ノバルティス、GINAステップ4/5の治療でコントロール不十分な喘息患者を対象とした第Ⅲ相LUSTER試験に関する最新情報を発表
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2019年12月16日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。本剤は日本国内では未承認です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。
- LUSTER-1および2試験の併合解析の結果、喘息をフェビピプラントの主要な効能とする開発を継続せず
- フェビピプラントの忍容性は良好で、有害事象は治療群間で同等
2019年12月16日、スイス・バーゼル発‐本日、ノバルティスは、DP2受容体拮抗薬フェビピプラント(QAW039)の1日1回経口投与時の有効性と安全性を検証する主要なグローバル試験である第III相LUSTER-1およびLUSTER-2試験のトップラインの結果を発表しました1, 2。LUSTER試験の併合解析では、いずれの用量 (150 mg/450 mg)においても、52週間の治療期終了時点にプラセボと比較して中等度から重度の増悪率が減少するという臨床的に重要な評価項目を達成しませんでした3。治験では、中用量から高用量の吸入ステロイド(ICS)と少なくとも1剤の長期管理薬を使用したにもかかわらず、コントロールが不十分であった中等症から重症の喘息患者(GINAステップ4および5)を対象としました。これらの結果を総合すると、喘息におけるフェビピプラントの開発継続は難しいと判断しました。
フェビピプラントの忍容性は概ね良好であり、治験における有害事象は全般的に群間で均衡がとれ、プラセボと同等でありました3。LUSTER-1およびLUSTER-2試験から得られた有効性および安全性に関する詳細なデータは解析中であり、来る医学会で発表する予定です。
ノバルティスのグローバル医薬品開発責任者であり、チーフ・メディカル・オフィサーであるジョン・ツァイ氏(John Tsai)は、次のように述べています。
「フェビピプラントを用いたLUSTER試験の結果はとても残念でしたが、喘息におけるDP2経路の理解に貢献出来たと思います。本治験にご貢献頂きました患者さんとそのご家族、治験参加施設の先生方に、深く感謝の意を表します」
LUSTER-11およびLUSTER-22試験は、VIBRANT第III相臨床試験プログラムの一部であり、これにはSPIRIT4安全性試験および補足的な試験であるZEAL-15およびZEAL-26試験も含まれます。ZEAL-1 およびZEAL-2試験のトップラインの結果は、2019年10月に発表されました。
ノバルティスは、既に上市している「ゾレア®」7 (重症アレルギー性喘息[SAA]および慢性特発性蕁麻疹[CSU])*、「ウルティブロ®ブリーズヘラー®」8 (COPD)、に加え第III相臨床試験にある開発品QVM1499 (中等症から重症喘息)、QMF14910 (中等症から重症喘息)などに加え、喘息、COPDをはじめとし、特発性肺線維症、サルコイドーシスなどアンメットニーズの高い領域を対象とした積極的な研究開発プログラムへの投資を継続しています。
フェビピプラントについて
フェビピプラントは、1日1回のステロイドフリーの治験薬です。喘息炎症カスケードの潜在的に重要な調節因子であるDP2経路を遮断します11,12。
LUSTER-1試験およびLUSTER-2試験について12
LUSTER-1およびLUSTER-2(CQAW039A2307, NCT02555683, CQAW039A2314, NCT02563067) は同一デザインで、中等症から重症の喘息患者を対象とした52週のランダム化、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照第III相臨床試験でした。Global Initiative for Asthma13(GINA)ステップ4と5、すなわち標準治療である中用量から高用量の吸入ステロイド(ICS)と1剤以上の長期管理薬の治療でコントロール不十分な、12歳以上の中等症から重症喘息患者を対象とし、治験への参加者は894人(LUSTER‐1試験)と877人(LUSTER‐2試験)でした。投与開始時に血中好酸球数に基づいて層別化し、ランダム化された患者の約3分の2は血中好酸球数が250μL以上、約3分の1は血中好酸球数が250/μL未満であり、異なる好酸球数の患者に対するフェビピプラントの有効性を判定しました。患者は、フェビピプラント150mg、フェビピプラント450mgまたはプラセボのいずれかを1日1回投与する群に無作為に割り付けられました(1:1:1)。
これらの試験の目的は、現在の重症喘息患者に対する標準治療にフェビピプラントを上乗せ投与した時の有効性、安全性および忍容性を明らかにすることでした。
LUSTER-1およびLUSTER-2試験の主要評価項目は、標準治療でコントロール不十分な中等症から重症喘息患者のうち、好酸球数が高値(250/μL以上)の患者を対象に、52週間の投与期終了時点に中等度または重度の1年あたりの喘息増悪率の減少を検証することでした。また、主要評価項目の一部として、血中好酸球値に関わらず全例での喘息増悪率の減少が検討されました。
副次評価項目は、標準治療でコントロール不十分な中等症から重症喘息患者のうち好酸球数が高値(250/μL以上)の患者、および血中好酸球数に関わらず全患者を対象に、52週間の投与期終了時点における喘息QOL(12歳以上の患者用の喘息QOL質問票[AQLQ+12]スコア)、喘息コントロール(喘息コントロール質問票‐5[ACQ5]スコア)、呼吸機能(FEV1)の変化としました。
有害事象、心電図、バイタルサインおよび臨床検査により、フェビピプラントの安全性も評価しました。
中等症から重症の喘息について
喘息の重症度は、軽症、中等症、重症に分けられ、より重症な喘息では、症状および増悪をコントロールするためにより多くの治療(より高用量またはより強力な投薬)が必要となります。Global Initiative for Asthma(GINA)stepwise approach to asthma treatmentによると、ステップ3からステップ5の患者は中等症から重症とされています13。
中等症から重症の喘息患者に対して標準治療の喘息治療が利用可能であるにもかかわらず、GINAステップ4および5の患者の45%以上がコントロール不良のままです14。
これらのコントロールされていない喘息患者は、症状に耐え、疾患が生活の質に及ぼす深刻な影響を受け入れることで、喘息の重症度を軽視したり過小評価したりすることがよくあります15。これらの患者さんでは、重度の増悪、入院、または死亡のリスクが高くなります15,16,17。
*「ゾレア®」は、本邦においては季節性アレルギー性鼻炎の適応も取得しています。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
