
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の7億5千万人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約10万5千人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。
詳細はホームページをご覧ください。 https://www.novartis.com
以上
参考文献
- David M. Ross, et al. Durability and impact on quality of life of treatment-free remission (tfr) in patients with chronic myeloid leukemia (cml) after stopping frontline (1l) nilotinib: ENESTfreedom 192-wk results. Abstract# PF409. 24th Congress of the European Hematology Association. June 13-16, Amsterdam, The Netherlands.
- François-Xavier Mahon, et al. ENESTop 192-wk results: durability and impact on quality of life of treatment-free remission (tfr) following second-line (2l) nilotinib (nil) in patients (pts) with chronic myeloid leukemia (cml). Abstract # PF411. 24th Congress of the European Hematology Association. June 13-16, Amsterdam, The Netherlands.
- Jorge Cortes, et al. Combination therapy using asciminib plus imatinib (ima) in patients (pts) with chronic myeloid leukemia (cml): results from a phase 1 study. Abstract # S883. 24th Congress of the European Hematology Association. June 13-16, Amsterdam, The Netherlands.
- Michael Mauro, et al. Combination of asciminib plus nilotinib (nil) or dasatinib (das) in patients (pts) with chronic myeloid leukemia (cml): results from a phase 1 study. Abstract # S884. 24th Congress of the European Hematology Association. June 13-16, Amsterdam, The Netherlands.