ノバルティス、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療薬として、「タブレクタ®錠150mg、同錠200mg」を発売
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:綱場 一成)は、本日、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(以下、NSCLC)治療薬として、タブレクタ®錠 150mg及び同錠200mg(一般名:カプマチニブ塩酸塩水和物、以下「タブレクタ」)を発売しました。
「タブレクタ」はMETに対する選択的な経口阻害剤で、NSCLCにおける発がんドライバー因子であるMETex14変異に対しても阻害活性を有します。
METex14変異陽性のNSCLCは、肺がんの中でも予後不良な集団で治療選択肢が限られており、METex14を標的とする治療法の開発が望まれていました。METex14変異はNSCLC患者1の約3~4%2に報告されており、METex14変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者数は日本国内では約3,000名程度と推定されます。
「タブレクタ」の「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応判定は、FoundationOne® CDx がんゲノムプロファイルによって行います。FoundationOne CDxがんゲノムプロファイルのコンパニオン診断機能の追加については、2020年6月25日に厚生労働省より承認を取得しています。
ノバルティス オンコロジー ジャパンのプレジデントであるブライアン グラッツデンは、次のように述べています。「近年、遺伝子検査の技術進化により、多くのがん患者さんのがんの原因の特定も進んでいます。今回長く待ち望まれていたMET遺伝子を標的とした治療法として、『タブレクタ錠』を発売できることは大変嬉しく患者さんの人生に貢献できることを期待しています」
「タブレクタ®錠」について
「タブレクタ」はMETに対する選択的な経口阻害剤で、NSCLCにおける発がんドライバー因子であるMETex14変異に対しても阻害活性を有します。MET遺伝子変異はNSCLCを含む種々のがんで報告されており、この遺伝子異常によって生じるMET経路の制御異常が、腫瘍細胞の増殖、生存、浸潤及び転移、ならびに腫瘍血管新生を促進すると考えられています3。「タブレクタ」は、米国では2019年9月に画期的治療薬指定、本年2月に優先審査品目指定、5月に承認を取得しています。なお、本邦においては2019年5月に「MET 遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品指定を受け、2020年6月29日に製造販売が承認されています。
ノバルティスは、2009年にIncyte社からカプマチニブに関するライセンスを取得しました。この契約に基づき、Incyte社はノバルティスに、カプマチニブに対する包括的な独占的開発および全世界における商業権を付与しました。
肺がんに対するノバルティスのコミットメント
世界的に肺がんによる死亡者数は、結腸がん、乳がん、前立腺がんを合わせた数よりも多いとされており、毎年200万人以上の人々が新たに肺がんの診断を受けています4。治療は進歩しているものの、NSCLC患者さんの予後は依然として不良であり、治療選択肢は限られています5。NSCLC患者さんの約70%は、治療可能な標的となり得る遺伝子変異を有しています6。 最も適切な治療法を決定するために、医療関連学会は肺がん患者さんの遺伝子検査を推奨しています7。
ノバルティスオンコロジーの研究は、NSCLCとともに生きる患者さんの治療法を改善することに貢献しています。ノバルティスは、進行中の試験のみならず、NSCLCにおける治験薬の探索を通じて、世界の肺がんコミュニティへのコミットメントを継続しています。これには、遺伝子バイオマーカーおよび腫瘍を促進させる炎症を標的とした治験薬が含まれます。
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く医薬品のグローバルリーディングカンパニー、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。ノバルティスは世界で約11万人の社員を擁しており、8億人以上の患者さんに製品が届けられています。ノバルティスに関する詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp
以上
参考文献
- http://cancermpact.khapps.com/ (2019年時点のデータ)
- Salgia R. MET in Lung Cancer: Biomarker Selection Based on Scientific Rationale. Mol Cancer Ther. 2017; 16(4):555-565.
- Christensen et al. c-Met as a target for human cancer and characterization of inhibitors for therapeutic intervention. Cancer Lett. 2005; 225(1):1-26.
- American Cancer Society. About Lung Cancer. Available at https://www.cancer.org/cancer/non-small-cell-lung-cancer/about/what-is-non-small-cell-lung-cancer.html. Accessed August 7, 2020.
- Tong JH, Yeung SF, Chan AWH, et al. MET Amplification and Exon 14 Splice Site Mutation Define Unique Molecular Subgroups of Non–Small Cell Lung Carcinoma with Poor Prognosis. Clin Cancer Res. 2016; 22(12):3048-3056.
- Seto T, Matsumoto S, Yoh K, et al. Contribution of nationwide genome screening in Japan (LC-SCRUM-Japan) to the development of precision medicine for non-small cell lung cancer. Journal of Clinical Oncology. 2018 36:15_suppl, 9085-9085
- National Comprehensive Cancer Network. Non-Small Cell Lung Cancer (Version 6.2020). Available at https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/nscl.pdf. Accessed August 7, 2020.
<参考資料>
「タブレクタ®錠150 mg/200mg」の製品概要
製品名:
「タブレクタ®錠150mg」(TABRECTA™ Tablets 150mg)
「タブレクタ®錠200mg」(TABRECTA™ Tablets 200mg)
一般名:
カプマチニブ塩酸塩水和物
効能又は効果*:
MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
用法及び用量*:
通常、成人にはカプマチニブとして1回400mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
承認取得日:
2020 年6月29日
薬価収載日:
2020年8月26日
薬価:
「タブレクタ®錠150mg」 5,055.50円/錠
「タブレクタ®錠200mg」6,573.50円/錠(1日薬価:26,293.80円)
製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社
*効能又は効果に関連する使用上の注意並びに用法及び用量に関連する使用上の注意は、添付文書をご覧下さい。
ノバルティス、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療薬として、「タブレクタ®錠150mg、同錠200mg」を発売(PDF 331KB)