呼吸器におけるノバルティスについて
過去60年間、喘息の治療には2つのブレークスルーがありました。一つは、1960年代に導入された吸入器であり、最近では生物学的製剤です。
これらの治療法は喘息患者が自分の状態に対処するのを助けてきましたが、大多数の患者は依然として増悪や症状に苦しんでおり、生活の質に深刻な影響を与えています。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約13万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約150カ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
以上
参考文献
- Clinicaltrials.gov. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02555683. Last accessed: Dec 2019.
- Clinicaltrials.gov. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02563067. Last accessed: Dec 2019.
- Novartis Data on file.
- Clinicaltrials.gov. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03052517. Last accessed Dec 2019.
- Clinicaltrials.gov. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03215758. Last accessed: Dec 2019.
- Clinicaltrials.gov. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03226392. Last accessed: Dec 2019.
- In the US, Novartis and Genentech, Inc. work together to develop and co-promote Xolair. Outside the US, Novartis markets Xolair and records all sales and related costs.
- Glycopyrronium bromide and certain use and formulation intellectual property were exclusively licensed to Novartis in April 2005 by Sosei Heptares and Vectura.
- Glycopyrronium bromide and certain use and formulation intellectual property were exclusively licensed to Novartis in April 2005 by Sosei Heptares and Vectura. Mometasone furoate is exclusively licensed to Novartis from a subsidiary of Merck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USA, for use in QVM149 (Worldwide excluding US).
- Mometasone furoate is exclusively licensed to Novartis from a subsidiary of Merck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USA, for use in QMF149.
- Gonem S, et al. Fevipiprant, a prostaglandin D2 receptor 2 antagonist, in patients with persistent eosinophilic asthma: a single-centre, randomised, double-blind, parallel-group, placebo-controlled trial. Lancet Respir Med 2016;4(9):699-707.
- Domingo C, et al. The prostaglandin D2 receptor 2 pathway in asthma: a key player in airway inflammation. Respir Res 2018;19(1):189-196.
- Global Initiative for Asthma – GINA 2019. https://ginasthma.org/wp-content/uploads/2019/01/GINA-Implementation-Toolbox-2019.pdf Last accessed: Dec 2019
- Fang J, et al. Demographic, Clinical Characteristics and Control Status of Pediatric, Adolescent and Adult Asthma Patients by GINA Step in a US Longitudinal Cohort. Am J Resp Crit Care Med 2018;197:A53.
- Katsaounou P, et al. Still Fighting for Breath: a patient survey of the challenges and impact of severe asthma. ERJ Open Res 2018;4(4):00076.
- Peters SP, et al. Uncontrolled asthma: a review of the prevalence, disease burden and options for treatment. Respir Med 2006;100(7):1139-1151.
- Price D, et al. Asthma control and management in 8,000 European patients: the REcognise Asthma and LInk to Symptoms and Experience (REALISE) survey. NPJ Prim Care Respir Med 2014(24):14009.
ノバルティス、GINAステップ4/5の治療でコントロール不十分な喘息患者を対象とした第Ⅲ相LUSTER試験に関する最新情報を発表(PDF 370KB)