ノバルティス、慢性特発性蕁麻疹(CSU)の患者におけるremibrutinib(LOU064)の迅速かつ効果的な疾患活動性コントロールを示すデータを発表
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2021年9月30日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。本剤について日本国内では未承認です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。
- 第IIb相試験の結果から、全てのremibrutinib群でプラセボ群と比べて4週および12週時の週間蕁麻疹活動性スコア(7-day Urticaria Activity day Urticaria Activity Score, UAS7)のベースラインからの変化量に有意な改善が認められ、検討した全ての用量で良好な安全性プロファイルが示された。
- UAS7 = 0(膨疹およびそう痒の完全消失)およびUAS7 ≤ 6(疾患活動性のコントロール良好)を達成した患者の割合では、プラセボ群と比較して、全てのremibrutinib群で、1週目より投与期間を通じて臨床的に意義のある改善が示された。
- Remibrutinibは、ベストインクラスとなる可能性のある、選択性の高い経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬で、複数の免疫介在性疾患で検討が進められており、CSUにおける第III相試験は2021年末までに患者登録が開始される予定。
- 2021年の欧州皮膚科性病学会議(EADV)で発表されたデータは、ノバルティスが生活を制限する皮膚免疫疾患による負担の軽減を目指し、この領域におけるイノベーションに対して継続的な取り組みを行っていることを示すものである。
- CSUは、多くの患者にとってコントロール不良のままである苦痛を伴い、かつ予兆なく発現する疾患であり、新たな作用機序を持つ治療薬開発の重要性が強調されている。
2021年9月30日、スイス・バーゼル発 — ノバルティスは、本日、ベストインクラスとなる可能性のある経口BTK阻害薬であるremibrutinib(LOU064)について、コントロールが不十分な慢性特発性蕁麻疹(CSU)の患者において迅速かつ効果的な疾患コントロールが認められたことを示す第IIb相試験の肯定的なデータを発表しました。このデータは、第30回欧州皮膚科性病学会議(EADV)において、最新の抄録として発表されました。
無作為化、二重盲検、プラセボ対照で実施された本試験(NCT03926611試験)では、抗ヒスタミン薬でコントロールが不十分な患者を対象として、remibrutinibの有効性および安全性を12週にわたり評価しました。患者(n = 311)は、プラセボまたは各用量のremibrutinibを経口投与する群に無作為に割り付けられました。主要評価項目である4週時のUAS7のベースラインからの変化量を指標としてremibrutinib群でプラセボ群と比較して統計学的に有意な用量反応が示されました1。
全てのremibrutinib群で4週および12週時のUAS7のベースラインからの変化量に有意な改善が認められ(すべての用量群でプラセボ群に対しp < 0.0001)、1週時点で迅速な改善が示されました。プラセボ群と比較して、12週(投与終了)時までに膨疹およびそう痒の完全消失(UAS7 = 0)または良好な疾患コントロール(UAS7 ≤ 6)が達成された患者は、いずれの用量でもremibrutinibを投与された患者でプラセボ群よりも多く認められました。remibrutinibは検討した全ての用量で良好な安全性プロファイル及び良好な忍容性を示し、用量依存的傾向は認められませんでした。
Novartis Global Head Development Unit Immunology, Hepatology & DermatologyのAngelika Jahreis(M.D., Ph.D.)は次のように述べています。「世界の人口の最大1%がCSUに罹患しており2、私たちがその治療の進歩に貢献していることを誇りに思います。こうした治療の進歩にもかかわらず、現在も新たなCSU治療薬が必要とされており、私たちはイノベーションの限界への挑戦に取り組んでいきます。これまでCSUのコントロールが不十分であった患者さんにおいて、この新たな経口薬で迅速な疾患コントロールを達成したことは、注目すべきことであり、私たちは今後remibrutinibの一日も早い開発に努めてまいります。」
CSUは苦痛を伴う予兆なく発現する疾患であり、特定の外的刺激なしに6週間以上痒みのある腫れ(膨疹)、血管性浮腫、あるいはその両方が生じることを特徴とし3,4、患者の生活の質(QoL)に多大な影響をおよぼす可能性がある疾患です2。多くの場合は1~5年持続しますが、それより長い場合もあります。既存の治療を受けても、多くの患者で疾患コントロールが不十分なままとなっています⁵。
Remibrutinibは、ノバルティスで創薬された選択性の高い経口BTK阻害薬であり6,7、複数の臨床試験や初期段階の開発が進行中です。新しいCSU治療薬に対するアンメット・ニーズにより、これまでにない作用機序をもつ治療薬開発の重要性が強調されています。BTK阻害作用は、FcεR1(高親和性IgE受容体)を介したマスト細胞および好塩基球のシグナル伝達における重要な役割やCSUの病態形成との関連性から、CSUに対する魅力的な治療選択肢となる可能性があります。
本試験について
