ノバルティス、ジャカビ®が急性移植片対宿主病において現状で利用可能な最良の治療よりも効果的であることを示すデータを発表
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2020年4月22日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。本製品は日本国内で製造販売承認申請中です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。
- 『The New England Journal of Medicine』誌に発表された第III相REACH2試験のデータは、ジャカビが一次治療薬のステロイド治療1に反応を示さない急性移植片対宿主病(GvHD)患者の転帰を改善することを示す
- 主要評価項目である28日時点での全奏効率において、現状で利用可能な最良の治療(BAT)の39%に対し、ジャカビは62%を達成1
- GvHDは同種幹細胞移植の重篤かつ一般的な合併症であり、その急性型における1年死亡率は80%にも達する2-4
2020年4月22日、スイス・バーゼル発-本日『The New England Journal of Medicine』誌に発表された第III相REACH2試験のデータは、ステロイド抵抗性の急性移植片対宿主病(GvHD)患者において、ジャカビⓇ(ルキソリチニブ)が現状で利用可能な最良の治療(BAT)に比べ、多様な有効性評価指標にわたる転帰を改善させることを示しました。急性GvHDで主要評価項目を達成した初の第III相試験であるREACH2の結果は、これまでに報告された第II相REACH1試験の所見を支持するものです。この新たなデータは、8月30日から9月2日にマドリードで開催される欧州骨髄移植学会(EBMT)年次総会の会長シンポジウムでの発表にも選ばれました。
REACH2試験では、ジャカビによる治療を行った患者において、試験の主要評価項目である28日時点の全奏効率(ORR)がBATよりも有意に高いことが確認されました(62% vs. 39%; p<0.001)。主要な副次評価項目に関しては、ジャカビで治療した患者は、8週の時点で有意に高い長期ORRを維持しました(40% vs. 22%; p<0.001)。さらに、ジャカビにはBATよりも長い治療成功生存期間(FFS)中央値が認められ(5.0カ月 vs. 1.0カ月、ハザード比0.46、95%信頼区間 0.35~0.60)、奏効期間を含む他の副次評価項目1で良好な傾向が確認されました。
「急性移植片対宿主病の患者さんのほぼ半数は初期のステロイド療法に反応を示さず、治療選択肢も限られているため、生命が脅かされる困難に直面しています」と、フライブルグ大学病院血液・腫瘍・幹細胞移植科(ドイツ、フライブルグ)のRobert Zeiser医師は語っています。また「現在の標準治療法に対するジャカビの優位性を示すREACH2のデータは、治療の難しいこの病態においてJAK経路の標的化が有効になりうるという新たなエビデンスを蓄積しました」と述べました。
REACH2では新たな安全性シグナルは認められず、治療に起因する有害事象(AE)は、すでに把握しているジャカビの安全プロファイルと合致するものでした。最も多く見られたAEは血小板減少症、貧血、サイトメガロウイルス感染症です。ジャカビとBATにおいて用量調整が必要になった患者さんはそれぞれ38%と9%でしたが、AEを原因として治療を中止した患者さんは少数でした(それぞれ11%と5%)1。
ノバルティスのグローバル医薬品開発部門責任者兼チーフメディカルオフィサーであるジョン ツァイ(M.D.)は「ステロイド抵抗性の急性移植片対宿主病患者において初めて成果が確認された無作為化第III相治験であるREACH2から説得力のある結果が得られたことは、私たちにとって、この困難な病態との闘いにおけるジャカビの潜在的可能性への大きな自信を与えてくれるものです」と述べ、「私たちは米国以外の規制当局との協議が始まるのを心待ちにしています」と続けました。
2019年に米国食品医薬品局(FDA)は、単群での第II相REACH1試験5の結果にもとづき、成人および12歳以上の小児患者におけるステロイド抵抗性の急性GvHDの治療薬としてルキソリチニブ(米国ではJakafi®としてIncyte社が販売)を承認しました。ステロイド抵抗性の慢性GvHD患者を対象とした第III相REACH3試験は現在実施中であり、今年の下半期には結果が得られるものと期待されています。
「ジャカビ®」について
