脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療用製品「ゾルゲンスマ®点滴静注」の投与判定における抗AAV9抗体検査結果の無償提供プログラムを開始
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:綱場 一成、以下「ノバルティス ファーマ」)は本日、抗AAV9抗体検査結果の無償提供プログラムを開始しました。
脊髄性筋萎縮症(Spinal Muscular Atrophy: SMA)に対する遺伝子治療用製品である「ゾルゲンスマ®点滴静注」(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク、以下「ゾルゲンスマ」)は、2歳未満の「脊髄性筋萎縮症(臨床所見は発現していないが、遺伝子検査により脊髄性筋萎縮症の発症が予測されるものも含む)ただし、抗AAV9抗体が陰性の患者に限る」を効能、効果又は性能として3月19日に製造販売承認されました。ゾルゲンスマは、承認された体外診断薬を用いた検査により抗AAV9抗体が陰性であることが確認された患者にのみ投与が可能となっています。
ゾルゲンスマのコンパニオン診断薬は、2020年4月27日に株式会社医学生物学研究所(本社:名古屋市中区、代表取締役社長 山田 公政)が承認を取得したMEBCDX AAV9 テスト(以下、本キット)です。Quest Diagnostics社(本社:米国・ニュージャージー州)からの技術導入により、日本における製造・販売のライセンスを株式会社医学生物学研究所が取得して開発した本キットにより、脊髄性筋萎縮症におけるゾルゲンスマの適応判定が可能となります。本キットは、株式会社医学生物学研究所が5月7日付けで発売し、本キットを用いた検査は、株式会社LSIメディエンス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 渡部 晴夫)にて受託を開始します。
しかしながら、本キットは本日時点で保険収載されていないため、ゾルゲンスマが保険診療下で使用可能となった際に、治療機会を失う患者さんの存在が懸念されています。この状況に対してノバルティス ファーマは、抗AAV9抗体陰性のSMA患者の緊急の治療ニーズを満たす倫理的観点から、本キットの保険収載までの期間、抗AAV9抗体検査結果提供プログラムを、株式会社医学生物学研究所および株式会社LSIメディエンスの協力のもと、実施します。
SMAとは
SMAは、脊髄前角細胞の変性・消失によって進行性に筋力低下と筋萎縮を呈する下位運動ニューロン病です。SMAは、希少疾患であり、SMAの特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は、平成30年度末に全国で858人、0歳~9歳は30人と報告されております。また、遺伝性疾患による乳幼児の主な死亡原因であり、日本における指定難病の1つです。
ゾルゲンスマについて
ゾルゲンスマはSMAの根本原因であるSMN1遺伝子の機能欠損を補うことで運動ニューロンのSMNタンパク質発現量を増加させ、患者の生命予後及び運動機能を改善する遺伝子治療用製品です。
ゾルゲンスマは、抗AAV9抗体価が高い患者さんへの投与経験はなく、抗AAV9抗体価が高い患者さんに対するゾルゲンスマの有効性及び安全性が明らかでないことから、「承認された体外診断薬を用いた検査により抗AAV9抗体が陰性であることが確認された患者に投与する」旨が効能、効果又は性能に関連する使用上の注意としても設定されています。
コンパニオン診断薬について
コンパニオン診断薬とは、特定の医薬品等の有効性や安全性を高めるため、治療前に患者さんに特定の医薬品が投与できるか判断するために使用される体外診断用医薬品です。コンパニオン診断薬は、ある医薬品等が効果を示す患者さんを特定したり、副作用のリスクの大きい患者さんを特定したり、適正な投与量を判断するために用いられます。
MEBCDX AAV9 テストについて
本キットは、株式会社医学生物学研究所のコンパニオン診断薬開発受託サービスによって開発された製品です。Quest Diagnostics社より技術移管を受け、コンパニオン診断薬として4月27日に承認されました。 患者さんの血清を検体とし、ELISA法により抗AAV9抗体を測定することでゾルゲンスマの適応を判断します。
株式会社医学生物学研究所について
1969年に日本で最初の抗体メーカーとして設立され、現在では、免疫学的領域のみならず、遺伝子診断の領域にも事業を拡大して、臨床検査薬及び基礎研究用試薬の研究・開発・製造・販売を行っています。
臨床検査薬事業では、自己免疫疾患、がん、感染症等の検査薬の開発・販売を行っています。自己抗体診断分野では日本国内トップメーカーとして製品ラインナップの充実を図り、難治性疾患の多い当該分野の医療に貢献しています。がん診断分野では医薬品の効果を予測するコンパニオン診断薬を開発し、個別化医療に貢献しています。
https://www.mbl.co.jp/
株式会社LSIメディエンスについて
株式会社LSIメディエンスは、1975年に設立され、「臨床検査事業」、「診断薬事業」、「創薬支援事業」を主要事業に、長年培ってきた検査・分析力をコア・コンピタンスとし、検査結果に解析力を加えた新たなソリューションの創出を目指しています。病気の予防・早期発見、治療に貢献し、個別化医療などの次世代医療を支える取り組みも積極的に行っております。2018年度の売上収益は887億円で3,500名の従業員を擁する日本で有数の総合ヘルスケアサービス企業です。
https://www.medience.co.jp/
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く医薬品のグローバルリーディングカンパニー、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。ノバルティスは世界で約10万9千人の社員を擁しており、8億人以上の患者さんに製品が届けられています。ノバルティスに関する詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.co.jp
以上
脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療用製品「ゾルゲンスマ®点滴静注」の投与判定における抗AAV9抗体検査結果の無償提供プログラムを開始(PDF 338KB)