Aug 22, 2022

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2022年8月15日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。本適応症は日本では未承認です。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。

  • 第III相試験(CANOPY-A)では、ステージII-IIIAおよびIIIBの非小細胞肺がんの完全切除を受けた患者において、主要評価項目である無病生存期間の延長を達成せず1  
  • 試験結果の詳細は、今後開催される学術会議にて発表予定
  • ノバルティスは今後も、肺がん患者の生活を大きく改善する可能性のある新たな治療選択肢の追求に尽力

2022年8月15日、スイス・バーゼル発―ノバルティスは本日、インターロイキン-1β(IL-1β)の阻害薬であるカナキヌマブ(ACZ885)の術後補助療法を評価する第III相試験(CANOPY-A)について、ステージII-IIIAおよびIIIB(T>5cm, N2)の非小細胞肺がん(NSCLC)の完全切除(R0)を受けた成人患者において、プラセボと比較して、主要評価項目である無病生存期間(DFS)の延長を達成しなかったことを発表しました1。予期せぬ安全性の所見は認められませんでした1。本試験の結果は、今後開催される学術会議で発表する予定です。

ノバルティスのExecutive Vice Presidentであり、Oncology & Hematology Development のGlobal Head であるJeff Legosは次のように述べています。「 CANTOS試験で認められた肺がん発生率および死亡率の低下のシグナルに基づき、CANOPYプログラムを実施しました。これらのシグナルは、早期肺がんの補助療法としてのカナキヌマブの試験を支持するものでした。 CANOPY-Aが期待通りの効果を示さなかったことは残念ですが、すべての試験は将来の研究開発を支える科学的根拠を生み出すものであり、依然として緊急かつ重要なニーズを持つ肺がん患者さんのために、引き続き新しい治療選択肢を追求していきたいと思います。この研究を可能にした、患者さんと治験責任医師・担当医師の方々に感謝いたします。」 

CANOPY-Aは、American Joint Committee on Cancer/The Union for International Cancer Control(米国がん病期分類合同委員会/国際対がん連合[AJCC/UICC])の第8版による病期分類に従い、ステージII-IIIAおよびIIIB(T>5cm, N2)のNSCLC患者で、術後にがんが認められない方を対象とした術後補助療法としてのカナキヌマブの有効性および安全性を評価する第III相多施設共同無作為化二重盲検試験です2。本試験では、1,382例の患者が1:1の割合で、カナキヌマブ200 mgを3週ごとに最長1年間皮下投与する群とプラセボ群に無作為割付されました2。患者は無作為化前に、シスプラチンを用いた術後補助化学療法および放射線療法(該当する場合)による標準治療を完了しました2

カナキヌマブ(ACZ885)について

カナキヌマブは、ヒトインターロイキン-1βに高い親和性および選択性で結合し、その受容体との相互作用を阻害することにより、IL-1β活性を抑制するヒトモノクローナル抗体です3-5。 予備的エビデンスによれば、IL-1βを抑制することにより、カナキヌマブは腫瘍促進性炎症 (Pro-Tumor Inflammation: PTI)を低減することで、1)抗腫瘍免疫応答を増強し、2)腫瘍細胞の増殖、生存、浸潤性を抑制し、3)血管新生を阻害することが示唆されています5。PTIは、発がん過程を推進し、抗腫瘍免疫応答を抑制することにより、腫瘍の発生を可能にします6,7

CANOPYプログラムについて

ノバルティスでは、心血管疾患患者さんを対象とした第III相試験(CANTOS)において肺がん死亡率が有意に低いことが分かったため、CANOPY試験プログラムを開始しました。CANTOS試験では、心臓発作後の患者さんを対象に心血管イベントの二次予防策としてのカナキヌマブを評価しました5,8。CANTOS試験の患者さんは、高齢、喫煙歴、その他の臨床的リスクファクターにより、肺がんなどの炎症性がんのリスクも高くなっていました5,8。これらの知見に基づき、ノバルティスは非小細胞肺がん(NSCLC)に対する治療選択肢の候補としてカナキヌマブを検討する3つの大規模、無作為化、第III相臨床試験および第II相臨床試験を実施しました。

肺がんに対するノバルティスのコミットメント

肺がんは世界的に最も多くみられるがんであり、毎年200万人以上の人々が新たに肺がんの診断を受けています9。毎年、他のどのがんよりも多くの人が肺がんで亡くなっています9。肺がんには、大きく分けて小細胞肺がん(SCLC)と非小細胞肺がん(NSCLC)の2種類があります10。NSCLCは肺がん診断の約85%を占め11、早期NSCLC患者の30~55%が切除にもかかわらず再発します12。 

ノバルティスは、科学界や医学界と協力して肺がん治療の未来を描くために、肺がん患者の生存期間を延長できる薬剤の進歩を追求しています。 ノバルティスは、がんの増殖を阻害する実験的な治療の開発、身体の免疫系を活性化する方法の研究、慢性炎症と腫瘍の増殖や進行との関係の理解の向上、がんと闘うための先進的な核医学の探究に取り組んでいます。

免責事項

本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。
なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com

以上

参考文献

  1. Novartis Data on File.
  2. ClinicalTrials.gov. Brief Title: Study of Efficacy and Safety of Canakinumab as Adjuvant Therapy in Adult Subjects With Stages AJCC/UICC v. 8 II-IIIA and IIIB (T>5cm N2) Completely Resected Non-small Cell Lung Cancer Acronym: CANOPY-A (Canopy-A). Available at: https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03447769. Accessed on July 27, 2022.
  3. Dhimolea E, mAbs 2010;2:3–13; 3. Ilaris [Prescribing Information T2016-102].
  4. Rondeau JM, Ramage P, Zurini M, Gram H. The molecular mode of action and species specificity of canakinumab, a human monoclonal antibody neutralizing IL-1β. MAbs. 2015;7(6):1151-1160.
  5. Novartis data on file: Clinical Trial Protocol CACZ885M2301.
  6. Grivennikov SI, Greten FR, Karin M. Immunity, inflammation, and cancer. Cell. 2010;140(6):883-889.
  7. Greten FR, Grivennikov SI. Inflammation and cancer: triggers, mechanisms, and consequences. Immunity. 2019;51(1):27-41.
  8. Ridker PM, Thuren T, Zalewski A, et al. Interleukin-1β inhibition and the prevention of recurrent cardiovascular events: rationale and design of the Canakinumab Anti-inflammatory Thrombosis Outcomes Study (CANTOS). Am Heart J. 2011;162:597–605.
  9. World Health Organization. Cancer. Available at: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/cancer. Accessed on July 27, 2022.
  10. Lemjabbar-Alaoui H, Hassan O, Yang UW, et al. Lung cancer: biology and treatment options. Biochim Biophys Acta. 2015.1856(2):189-210.
  11. American Cancer Society. About Lung Cancer. Available at https://www.cancer.org/cancer/non-small-cell-lung-cancer/about/what-is-…. Accessed July 27, 2022.
  12. Uramoto H, Tanaka F. Recurrence after surgery in patients with NSCLC. Transl Lung Cancer Res. 2014; 3(4):242-249.

ノバルティス、非小細胞肺がんにおける術後補助療法としてのカナキヌマブを評価する第III相試験(CANOPY-A)に関する最新情報を発表(PDF 318KB)