NCT03926611試験は、第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬でコントロールが不十分な中等度以上の活動性を有するCSU患者を対象とし、remibrutinibを12週投与した際の有効性及び安全性を評価する、第IIb相無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量設定試験です。試験に参加した患者は、CSUが6カ月以上持続し、無作為化前の7日間のUAS7が16以上の患者としました。主要目的は、4週時のUAS7のベースラインからの変化量を指標としてremibrutinibの用量反応関係を確認することでした。副次評価項目には、経時的なUAS7のベースラインからの変化量、UAS7 = 0(膨疹およびそう痒の完全消失)およびUAS7 ≤ 6(疾患活動性のコントロール良好)の経時変化、ならびに安全性評価のための有害事象(AE)の評価が含まれました1。
ノバルティスとCSUについて
ノバルティスは皮膚科学に関心を向け、CSU、乾癬、尋常性ざ瘡、アトピー性皮膚炎など、QoLに顕著な影響をおよぼす可能性のある疾患に対する治療方法を再考することに注力しています。ノバルティスは、CSU患者さんがこの疾患による苦痛や予測不能な症状を伴う事なく生活できるよう、CSU治療を前進させる医薬品の開発に取り組んでいます。開発ポートフォリオには、次世代の高親和性抗免疫グロブリンE(IgE)モノクローナル抗体であるligelizumab(QGE031)と、ベストインクラスの経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬となる可能性のあるremibrutinib(LOU064)が含まれます。これらの薬剤が、CSUに対し、既に承認を取得している「ゾレア®」を補完するものとなることを目指しています。
なお、米国では、ノバルティスとロシュ・グループであるGenentech社が協働で「ゾレア」の開発と販売活動を行っており、米国以外では、ノバルティスが「ゾレア」を販売しています。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
以上
参考文献
- Maurer, M, Berger, W, et al. The Bruton’s Tyrosine Kinase Inhibitor Remibrutinib (LOU064) in Chronic Spontaneous Urticaria: Top Line Results of a Phase 2b Dose-Finding Study. Presented at the EADV Congress 2021.
- Maurer M, Weller K, Bindslev-Jensen C, et al. Unmet clinical needs in chronic spontaneous urticaria. A GA2LEN task force report. Allergy. 2011;66(3):317-330.
- Grattan, C. The urticarias: pathophysiology and management. Clin Med (Lond) 2012;12(2):164-7. (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22586795).
- Zuberbier, T, Aberer W, Asero R, et al. The EAACI/GA(2)LEN/EDF/WAO guideline for definition, classification, diagnosis and management of urticaria. Allergy 2018;73(7): 1393-1414.DOI:10.1111/all.13397.
- Kaplan A, Ferrer M, Bernstein JA, et al. Timing and duration of omalizumab response in patients with chronic idiopathic/spontaneous urticaria. J Allergy Clin Immunol 2016;137(2):474-81. DOI:10.1002/j.jaci.2015.08.023
- Angst D, Gessier F, Janser P, et al. Discovery of LOU064 (Remibrutinib), a Potent and Highly Selective Covalent Inhibitor of Bruton’s Tyrosine Kinase. Journal of Medicinal Chemistry 2020, 63, 10, 5102-5118 https://doi.org/10.1021/acs.jmedchem.9b01916
- Kaul M, End P, Cabanski M,et al. Remibrutinib (LOU064): A selective potent oral BTK inhibitor with promising clinical safety and pharmacodynamics in a randomized phase I trial. Clin Transl Sci. 2021;00:1–13. https://doi.org/10.1111/cts.13005
ノバルティス、慢性特発性蕁麻疹(CSU)の患者におけるremibrutinib(LOU064)の迅速かつ効果的な疾患活動性コントロールを示すデータを発表(PDF 325KB)