Jan 11, 2022

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2021年12 月13日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。

  • 重要なアンメット・ニーズを有する高リスク群の大半において完全奏効率、全奏効率、奏効期間を十分に維持1
  • ELARA試験の約17ヵ月(中央値)の追跡調査で、再発または難治性(r/r)の濾胞性リンパ腫(FL)患者における12ヵ月無増悪生存率は67%、完全奏効が認められた患者における12ヵ月無増悪生存率は86%を達成1
  • 良好な安全性プロファイルは初期の解析結果と一貫しており、投与後8週間以内に高グレードのサイトカイン放出症候群は認められず、新たな安全性シグナルは確認されず1

2021年12月13日、スイス・バーゼル発 — ノバルティスは、「キムリア®」(一般名:チサゲンレクルユーセル、以下「キムリア」)のピボタル第II相ELARA試験の約17ヵ月(中央値)の追跡調査に基づく部分集団解析において、「キムリア」が再発または難治性(r/r)の濾胞性リンパ腫(FL)の高リスク患者で顕著な有効性を示したと発表しました1。この結果は、第63回米国血液学会(ASH)年次総会および展覧会のオーラルセッションで発表されました。(抄録#131)

今回の部分集団解析の結果から、通常は予後不良な高リスク群の大半において、「キムリア」は持続的で高い奏効率を達成することが示されました。完全奏効率(CRR)、全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)は、解析した9つの部分集団のうち3つ[24ヵ月以内の疾患進行(POD24)が認められる患者、総代謝腫瘍体積(TMTV)が高値の患者、5ライン以上の前治療歴のある患者]を除き,高リスク群のほとんどの患者で維持されました1

フランスのパリ第七大学の血液学教授であり、パリのサン・ルイ病院の血液腫瘍学科長であるCatherine Thieblemont氏(MD, PhD)は次のように述べています。「治療に難渋する高リスクの濾胞性リンパ腫患者さんで『キムリア』による治療後に持続的な奏効がみられ、重篤な有害事象のリスクも低いことは、本当に素晴らしいことです」

約17ヵ月(中央値)の追跡調査では、有効性評価が可能であった患者94名からなるELARA試験の全体集団において持続的で高い奏効率が認められました。CRRは69%(95%信頼区間[CI]:60-78)、ORRは86%(95% CI:78-92)であり、12ヵ月無増悪生存率は67%(95% CI:56-76)、9ヵ月奏効維持率は76%(95% CI:65-84)でした。完全奏効(CR)が認められた患者では、12ヵ月無増悪生存率は86%(95% CI:74-92)、9ヵ月奏効維持率は87%(95% CI:75-93)でした。安全性解析(n=97)では、ELARA試験の早期の解析で示された「キムリア」の良好な安全性プロファイルが継続して認められました。投与後8週間以内で、48%の患者にサイトカイン放出症候群(CRS)が発現しましたが、Lee尺度に基づくグレード3以上のCRSが発現した患者は認められず、37%に神経系事象が発現し(グレード3以上は3%)、治療と関連のある死亡は認められませんでした1

ELARA試験において入院および外来で「キムリア」投与を受けた患者の入院および集中治療室入室パターンに関する別の解析では、外来投与のr/r FL患者の医療資源の利用が軽減される可能性があることが示唆されました(抄録#3533)。外来投与を受けた患者(n=17)では、35%が投与後の最初の2ヵ月間での入院は不要でした。また、外来投与患者の平均入院期間の中央値は、入院投与の患者より短いものでした(4日[n=17]対12日[n=80])。また、投与後の期間における平均入院費は、外来投与の患者のほうが入院投与の患者より大幅に低くなっていました2

ノバルティスの代表取締役副社長であり、オンコロジーおよび血液疾患部門のグローバル責任者であるJeff Legosは次のように述べています。「根治的治療薬となりうる『キムリア』を外来診療で投与できれば、患者さんやそのケアチームの治療への負担を軽減できる可能性があります。今年のASHで発表された濾胞性リンパ腫データは、『キムリア』が革新的な結果をもたらし、医療システム全体にプラスの影響を及ぼす可能性があることを示しています」

ノバルティスは、世界のより多くの進行血液がん患者さんに「キムリア」のベネフィットをお届けすることに取り組んでおり、2021年10月に米国およびEUで濾胞性リンパ腫の適応での規制当局への申請を完了しています。この適応で承認が得られた場合、ノバルティスはELARA試験および関連する解析でのこれらの結果を実際の診療の場で確認する予定です。

濾胞性リンパ腫(FL)について

非ホジキンリンパ腫(NHL)の中でも2番目に多い疾患である濾胞性リンパ腫は低悪性度のリンパ腫であり、NHL症例の約22%を占めています3,4。FLは再発を繰り返す治癒不能の悪性腫瘍と考えられています5,6。再発性FL患者は生涯の間に中央値で5ラインの前治療を受ける可能性があり、多い場合には13ラインという例もあります7,8。FLの3次以降の治療を受ける患者でも利用可能な全身療法は複数存在していますが、後方のラインではこれらのレジメンの有効性が急激に低下します5。さらに、再発を繰り返すため、治療抵抗性の患者や早期再発の患者では利用できる治療選択肢が尽きてしまう場合があります5

