Apr 22, 2022

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2022年3月31日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。

  • 糖尿病黄斑浮腫(DME)は先進国の成人における失明の主な原因である。DMEに関するアンメットニーズには、網膜の滲出液減少のさらなる改善や頻回な治療の負担軽減などがある1, 2
  • 欧州委員会(EC)の承認は、DME患者を対象に「ベオビュ®」(一般名:ブロルシズマブ)6 mgとアフリベルセプト2 mgを比較した第III相臨床試験であるKESTREL試験およびKITE試験の1年目のデータに基づく2
  • KESTREL試験とKITE試験では、「ベオビュ」はベースラインからの最高矯正視力(BCVA)の変化においてアフリベルセプトに対して非劣性を示し、滲出性変化(IRF/SRF)が認められた患者の割合も低値を示した2
  • KESTREL試験およびKITE試験は、6週間隔の導入期投与期間において抗血管内皮増殖因子(VEGF)を評価した最初のピボタル試験であり、「ベオビュ」は投与開始から1年目までの期間における投与回数を減少できる可能性を示唆2
  • 「ベオビュ」は中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)の治療薬としてEUを含む70カ国以上で承認取得

2022年3月31日、スイス・バーゼル発 -ノバルティスは、本日、欧州委員会(EC)が、糖尿病黄斑浮腫(DME)による視力障害の治療薬として「ベオビュ」(一般名:ブロルシズマブ、以下「ベオビュ」)6 mgを承認したと発表しました。今回のDMEに対する適応追加は、2020年にnAMD治療薬として「ベオビュ」が初めてEC承認を取得して以来となります3。EC承認は、欧州連合(EU)の加盟国全27カ国と、アイスランド、ノルウェーおよびリヒテンシュタインに適用されます。

EC承認は、第III相無作為化二重盲検臨床試験であるKESTREL試験およびKITE*試験の1年目のデータに基づいており、主要評価項目である1年目の最高矯正視力(BCVA)のベースラインからの変化において、アフリベルセプトに対する非劣性が示されました2。いずれの試験においても、導入期投与後におけるブロルシズマブ6 mg群の患者の半数以上(KESTREL試験で55.1%、KITE試験で50.3%)は1年目において12週間隔投与を維持しました2。アフリベルセプト群については、EUで承認されている添付文書の記載に則り1年間の投与が行われました2,4。全体として、52週目における網膜内滲出液、網膜下滲出液またはその両方が認められた患者の割合は、ブロルシズマブ群のほうがアフリベルセプト群よりも低値を示しました。(KESTREL試験では、ブロルシズマブ群60.3%対アフリベルセプト群73.3%。KITE試験ではそれぞれ54.2%および72.9%。統計学的有意差の検証はされていません2。)

承認された用法では、DME患者に対して、導入期投与期間において6週間隔で5回投与した後、医師は視力および滲出液の状態によって疾患活動性を評価し、個別化された治療方法を勧めることが可能です3。疾患活動性が無い場合は、医師は「ベオビュ」の12週間隔投与を検討し、疾患活動性を有する場合は、8週間隔投与が検討*1されます3

ノバルティス ファーマの眼科領域医薬品開発部門のグローバルヘッドのJill Hopkinsは次のように述べています。「DME患者さんの多くは働き盛りの年齢で、糖尿病に関連する複数の合併症を管理する必要があり、治療の継続において負担を感じている場合もあります。KESTREL試験およびKITE試験は、6週間隔の導入期投与期間において抗VEGFを評価した最初のピボタル試験であり、『ベオビュ』は治療開始から1年目までの投与回数を減らせる可能性を示唆しました*2。DMEに対する『ベオビュ』のEC承認は、アンメットニーズへ応える一助になる可能性があることから重要なマイルストーンであると考えています。」

KESTREL試験およびKITE試験で1年目において、最も多く見られた眼球および眼球以外に生じた有害事象(≥5%)は、結膜出血、鼻咽頭炎および高血圧でした2。KESTREL試験の眼内炎症(IOI)の発現率は、ブロルシズマブ3 mg群で4.7%(網膜血管炎1.6%を含む)、ブロルシズマブ6 mg群で3.7%(網膜血管炎0.5%を含む)、アフリベルセプト2 mg群で0.5%でした2。KITE試験におけるIOI発現率は、ブロルシズマブ6 mg群とアフリベルセプト2 mg群で同等であり(1.7%)、網膜血管炎は報告されませんでした2。網膜血管閉塞については、KESTREL試験においてはブロルシズマブ3 mg群では1.1%、ブロルシズマブ6 mg群では0.5%が報告されており、KITE試験では、ブロルシズマブ群およびアフリベルセプト群は共に0.6%の発現率が報告されました2。これらの事象の大部分は管理可能であり、通常の臨床治療により解消されました2。KESTREL試験では、ベースラインから15文字以上視力低下した患者の割合は、ブロルシズマブ3 mg群で1.6%、ブロルシズマブ6 mg群で1.1%、アフリベルセプト群で1.7%でした2。ブロルシズマブ6 mg群は「ベオビュ」の承認用量です3

ノバルティスは、「ベオビュ」によるベネフィットを患者さんにお届けすることに尽力しています。「ベオビュ」のDME適応については、現在、米国食品医薬品局(FDA)および日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)において審査中です。その他の保健当局との「ベオビュ」に関する協議も進行中です。

