ノバルティス、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療薬として、「タブレクタ®錠150mg、同錠200mg」の製造販売承認を取得
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:綱場 一成)は、本日、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(以下、NSCLC)治療薬として、タブレクタ®錠 150mg及び同錠200mg(一般名:カプマチニブ塩酸塩水和物、以下「タブレクタ」)に対する製造販売承認を取得したことをお知らせいたします。
MET 遺伝子エクソン14 スキッピング(以下、METex14)変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC の予後は不良で、生命を脅かす重篤な疾患である一方1、治療選択肢が非常に限られており、MET遺伝子を標的とした治療法の開発が望まれていました。MET遺伝子変異を有する患者さんはNSCLC患者数2の約3~4%3と報告されており、METex14変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者数は日本国内では約3,000名程度と推定されます。
なお、METex14変異の検出には、タブレクタのコンパニオン診断薬として中外製薬株式会社の「FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイル」が用いられます。
今回の承認について、ノバルティス オンコロジー ジャパンのプレジデントであるブライアン グラッツデンは、次のように述べています。「近年、遺伝子検査の技術が進み、多くのがん患者さんのがんの原因となるドライバー遺伝子が特定されるようになった一方で、遺伝子変異が特定されたにも関わらず、その遺伝子を標的とした治療法がない患者さんがいます。『タブレクタ』の承認により、METex14変異陽性の非小細胞肺がん患者さんにより適した標的療法を提供すると同時に、患者さんの人生に貢献できることを大変嬉しく思います」
今回の承認は、MET遺伝子増幅又はMETex14変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者を対象に、カプマチニブ(1回400mgを1日2回連日投与)の単剤投与を検討する国際共同第II相試験(GEOMETRY mono-1試験)の結果に基づいています。このうちMETex14変異を有する患者のコホートでは,主要評価項目である独立画像判定機関の評価による奏効率(RECIST ver 1.1基準に基づく)は、化学療法歴のない患者28例(日本人患者2例を含む)で68%(95%信頼区間[CI]:48-84)、化学療法歴のある患者69例(日本人患者11例を含む)で41%(95% [CI]:29-53)でした。主要な副次評価項目である奏効期間(DOR)中央値は、それぞれ12.6カ月(95% CI、 5.5–25.3)および9.7カ月(95% CI、 5.5-13.0)でした。
副作用は、97例中87例(89.7%)に認められ、主な副作用は、末梢性浮腫52.6%(51/97例)、悪心37.1%(36/97例)、血中クレアチニン増加25.8%(25/97例)、嘔吐18.6%(18/97例)、疲労16.5%(16/97例)、食欲減退15.5%(15/97例)、下痢11.3%(11/97例)、リパーゼ増加11.3%(11/97例)およびALT増加10.3%(10/97例)でした。
「タブレクタ®錠」について
「タブレクタ」はMETに対する選択的な経口阻害剤で、NSCLCにおける発がんドライバー因子であるMETex14変異に対しても阻害活性を有します。MET遺伝子変異はNSCLCを含む種々のがんで報告されており、この遺伝子異常によって生じるMET経路の制御異常が、腫瘍細胞の増殖、生存、浸潤及び転移、ならびに腫瘍血管新生を促進すると考えられています4。「タブレクタ」は、米国では2019年9月に画期的治療薬指定、本年2月に優先審査品目指定、5月に承認を取得しています。
なお、本邦において「タブレクタ」は2019年5月に「MET 遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品指定を受けています。
ノバルティスは、2009年にIncyte社からカプマチニブに関するライセンスを取得しました。この契約に基づき、Incyte社はノバルティスに、カプマチニブに対する包括的な独占的開発および全世界における商業権を付与しました。
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く医薬品のグローバルリーディングカンパニー、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。ノバルティスは世界で約10万9千人の社員を擁しており、8億人以上の患者さんに製品が届けられています。ノバルティスに関する詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp
以上
参考文献
- Tong JH, Yeung SF, Chan AWH, et al.. MET Amplification and Exon 14 Splice Site Mutation Define Unique Molecular Subgroups of Non–Small Cell Lung Carcinoma with Poor Prognosis. Clin Cancer Res. 2016; 22(12):3048-3056.
- http://cancermpact.khapps.com/ (2019年時点のデータ)
- Salgia R. MET in Lung Cancer: Biomarker Selection Based on Scientific Rationale. Mol Cancer Ther. 2017; 16(4):555-565.
- Christensen et al. c-Met as a target for human cancer and characterization of inhibitors for therapeutic intervention. Cancer Lett. 2005; 225(1):1-26.
<参考資料>
「タブレクタ®錠150 mg/200mg」の製品概要
製品名:
「タブレクタ®錠150mg」(TABRECTA™ Tablets 150mg)
「タブレクタ®錠200mg」(TABRECTA™ Tablets 200mg)
一般名:
カプマチニブ塩酸塩水和物
効能又は効果*:
MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
用法及び用量*:
通常、成人にはカプマチニブとして1回400mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
承認取得日:
2020 年6月29日
製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社
*効能又は効果に関連する使用上の注意並びに用法及び用量に関連する使用上の注意は、添付文書をご覧下さい。
ノバルティス、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療薬として、「タブレクタ®錠150mg、同錠200mg」の製造販売承認を取得(PDF 350KB)