ノバルティス | Novartis Japan
掲載日ノバルティス | Novartis Japan (https://www.novartis.co.jp)

ホーム > Printer-friendly > ノバルティス、ブロルシズマブの承認をFDAより取得、滲出型加齢黄斑変性患者の視力を向上させ、アフリベルセプトと比較して網膜滲出液を大幅に減少

ノバルティス、ブロルシズマブの承認をFDAより取得、滲出型加齢黄斑変性患者の視力を向上させ、アフリベルセプトと比較して網膜滲出液を大幅に減少 [1]

Publish Date: 
2019年 10月 23日

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2019年10月8日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。本剤は日本国内では未承認です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.com [2]をご参照ください。

  • 2つの直接比較試験で、ブロルシズマブ投与患者では、大部分の患者でより長い治療間隔を維持した上で、投与開始1年後の視力改善において、アフリベルセプトに対する非劣性を示した1,2。
  • ブロルシズマブは、治療早期である16週目、および1年目の中心サブフィールド厚 (CST: 網膜の滲出液に関する重要な指標) において、アフリベルセプトに比べて大幅に減少させた1,2。
  • ブロルシズマブは、滲出型加齢黄斑変性(nAMD)の治療において、有効性を損なうことなく、導入期直後から最長3ヵ月の投与間隔を維持できる唯一の抗VEGF薬1,2。
  • 両試験では、投与開始1年時点で半数以上の患者が3ヵ月投与間隔を維持した1,2 (HAWK試験で56%、HARRIER試験で51%)。
  • 失明の主な原因であり世界で2千万人以上が罹患している加齢性黄斑変性(AMD)において、頻回の注射は、治療を中断する主な理由3-5。

2019年10月8日、スイス・バーゼル発 –ノバルティスは、米国食品医薬品局(FDA)がAMDの治療薬として、ブロルシズマブ(開発コード:RTH258)を承認したことを発表しました。ブロルシズマブは、アフリベルセプトと比較して網膜滲出液の消失に優れていること、そして適格なnAMD患者に対しては有効性を損なわずに維持期において導入期直後から3ヵ月毎の投与間隔を維持することの両方を提供することをFDAにより初めて承認された抗VEGF薬です1。

Retinal Consultants of Arizonaの執行役員、兼南カリフォルニア大学・ケック医科大学Roski Eye研究所の臨床教授で、かつ両試験の治験責任医師を務めた、Pravin U. Dugel 博士は、次のように述べています。「nAMD治療の実臨床において、ブロルシズマブによって視力の改善と網膜滲出液の消失という目標を達成できます。ブロルシズマブにより、網膜厚が大幅に減少し、また網膜がドライになった患者の割合が高いことを通じて、滲出液をより大きく減少させることが示されました。この承認は、四半期に1回の注射による治療の可能性と相まって、nAMD治療へのアプローチを変える可能性があります」

ブロルシズマブの承認は、第III相HAWKおよびHARRIER臨床試験からの知見に基づいており、1年時(48週時)における最高矯正視力の平均変化量から、ブロルシズマブは、アフリベルセプトに比べて非劣性であることが検証されました1,2。

いずれの臨床試験でも、1年時に約30%の患者さんが15文字以上の視力改善を示しました1,2。HAWKおよびHARRIER試験では、ブロルシズマブは16週時と1年時に中心サブフィールド厚が大きく減少し、網膜内滲出液および網膜下液が認められた患者は少ないという結果でした1,2。網膜滲出液は疾患活動性の重要なマーカーです6。

nAMDは、網膜の中で中心視力の鮮明さを担う部位である黄斑の下に、異常な血管の形成を促進するタンパク質であるVEGFの過剰によって引き起こされる慢性的な眼の変性疾患です7,8。これらの異常な血管から漿液が漏出することで、正常な網膜構造が乱され、最終的に黄斑に損傷を引き起こします8-10。ブロルシズマブは、高濃度で投与できるように設計されており、他の抗VEGFよりも高い活性の結合能を有します2。ブロルシズマブによるVEGF阻害は、新生血管病変の増殖阻害、網膜浮腫の消失が期待されます2。