*1 用法用量は各国の添付文書を参照

*2アフリベルセプトの投与は、治療1年目にEUで承認されている添付文書の記載に則った投与が行われた

KESTREL試験とKITE試験について

KESTREL試験およびKITE試験は、DMEによる視力障害を有する患者を対象とした「ベオビュ」とアフリベルセプトの安全性および有効性を2年間比較検討した国際共同無作為化二重盲検第III相臨床試験です5,6

KESTREL試験およびKITE試験には、併せて36カ国から926名の患者が参加しました5,6。両試験の導入期投与期間において、「ベオビュ」の患者群には6週間隔で計5回の投与がされました。アフリベルセプト群は、添付文書の記載に従い、4週間隔で計5回投与されました5,6。試験の最初の1年間、「ベオビュ」の患者群には、導入期投与後12週間隔投与が続けられ、その中で疾患活動性を示した患者については8週間隔投与に切り替えられました5,6。アフリベルセプト患者群は、導入期投与後、8週間隔投与を受けました5,6

糖尿病黄斑浮腫(DME)について

DMEは糖尿病患者によくみられる微小血管の合併症であり、視力を低下させ、最終的に失明に至る可能性があります1。DMEは先進国における成人の失明原因の第1位であり、1型糖尿病患者の12%、2型糖尿病患者の28%が罹患しています1

糖尿病に伴う高血糖により、眼の中の細い血管を傷つけられ、滲出液が生じる場合があります1。この損傷により、血管内皮増殖因子(VEGF)が過剰に産生されます1,7。VEGFは血管の成長を促す蛋白質です1,7。DME患者のVEGF濃度が上昇すると、漏出性のある異常な血管の増殖が誘発されます1,7。黄斑部における滲出液の蓄積(浮腫)は疾患活動性の重要なマーカーであり、視力喪失の原因となりえます1,7。黄斑とは、網膜の中で鮮明な中心視力を担う部位です1,7。DMEの初期症状には中心視力のかすみ、視覚の歪み、色覚異常などがありますが、早期段階では無症状で進行することもあります7,8

「ベオビュ」(一般名:ブロルシズマブ)6 mgについて

「ベオビュ」(一般名:ブロルシズマブ、開発コード:RTH258)6 mgはnAMDの治療薬として、米国、EU、英国、日本、カナダ、オーストラリアを含む70カ国以上で承認されています3,9-12。また2022年3月には、欧州委員会(EC)によって糖尿病黄斑浮腫(DME)の治療薬としても承認され、欧州連合全27カ国の加盟国とアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインに適用されました。さらに、nAMD、糖尿病黄斑浮腫(DME)および増殖糖尿病網膜症(PDR)を有する患者を対象としてブロルシズマブの有効性を検討する臨床試験が現在実施中です。

ノバルティスの眼科領域の取り組みについて

ノバルティスのミッションは、人々の命や健康のために医薬の未来を描くことです。眼科領域においては、データや革新的な技術に基づく医薬によってさまざまな眼の疾患や状態の治療を目指しています。未熟児から高齢者の患者さんまで、

年間1.5億人に当社眼科領域の医薬品をお届けしています。

*Kite Pharma, Inc. は、ノバルティスのKITE試験には資金提供を含め、関わりはありません。

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com

以上

ノバルティス、糖尿病黄斑浮腫に対する「ベオビュ®」の欧州委員会(EC)承認取得を発表(PDF 0.2 MB)

参考文献

  1. Romero-Aroca P. Managing diabetic macular edema: The leading cause of diabetes blindness. World J Diabetes. 2011;2(6):98-104.
  2. Brown D, Wolf S, Garweg JG, et al. Brolucizumab for the treatment of visual impairment due to diabetic macular edema: 52-week results from the KESTREL & KITE studies. Presented at: The Association for Research in Vision and Ophthalmology (ARVO) 2021 Annual Meeting. May 2021.
  3. Beovu [summary of product characteristics] Basel, Switzerland. Novartis: 2020.
  4. Eylea [summary of product characteristics] Berlin, Germany. Bayer AG: 2014.
  5. Data on file. KESTREL clinical trial protocol (CRTH258B2301). Novartis, 2021.
  6. Data on file. KITE clinical trial protocol (CRTH258B2302). Novartis, 2021.
  7. National Eye Institute. Macular Edema. Available at: https://www.nei.nih.gov/learn-about-eye-health/eye-conditions-and-diseases/macular-edema. Accessed March 2022.
  8. National Eye Institute. Diabetic Retinopathy. Available at: https://www.nei.nih.gov/learn-about-eye-health/eye-conditions-and-diseases/diabetic-retinopathy. Accessed March 2022.
  9. Beovu [US prescribing information] East Hanover, NJ. Novartis: 2020.
  10. Pharma Japan. National Health Insurance Pricing. Available at: https://pj.jiho.jp/sites/default/files/pj/document/2020/05/New%20Drugs%20to%20Be%20Added%20to%20NHI%20Price%20List%20on%20May%2020_1.pdf. Accessed March 2022.
  11. Canadian Agency for Drugs and Technologies in Health. CADTH Canadian Drug Expert Committee Recommendation. Available at: https://cadth.ca/sites/default/files/cdr/complete/SR0632%20Beovu%20-%20CDEC%20Final%20Recommendation%20%E2%80%93%20May%2025%2C%202020_for%20posting.pdf. Accessed March 2022.
  12. Beovu [prescription medicine decision summary] Australia. Novartis: 2020

免責事項

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