May 25, 2022

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2022年5月5日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。

  • 「ジャカビ」は、欧州において承認されている治療法がなかったステロイド抵抗性/依存性の移植片対宿主病(GvHD)の治療として利用可能な初のJAK1およびJAK2阻害剤1,2
  • ステロイド抵抗性/依存性の急性および慢性GvHD患者を対象とした臨床試験において、「ジャカビ」は治験医が選択した利用可能な最良の治療と比較して優越性を示し、全奏効率は急性GvHDで62%対39%、慢性GvHDで50%対26%2,3
  • GvHDは、同種幹細胞移植後によくみられる、生命を脅かす可能性のある合併症であり、移植患者の約半数に発現4

2022年5月5日、スイス・バーゼル発—ノバルティスは本日、欧州委員会(EC)がステロイドまたは他の全身療法で十分な効果が認められない12歳以上の急性または慢性GvHD患者の治療薬として、「ジャカビ®」(一般名:ルキソリチニブ、以下「ジャカビ」)を承認したと発表しました。

フライブルク大学病院血液・腫瘍・幹細胞移植科(ドイツ、フライブルク)のRobert Zeiser博士は「今日、GvHD患者さんの30%~60%は一次治療のステロイド療法で十分な効果が得られず、長期的な治療目標を達成するためには、新たなアプローチが必要であるとされています。今回の「ジャカビ」の承認は、ステロイド抵抗性/依存性のGvHD患者さんおよび医療従事者に対して、衰弱性があり、生命を脅かす可能性のある本疾患の治療に新たな選択肢をもたらします。」と述べました。

「ジャカビ」の承認は、治験医が選択した利用可能な最良の治療(BAT)に対する「ジャカビ」の全奏効率(ORR)に関する優越性が示された第III相臨床試験であるREACH2試験およびREACH3試験に基づき、3月の欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)よる肯定的な見解に従ったものです。REACH2試験では、ステロイド抵抗性/依存性の急性GvHD患者でのDay 28のORRは「ジャカビ」群で62%、BAT群で39%でした。REACH3試験では、ステロイド抵抗性/依存性の慢性GvHD患者でのWeek 24のORRは、BAT群に対して「ジャカビ」群で有意に改善し(50%対26%)、最良総合効果はBAT群より「ジャカビ」群で高い(76%対60%)ことが示されました2,3

ノバルティスのイノベーティブ・メディスン・インターナショナルのプレジデント兼チーフコマーシャルオフィサーのMarie-France Tschudinは「同種幹細胞移植を受ける患者さんの10人中5人で、GvHDによる重篤な症状が発現し、死に至る場合があります。「ジャカビ」のGvHDに対する適応追加により、一次治療で十分な効果が得られない患者さんの治療の可能性が広がることを期待しています。」と述べています。

GvHDは、移植を受けた患者の健康な細胞をドナー細胞が異物とみなし、攻撃することで発症します。GvHDの症状は、皮膚、消化管、肝臓、口腔、眼、生殖器、肺、関節で認められる可能性があります。同種幹細胞移植を受けた患者の約50%に、急性または慢性のGvHDのどちらかが発現します。急性および慢性GvHDは生命を脅かす可能性があり、これまで、いずれのGvHDにも一次治療であるステロイド療法で十分な効果が得られない患者に対する確立された標準治療はありませんでした1,4-9。現在、ステロイド療法が無効であったGvHDの治療に対して承認された治療法は他にありません1,2

「ジャカビ」について

「ジャカビ」は、JAK 1およびJAK 2チロシンキナーゼの経口阻害剤です。「ジャカビ」は、欧州委員会により、ヒドロキシカルバミドに抵抗性または不耐容である真性多血症(PV)成人患者の治療薬、原発性骨髄線維症(MF)(慢性特発性MFとも呼ばれる)、真性多血症後MF、または本態性血小板血症後MFの成人患者における疾患関連脾腫または諸症状の治療薬として承認されています。また、ステロイドあるいは、他の全身療法でも十分な効果が認められない12歳以上の急性または慢性GvHD患者の治療薬としても承認されています。「ジャカビ」は、MFの治療薬としてEU諸国、スイス、カナダ、日本を含む100カ国以上で承認され、PVの治療薬としてEU諸国、スイス、日本、カナダを含む85カ国以上で承認されています。「ジャカビ」の適応に関する詳細は国によって異なります。その他の国においても、MFおよびPVの治療薬として承認申請が世界各国で進められています。

ノバルティスは、米国外におけるルキソリチニブの開発および販売を目的としたライセンスをIncyte社から取得しました。ルキソリチニブは、米国において、ヒドロキシカルバミドで効果不十分または不耐容である成人PV患者、中リスクから高リスクの成人MF患者、ステロイド抵抗性/依存性の急性GvHDの成人患者および12歳以上の小児患者、ステロイドまたは他の全身療法による1ラインまたは2ラインの治療が無効であった慢性GvHDの成人および12歳以上の小児患者に対する治療薬として、Incyte社がJakafi®という商品名で販売しています。

「ジャカビ」は、米国以外の国々におけるノバルティスの登録商標です。Jakafi®は、Incyte社の登録商標です。「ジャカビ」の安全性および有効性プロファイルは、承認されている適応症以外では確立されていません。

免責事項

本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。
なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com

以上

ノバルティス、急性および慢性移植片対宿主病に対するステロイド療法後の初の治療薬として「ジャカビ®」の欧州委員会(EC)承認を取得(PDF 279KB) 

参考文献

  1. Jaglowski SM, et al. Graft-versus-Host Disease: Why Haven’t We Made More Progress? Curr Opin Hematol. 2014;21(2):141-147 
  2. Zeiser R, et al. Ruxolitinib for Glucocorticoid-Refractory Chronic Graft-versus-Host Disease (REACH3). New England Journal of Medicine; July 2021.
  3. Zeiser, R, et al. Ruxolitinib for Glucocorticoid-Refractory Acute Graft-versus-Host Disease (REACH2). New England Journal of Medicine. April 2020.
  4. Leukemia and Lymphoma Society. Graft-Versus-Host Disease Overview. 2021. Available at: https://www.lls.org/treatment/types-treatment/stem-cell-transplantation/...
  5. Jakavi (ruxolitinib) Summary of Product Characteristics. Novartis Pharma AG; 2022.
  6. Ferrara JL., et al. Graft-versus-host disease. Lancet. 2009;373(9674):1550-1561. 
  7. Zeiser R., et al. Pathophysiology of Chronic Graft-versus-Host Disease and Therapeutic Targets. N Engl J Med. 2017 Dec 28;377(26):2565-2579
  8. Jagasia MH, et al. National Institutes of Health Consensus Development Project on Criteria for Clinical Trials in Chronic Graft-versus-Host Disease: I. The 2014 Diagnosis and Staging Working Group report. Biol Blood Marrow Transplant. 2015.
  9. Martin PJ, Rizzo JD, Wingard JR, et al. First- and second-line systemic treatment of acute graft-versus-host disease: recommendations of the American Society of Blood and Marrow Transplantation. Biol Blood Marrow Transplant. 2012;18(8):1150-1163.