「ジャカビ」は、JAK1およびJAK2チロシンキナーゼの経口阻害剤です。「ジャカビ」は、欧州委員会により、ヒドロキシカルバミドに抵抗性または不耐容である真性多血症(PV)の成人患者さんの治療、原発性骨髄線維症(慢性突発性骨髄線維症)、真性多血症後の骨髄線維症または本態性血小板血症後の骨髄線維症(MF)の成人患者さんにおける脾腫または諸症状の治療薬として承認されました。「ジャカビ」は、欧州連合、スイス、カナダ、日本を含む101カ国でMFの治療薬として、また、欧州連合、スイス、日本、カナダを含む75カ国以上で、PVの治療薬として承認されています。日本では、2011年9月に骨髄線維症を予定される効果・効能として厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受け、2014年7月に骨髄線維症の治療薬として承認を取得しています。また、2015年9月には、真性多血症(既存治療が効果不十分または不適当な場合に限る)を効果・効能として、承認を取得しました。「ジャカビ」の正確な適応症は各国により異なり、その他の国においても、骨髄線維症および真性多血症の治療薬として世界各国で承認申請が進められています。
ノバルティスはルキソリチニブについて、インサイト社から米国外での開発と商業化のライセンスを取得しています。「ジャカビ」は、米国ではJakafi®という製品名で、ヒドロキシカルバミドが効果不十分であるか、ヒドロキシカルバミドに不耐容である真性多血症の患者さんの治療薬のほか、中リスクから高リスクの骨髄線維症の患者さんの治療薬、成人および12歳以上の小児患児ステロイド抵抗性の急性GvHD患者さんの治療薬5として、インサイト社が販売しています。
真性多血症に対する「ジャカビ」の推奨開始用量は、10mgの1日2回経口投与です。骨髄線維症に対する推奨開始用量は、血小板数が100,000/mmから200,000/mmの患者さんに対しては「ジャカビ」15mgの1日2回経口投与、血小板数が200,000/mmを上回る患者さんに対しては20mgの1日2回投与です。用量は、安全性と有効性に基づいて調整します。骨髄線維症の患者さんや真性多血症の患者さんの血小板数が50,000/mmから100,000/mmの真性多血症の患者さんに対する推奨開始用量については限られた情報しかありません。このような患者さんに対する最大推奨開始用量は5mgの1日2回投与であり、慎重に調整する必要があります5。
「ジャカビ」は、米国外の国々におけるノバルティス社の登録商標です。Jakafi®はインサイト社の登録商標です。承認されている適応症以外では、「ジャカビ」の安全性と有効性のプロファイルは確立されていません。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の7億5千万人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約10万9千人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。 https://www.novartis.com
以上
参考文献
- Robert Zeiser, et al. Ruxolitinib for Glucocorticoid-Refractory Acute Graft-versus-Host Disease. New England Journal of Medicine. 2020.
- Von Dalowski F, et al. Mesenchymal Stromal Cells for Treatment of Acute Steroid‐Refractory Graft Versus Host Disease: Clinical Responses and Long‐Term Outcome. Stem Cells, 2016 34(2): 357-366. doi.org/10.1002/stem.2224
- Shapira MY, et al. Regional intra-arterial steroid treatment in 120 patients with steroid-resistant or -dependent GvHD. Bone Marrow Transplant. 2017 52(10): 1416-1422. doi.org/10.1038/bmt.2017.120
- Pidala J, et al. Mycophenolate mofetil for the management of steroid-refractory acute graft vs host disease. Bone Marrow Transplant. 2010 45(5): 919-924. doi.org/10.1038/bmt.2009.252
- Jakavi® (ruxolitinib) tablets: EU Summary of Product Characteristics. Novartis; Mar 2015.
ノバルティス、ジャカビ®が急性移植片対宿主病において現状で利用可能な最良の治療よりも効果的であることを示すデータを発表(PDF 456KB)