ノバルティス、2型糖尿病を対象とした5年間のVERIFY試験で、「エクア®錠」とメトホルミンの早期併用療法における長期的な有効性を証明
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2019年9月18日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。
- 新規2型糖尿病患者において、ビルダグリプチン(エクア®錠)とメトホルミンの早期併用療法の方が、メトホルミン単剤療法よりも優れる1,2
- VERIFY試験は、2型糖尿病における早期併用療法の長期の臨床的ベネフィットを検討した最初の試験である1
- ノバルティスは、2型糖尿病患者の良好な血糖コントロールと、長期の臨床アウトカムを改善することに取り組んでいる
2019年9月18日、スイス・バーゼル発 –ノバルティスは本日、メトホルミンとビルダグリプチン(選択的DPP-4阻害薬、製品名:「エクア®錠50㎎」)による早期併用療法の長期有効性および安全性について、メトホルミン効果不十分時にビルダグリプチンを追加する段階的治療と比較した、第Ⅳ相臨床試験VERIFYの主要結果を発表しました1,2。本試験の主要結果は、ヨーロッパ糖尿病学会(European Association for the Study of Diabetes:EASD)年次総会で発表され、同時にLancet誌に掲載されました。
VERIFY試験は、事前に設定された5年間の追跡期間において、ビルダグリプチンとメトホルミンの早期併用療法の血糖コントロール維持効果を評価するためにデザインされた試験です。本試験は2型糖尿病と診断後早期かつ治療歴がない患者2001名(HbA1c:6.5~7.5% [48~58mmol/mol])を対象に、34ヵ国254施設で実施されました1,2。
本試験は第IV相ランダム化二重盲検試験(ClinicalTrials.gov Identifier: NCT01528254)であり、ビルダグリプチン(50mg、1日2回)とメトホルミン(患者毎に1日用量1000~2000mg)の早期併用療法が、メトホルミン単剤療法と比較して、初回治療からの脱落までの期間(ランダム化の13週後から2回連続してHbA1c≧7.0%となるまでの期間)の相対リスクを統計的有意に49%低下させ、主要評価項目を達成しました(HR: 0.51, 95%信頼区間 [0.45, 0.58]; P<0.0001)1,2。
また、早期併用療法では、全患者が併用療法に移行した後に治療から脱落(Second Treatment Failure)する頻度を下げることを示しました。(HR: 0.74, 95%信頼区間 [0.63, 0.86]; P<0.0001)。さらに、早期併用療法で治療された患者は、メトホルミン単剤療法脱落後に併用療法を受けた患者と比較して、5年間連続して、より低いHbA1c値を示しました(6.0%、6.5%または7.0%未満)1。
EASD会長で英国オックスフォード大学糖尿病学名誉教授のDavid Matthews(デビッド・マシューズ)氏は、次のように述べています。「VERIFY試験の第一の知見は、併用療法による早期介入が、患者に対してより大きい持続的なベネフィットをもたらすことを独自に実証した点です。2型糖尿病の管理において、現在推奨されている初回単剤療法に続いて、併用療法のアプローチは、今や過去の治療であることが明らかになりました。」
全体的な安全性および忍容性プロファイルは、治療群間で同様であり、未知または新規の有害事象はありませんでした1。
ノバルティスのメディカルアフェアーズ部門統括責任者兼チーフメディカルオフィサーであるマルシア・カヤス(Marcia Kayath, M.D.)は次のように述べています。
「2型糖尿病は死亡率と罹病率が増加している代表的な疾患になっているにもかかわらず、持続的に疾患の進行を遅らせることができる最適な治療方法は診断時には明確ではありません。VERIFY試験から得られた有望な結果は、患者の予後や今後の2型糖尿病治療を改善する可能性があります。」
VERIFY試験は事前に設定された追加のサブ解析が進行中であり、今後数カ月にわたり国際医学学会および地方医学学会、ならびに科学雑誌にデータが発表される予定です。
ビルダグリプチン/メトホルミン配合錠について
相補的な作用機序を有するこれら2つの糖尿病治療薬の併用は、優れた有効性を示し、低血糖、体重増加および他の心血管危険因子のリスクを増加させることなく、患者が血糖目標に到達することが期待できます3。ビルダグリプチンとメトホルミンの組み合わせは、DPP-4阻害薬とメトホルミンの初の配合錠として、日本および欧州で承認されました4。ビルダグリプチンとメトホルミンの併用療法は、2型糖尿病患者がメトホルミン単独治療で十分に管理されていない場合に使用されます5。
ビルダグリプチンについて
ビルダグリプチンは、欧州、日本、ラテンアメリカ、アジア太平洋を含む120ヵ国以上で成人の2型糖尿病に対する経口薬として承認されています。ビルダグリプチンは、単剤療法、メトホルミン、スルホニル尿素(SU)薬またはチアゾリジン薬との併用療法、またはインスリンとの併用療法として承認されています4,5,6。