ELARA 試験について

ELARA試験は、2ライン以上の前治療後のr/r FLの成人患者を対象とし、「キムリア」の有効性および安全性を検討する第II相、単群、多施設共同、非盲検試験です。本国際共同試験には、世界12ヵ国の30を超える施設から患者が登録されています。主要評価項目は、中央判定(2014年のLugano分類)による最良効果に基づくCRRです。有効性評価可能例は、投与時に測定可能な病変があり、投与後6ヵ月以上の追跡調査を受けているか、早期に中止した患者としました。投与後、3ヵ月ごとに疾患の評価を実施しました。高リスクの部分集団解析では、造血幹細胞移植歴のある患者、Double refractoryの疾患を有する患者、試験登録時の濾胞性リンパ腫国際予後指標が高い患者、ベースライン時の乳酸脱水素酵素が高い患者、投与前のC反応性タンパクが高い患者、X線で認められる巨大病変を有する患者、POD24が認められる患者、TMTVが高値の患者、5ライン以上の前治療歴のある患者が評価対象に含まれました1。副次評価項目は、全奏効率、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間、安全性などです。2021年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表された主要解析データでは、「キムリア」による治療を受けた患者の大半で奏効が認められ、66%が完全奏効(95% CI:56-75)を達成したことが示されました。全奏効率は86%(95% CI:78-92)でした9。CAR-T細胞療法に関連して最もよく見られる副作用はサイトカイン放出症候群ですが、ELARA試験では投与後最初の8週間以内に「キムリア」に関連のあるグレード3以上のサイトカイン放出症候群を発現した患者は認められませんでした9

細胞・遺伝子治療に対するノバルティスの取り組みについて

ノバルティスは、世界中の患者さんに、治癒の可能性のある細胞・遺伝子治療を届けることで、医療の新しい未来を切り拓くというミッションを掲げています。ノバルティスは充実したCAR-Tのパイプラインを持ち、製造とサプライチェーンのプロセス改善に継続的に投資をしています。ノバルティスは細胞・遺伝子治療のさらなる活用を目標に積極的に研究を進めており、造血器腫瘍への研究を加速すると共に他のタイプのがん患者さんも視野に入れ、新しい技術や標的も注目し、次世代CAR-T細胞療法に取り組んでいます。

ノバルティスは世界で最初にCAR-Tの研究に大規模な投資を行い、世界規模でCAR-T治験を行った製薬会社です。ペンシルベニア大学と共同で開発し、世界で初めて承認されたCAR-T細胞療法である「キムリア」はノバルティスのCAR-T細胞療法への取り組みの土台です。
キムリアは現在、30ヵ国で承認されており、治療実施可能施設は350以上です。今後も、ノバルティスは、CAR-T技術の先駆者として蓄積された知見を強みに、キムリアを必要とする患者さんに治療を提供するために取り組んでいきます。

ノバルティスはグローバルなCAR-T製造拠点を有しており、ノバルティス自社施設と委託製造施設が含まれます。ノバルティスではこの広範囲かつ統合的な製造体制により、製造とサプライチェーンの柔軟性と安定性、持続可能性を強化しています。

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者に届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com

以上

ノバルティスの「キムリア」、長期の追跡調査において再発または難治性の濾胞性リンパ腫の高リスク患者で顕著な奏効を示す(PDF 0.4 MB)®

参考文献

  1. Thieblemont, C. et.al. Efficacy of Tisagenlecleucel in Adult Patients with High-Risk Relapsed/Refractory Follicular Lymphoma: Subgroup Analysis of the Phase II ELARA Study. Abstract #131. 2021 American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting, Dec 11-14, Atlanta, GA and Virtual.
  2. Fowler, NH. et.al. Assessment of Healthcare Resource Utilization and Costs in Patients with Relapsed or Refractory Follicular Lymphoma Undergoing CAR-T Cell Therapy with Tisagenlecleucel: Results from the Elara Study. Abstract #3533. 2021 American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting, Dec 11-14, Atlanta, GA and Virtual.
  3. The Non-Hodgkin’s Lymphoma Classification Project. Blood. 1997;89:3909–3918.
  4. Anderson J., et al. Epidemiology of the non-Hodgkin’s lymphomas: distributions of the major subtypes differ by geographic locations. Non-Hodgkin’s Lymphoma Classification Project. Ann Oncol. 1998;9(7):7;17–720.
  5. Sutamtewagul, G. & Link, B.K. Novel treatment approaches and future perspectives in follicular lymphoma. Ther Adv Hematol. 2019; 10:1–20.
  6. Wudhikarn, K., et al. Comparative effectiveness research in follicular lymphoma: current and future perspectives and challenges. J Comp Eff Res. 2014.
  7. Data on File, Novartis, 2020.
  8. Schuster, S., et al. Chimeric antigen receptor T cells in refractory B-cell lymphomas. NEJM. 2017;377(26):2545–2554.
  9. Schuster, S. et.al. Efficacy and Safety of Tisagenlecleucel (Tisa-cel) in Adult Patients (Pts) With Relapsed/Refractory Follicular Lymphoma (r/r FL): Primary Analysis of the Phase 2 ELARA Trial. Abstract #7508. 2021 American Society of Clinical Oncology (ASCO) Annual Meeting, June 4-8, Chicago, IL.

免責事項

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