ノバルティス、COVID-19重症患者におけるジャカビ®の臨床試験計画とインターナショナルアクセスプログラムについて発表
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2020年4月2日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。
- サイトカインストームを伴うCOVID-19患者におけるジャカビ®(ルキソリチニブ)を評価するため臨床試験を計画
- サイトカインストームはコロナウィルスの感染によって引き起こされる可能性があり、COVID-19患者の呼吸障害の一因になりうる重篤な免疫過剰反応の一種1-3
- 非臨床エビデンスや予備的臨床エビデンスは、JAK阻害剤ジャカビが集中治療や人工呼吸器を必要とする患者数を低減させる可能性を示唆
- ノバルティスはCOVID-19患者さんのアクセスを目的とするインターナショナルアクセスプログラムを立ち上げるとともに、承認されている適応症に対してもジャカビを継続供給
2020年4月2日、スイス・バーゼル発-ノバルティスは本日、COVID-19患者さんにとって生命を脅かす呼吸障害を生じさせるおそれのある一種の重篤な免疫過剰反応、いわゆるサイトカインストームの治療におけるジャカビ®(ルキソリチニブ)の使用を評価するため、インサイト社と共同で第III相臨床試験の準備を進めていることを発表しました1-3。
この決定の背景には非臨床エビデンスおよび第三者による試験の予備的データ、急性移植片対宿主病や骨髄増殖性腫瘍といった病態におけるジャカビの安全性および有効性に関する膨大なデータがあります。この試験では、SARS-CoV-2への感染によって重篤なCOVID-19肺炎を発症した患者さんにおいて、標準治療(SoC)と、ジャカビとSoCの併用療法を評価し、比較する予定です。
「ノバルティスではCOVID-19のパンデミックから生じた緊急のニーズに対処するため、いくつかの対策に取り組んでいます。当社の既存の治療法について評価し、承認されている適応症以外に活用できないかを判断するのもその一つです」と、ノバルティスのグローバル医薬品開発責任者であり、チーフ・メディカル・オフィサーも務めるジョン ツァイ(John Tsai)は述べ「ジャカビが集中治療や人工呼吸器が必要な患者さんを減らし、COVID-19患者さんの回復期間を速められるかもしれないという可能性は大いに勇気づけられるものであり、今後の研究に間違いなく役立つはずです。私たちは現在、試験デザインの最終化に向けて取り組んでおり、その後は適格患者さんを登録できるように進めております。同時に、治験に参加できない患者さんへのアクセスを確保するためのプロセスの構築を進めているところです」 と続けました。
パンデミックの急速な拡大を考慮し、ノバルティスでは試験計画の最終化を進めるほか、各地域の規制に従って、適格患者さんを対象とした国際的なインターナショナルアクセスプログラムも立ち上げました。ノバルティスのプログラムの詳細は、ClinicalTrials.govでご覧いただけます。また、承認されている適応症のために本剤を服用している患者さんへのアクセスを妨げることなく、今後増加すると予想されるジャカビへのCOVID-19関連の要請に応えていくための対策も進めています。米国では、ルキソリチニブのアクセス要請はインサイト社が調整を行っています。
日本においては、日本の規制を遵守しながら必要とする患者さんにジャカビをお届けできるよう検討してまいります。
「ジャカビ®」について
「ジャカビ」は、JAK1 およびJAK2 チロシンキナーゼの経口阻害剤です。「ジャカビ」は、欧州委員会により、ヒドロキシカルバミドに抵抗性または不耐容である真性多血症(PV)の成人患者さんの治療、原発性骨髄線維症(慢性突発性骨髄線維
症)、真性多血症後の骨髄線維症または本態性血小板血症後の骨髄線維症(MF)の成人患者さんにおける脾腫または諸症状の治療薬として承認されました。「ジャカビ」は、欧州連合、スイス、カナダ、日本を含む101カ国でMF の治療薬として、また、欧州連合、スイス、日本、カナダを含む75カ国以上で、PV の治療薬として承認されています。日本では、2011年9月に骨髄線維症を予定される効果・効能として厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受け、2014年7月に骨髄線維症の治療薬として承認を取得しています。また、2015年9月には、真性多血症(既存治療が効果不十分または不適当な場合に限る)を効果・効能として、承認を取得しました。「ジャカビ」の正確な適応症は各国により異なり、その他の国においても、骨髄線維症および真性多血症の治療薬として世界各国で承認申請が進められています。
ノバルティスはルキソリチニブについて、インサイト社から米国外での開発と商業化のライセンスを取得しています。「ジャカビ」は、米国ではJakafi®という製品名で、ヒドロキシカルバミドが効果不十分であるか、ヒドロキシカルバミドに不耐容である真性多血症の患者さんの治療薬のほか、中リスクから高リスクの骨髄線維症の患者さんの治療薬、成人および12歳以上の小児患児ステロイド抵抗性の急性GvHD患者さんの治療薬として、インサイト社が販売しています。
真性多血症に対する「ジャカビ」の推奨開始用量は、10mgの1日2回経口投与です。骨髄線維症に対する推奨開始用量は、血小板数が100,000/mmから200,000/mmの患者さんに対しては「ジャカビ」15mgの1日2回経口投与、血小板数が200,000/mmを上回る患者さんに対しては20mgの1日2回投与です。用量は、安全性と有効性に基づいて調整します。骨髄線維症の患者さんや真性多血症の患者さんの血小板数が50,000/mmから100,000/mmの真性多血症の患者さんに対する推奨開始用量については限られた情報しかありません。このような患者さんに対する最大推奨開始用量は5mgの1日2回投与であり、慎重に調整する必要があります。「ジャカビ」は、米国外の国々におけるノバルティス社の登録商標です。Jakafi®はインサイト社の登録商標です。承認されている適応症以外では、「ジャカビ」の安全性と有効性のプロファイルは確立されていません。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の7億5千万人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約10万9千人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。 https://www.novartis.com
以上
参考文献
- “NCI Dictionary of Cancer Terms: cytokine release syndrome.” National Cancer Institute, www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/cytokine-release-syndrome. Accessed 28 March, 2020.
- Mehta, Puja, et al. “COVID-19: Consider Cytokine Storm Syndromes and Immunosuppression.” The Lancet, vol. 395, no. 10229, 28 Mar. 2020, pp. 1033–1034., doi:10.1016/s0140-6736(20)30628-0.
- Shimabukuro-Vornhagen, Alexander, et al. “Cytokine Release Syndrome.” Journal for ImmunoTherapy of Cancer, vol. 6, no. 56, 15 June 2018, doi:10.1186/s40425-018-0343-9.
ノバルティス、COVID-19重症患者におけるジャカビ®の臨床試験計画とインターナショナルアクセスプログラムについて発表(PDF 465KB)