ノバルティス、世界初となる季節性アレルギー性鼻炎に対する抗体製剤「ゾレア®」の適応追加の承認を取得
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:綱場 一成)は、本日、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤「ゾレア®皮下注用75 mg、150 mg」「ゾレア®皮下注75 mg、150 mg シリンジ」(一般名:オマリズマブ(遺伝子組換え)、以下「ゾレア」)について、季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)を効能・効果および用法・用量に関する追加の承認を取得しました。季節性アレルギー性鼻炎に対する抗体製剤の承認は世界初です。
「ゾレア」は、アレルギー反応に関与しているフリーIgEに直接結合し、その作用を特異的に阻害することで、IgEの肥満細胞、好塩基球等の炎症細胞への結合を阻害します。これら炎症細胞での抗原抗体反応の抑制により、季節性アレルギー性鼻炎のアレルギーカスケードの初期反応を阻害するものです。
今回の承認について、ノバルティス ファーマの代表取締役社長である綱場一成は次のように述べています。「季節性アレルギー性鼻炎患者さんの中には、既存治療で十分な効果が得られず、症状の重さゆえに日常生活のQOLや仕事、勉強への深刻な影響に悩まされる方もいらっしゃいます。「ゾレア」の季節性アレルギー性鼻炎への適応追加は、そのような患者さんに新しい治療選択肢を提供するものです。弊社といたしましては、本剤を適正に使用いただくためには、医療関係者に「最適使用推進ガイドライン」の内容を良く理解してもらう必要があると考え、承認取得に先立って、そのために必要な資材の整備、社内教育等の準備をさせていただきました。「最適使用推進ガイドライン」に準拠した「ゾレア」の適正使用推進を通じ、重症および最重症な花粉症患者さんの治療に貢献したいと考えております」
今回の承認について
今回の承認は既存治療で効果不十分な重症又は最重症のスギ花粉症患者を対象にオマリズマブの有効性及び安全性を評価した国内第Ⅲ相臨床試験(F1301 試験)の結果に基づいています。本試験は、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照(標準治療に上乗せ)試験であり、治験薬投与期間は12 週間、標準治療として経口抗ヒスタミン薬および鼻噴霧用ステロイド薬を全被験者に投与しました。主要評価項目は症状ピーク期の鼻症状スコアの平均値としました。337 名(オマリズマブ群162 名、プラセボ群175 名)がランダム化され、約98%の患者が治療期間を完了しました。主要評価項目である症状ピーク期の鼻症状スコアの平均値の群間差(オマリズマブ群 − プラセボ群)は−1.03 であり、有意な差が認められ(p < 0.001)、オマリズマブの鼻症状改善効果が示されました。また、眼症状の改善、QOL の有意な改善が認められました。既存適応症で得られている安全性情報と比べて新たな安全性の懸念は認められませんでした。
季節性アレルギー性鼻炎について
季節性アレルギー性鼻炎は植物花粉によって誘引され,IgEを介するI型アレルギーです。主な症状は、発作・反復性のくしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉です。重症度は、鼻症状の程度によって、軽度、中等症、重症、最重症の4 つに分類されます。
季節性アレルギー性鼻炎に対してはさまざまな治療法が市場に供されているものの、既存の薬物治療によって症状が十分に管理できない重症又は最重症患者が一定数存在します。そのような患者さんは、症状が非常に強く、患者のQOLや労働生産性の低下が見られます。そのため、既存治療で効果不十分な重症又は最重症の季節性アレルギー性鼻炎患者に対する新たな治療法の開発は、臨床上の重要な課題です。
「ゾレア®」について
「ゾレア」は、国内において、成人の気管支喘息治療剤として2009年1月(150 mg凍結乾燥製剤)及び2012年9月(75 mg凍結乾燥製剤)に、小児の気管支喘息治療剤として2013年8月に、また、慢性蕁麻疹治療剤として2017年3月に承認を取得しています。「ゾレア」は、ノバルティスとジェネンテック社で共同開発され、2019年4月現在、世界90ヵ国以上で気管支喘息の治療薬として、また、世界80ヵ国以上で慢性蕁麻疹の治療薬として承認されています。
「最適使用推進ガイドライン」について
革新的な新規作用機序を有する医薬品は、薬理作用や安全性プロファイルが既存の医薬品と明らかに異なることがあります。このため、有効性および安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、まずは、当該医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対し、副作用が発現した際に必要な対応を迅速にとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用することが重要であることから、「最適使用推進ガイドライン」が作成され、当該医薬品の使用に係る患者および医療機関等の要件、考え方及び留意事項を示すこととなっています。通常の新薬の承認では、承認から薬価収載までの期間を「最適使用推進ガイドライン」の周知徹底の期間にあてることができますが、効能追加承認時に当該追加効能に対して「最適使用推進ガイドライン」が策定された場合には、効能追加承認時から直ちに適用されることになります。
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く医薬品のグローバルリーディングカンパニー、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。ノバルティスは世界で約13万人の社員を擁しており、8億人以上の患者さんに
製品が届けられています。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.co.jp
以上
<参考資料>
「ゾレア®」の製品概要
製品名:
「ゾレア®皮下注用75 mg」(Xolair® for s.c. injection 75mg)
「ゾレア®皮下注用150 mg」(Xolair® for s.c. injection 150mg)
「ゾレア®皮下注75 mgシリンジ」(Xolair® for s.c. injection 75mg syringe)
「ゾレア®皮下注150 mgシリンジ」(Xolair® for s.c. injection 150mg syringe)
一般名:
オマリズマブ(遺伝子組換え)【Omalizumab(Genetical Recombination)】
効能又は効果*:
- 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
- 季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)
- 特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)
用法及び用量*:
<気管支喘息>
通常、オマリズマブ(遺伝子組換え)として1回75~600mgを2又は4週間毎に皮下に注射する。1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前血清中総IgE濃度及び体重に基づき、下記の投与量換算表により設定する。
<季節性アレルギー性鼻炎>
通常、成人及び12歳以上の小児にはオマリズマブ(遺伝子組換え)として1回75~600mgを2又は4週間毎に皮下に注射する。1回あたりの投与量並びに投与間隔は、初回投与前血清中総IgE濃度及び体重に基づき、下記の投与量換算表により設定する。
<特発性の慢性蕁麻疹>
通常、成人及び12歳以上の小児にはオマリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週間毎に皮下に注射する。
承認取得日:
2019年12月11日
製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社
*効能又は効果に関連する注意並びに用法及び用量に関連する注意は、添付文書をご覧下さい。