ビルダグリプチンは選択的かつ強力なDPP-4阻害剤であり、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)およびグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)などのインクレチンホルモンが、急速に分解されるのを阻害することにより効果を発揮します。グルコースに対するα細胞のグルカゴン分泌抑制、およびβ細胞の感受性を増強することによって、2型糖尿病における血糖コントロールを改善します7,8,9,10。ビルダグリプチンはランダム化した臨床試験で広く研究されてきましたが、今なお、疾患の進展に伴う多様な患者集団において、広範なリアルワールドエビデンスを蓄積しています11。
メトホルミンについて
メトホルミンは広く使用されており、海外では、2型糖尿病と診断された患者、または食事や他の生活様式の介入にもかかわらず血糖目標を達成できない患者に推奨される第一選択薬です12。
1922年に発見されたにもかかわらず、メトホルミンの詳細な作用機序は未だ明らかにされていません。しかし、糖尿病治療薬としての効果は主に肝臓でのグルコース分泌抑制によるものであり、副次的に末梢組織におけるグルコースの取り込み増加によるものです。近年得られたデータでは、インクレチンの合成および腸内分泌促進も、ある程度の臨床効果に寄与している可能性が示唆されています12,13。
VERIFY試験について1,2
VERIFY試験は、5年間の第IV相多施設共同ランダム化二重盲検試験です。治療歴のない多様な2型糖尿病患者(HbA1c:6.5~7.5%[48~58mmol/mol])を対象に、ビルダグリプチンとメトホルミンの早期併用療法による血糖コントロールの持続性について、メトホルミンによる単剤療法と比較するためにデザインされました。
本試験は、試験前または試験中にメトホルミンの安定用量(1000~2000mg/日)を4週間処方された2001名の患者を対象とし、ビルダグリプチン50mgを1日2回追加投与群またはプラセボ投与群にランダム化(1:1)しました。試験の最初の4週間は、ランダム化後にメトホルミンを2000mg/日までの用量または少なくとも1000mg/日の忍容性のある最大用量に調整できるように、両治療群のメトホルミンの用量を調整しました。初期治療でHbA1c値が7.0%未満に維持されなかった場合、メトホルミン単剤療法群にプラセボの代わりにビルダグリプチン50mgを1日2回投与しました。
主要評価項目は、初回治療で目標値からの脱落までの期間であり、ランダム化の13週後から連続して2回予定来院時にHbA1c≧7%と定義されました。副次評価項目は、血糖コントロールの変化率、経時的なHbA1cの変化率、空腹時血糖コントロールの変化率、ベースラインから試験終了時までのβ細胞機能の変化率、ベースラインから試験終了時までのインスリン感受性の変化率、有害事象の発現率としました。探索的評価項目は、心血管イベントの判定およびグルコース恒常性(HOMA)に関する値の変化などとしました。
2型糖尿病について
糖尿病は、インスリン産生およびインスリン感受性の両方の欠陥による高血糖の増加を特徴とする状態です14。糖尿病の有病率は過去30年間で4倍になり、現在世界の成人11人に1人が糖尿病を有し、このうち約90%が2型糖尿病です。さらに、耐糖能異常、2型糖尿病の診断不足および/または診断遅延などの因子が疾患負荷の急速な増加を引き起こしています15。これは特に発展途上国で見られ、糖尿病の負担が継続的に増大する一因となっています。国際糖尿病連合は、世界のどこかで6秒毎に新しい診断があると推定しています16。
診断後、患者の大多数は、ガイドラインで推奨された血糖管理目標を達成、維持することができません17。この血糖コントロール達成の普遍的な欠如は、逐次的な単剤療法、頻繁な早期治療の失敗、および長期間の持続性高血糖に至る治療強化の遅延を含む現在の治療パラダイムに一部起因します。漫然とした強化療法と闘う為には、より早期かつ包括的な併用療法の戦略も含まれる可能性があります11,18。
「エクメット®配合錠LD/HD」について
エクメットは、2 型糖尿病患者(ただし、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)に投与可能なDPP-4阻害薬とビグアナイド薬の配合剤であり、日本において、2015年11月にノバルティスファーマ株式会社より発売されました。
「エクア®錠50㎎」について
エクアは、2型糖尿病患者(すべての経口糖尿病薬およびインスリン治療中含む)
に投与可能なDPP-4阻害薬であり、日本において、2010年4月にノバルティスファーマ株式会社より発売されました。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の7億5千万人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約10万8千人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
以上
参考文献
- Novartis. Data on file.
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