ノバルティス ファーマシューティカルズ社長 Marie-France Tschudinは、次のように述べました。「ブロルシズマブの承認は、重篤な視覚障害に苦しむ患者さんに対する治療の未来を描くというノバルティスのコミットメントを示すものです。既存の治療薬の適応には、12週毎投与した場合、それほど有効ではないと記載されています。ブロルシズマブは、有効性を維持しつつ、治療開始後1年以内に投与回数を減らすことの出来る初めての薬です。これにより、滲出型加齢黄斑変性の患者さんは、人生でより重要なことに時間を費やすことが出来ます」

HAWKおよびHARRIER試験では、適格な患者は、維持期において導入期直後から3ヵ月間の投与間隔を維持できました1,2。治療開始1年後、半数以上の患者が3カ月間の投与間隔 (HAWKで56%、HARRIERで51%)を維持しました1,2。残りの患者では、2ヵ月間の投与間隔で治療が継続されました1,2。

ブロルシズマブはアフリベルセプトと同程度の全体的な安全性プロファイルを示しました。ブロルシズマブは、眼もしくは眼周囲の感染症、活動性の眼内炎症、もしくはブロルシズマブまたは賦形剤に対する過敏症が既知の患者には禁忌です1。過敏反応は、発疹、そう痒症、蕁麻疹、紅斑、または重度の眼内炎症として発現することがあります1。

ブロルシズマブで最も多くみられた有害事象(5%以上)は、霧視、白内障、結膜出血、硝子体浮遊物および眼痛でした1,2。

nAMDは、中心視力を歪め、最終的に失明および自立性の喪失を引き起こします11,12。2020年には、米国の175万人がnAMDとなると言われ、公衆衛生上の懸念が高まっています13-15。nAMDの初期症状には、かすみ目や視覚が歪みます8。病気が進行するにつれて、患者さんは中心視力を失うため、目の前の物を直接見ることが困難になります8。

「視力を失うにつれて、世界とのつながりも失ってしまいます」と、The Support Sight Foundationの創始者でエグゼクティブディレクターでもあるDawn Prall氏は述べました。「われわれは、視力の維持に役立ち、四半期に1回で済む可能性がある新しい治療法の登場を嬉しく思います。これにより、患者さんとその介護者の負担を軽減することができ、滲出型加齢黄斑変性の患者さんが自分の好きなことを愛する人たちと続けることができるようになります」

この承認を受けて、ノバルティスは、米国で「Beovu Your Way™」というプログラムを提供して参ります。このプログラムは、患者さんと介護者に個別にサポート提供するもので、患者さんそれぞれのニーズと好みに対応が出来るケア専門家を紹介します。ノバルティスは、nAMD患者さんが安全かつ自立して暮らすことができるように元気づけることを目標に、患者さんや介護者のための教材を提供するために、患者支援団体と協力して参ります。

ブロルシズマブについて

ブロルシズマブは、開発段階で臨床的に最も進歩したヒト化一本鎖抗体フラグメントです2,16。一本鎖抗体フラグメントは、一般的な抗体と比較して分子量が小さく、組織への透過性が高く、体循環からのクリアランスが早く、また薬物輸送上の特徴をもつことから、開発ニーズの高い医薬品です16-18。

ブロルシズマブはこの革新的な独自の構造により分子量が小さくなり(26kDa)、すべてのVEGF-Aアイソフォームに高い親和性をもち、それらのシグナル伝達を阻害します17。ブロルシズマブは、高濃度で投与できるように設計されており、他の抗VEGFよりも多くの阻害機能を有します2, 16。

非臨床試験において、ブロルシズマブはリガンド受容体の相互作用を防止することによりVEGF受容体の活性化を阻害しました17‐19。VEGF経路を介したシグナル伝達の亢進は、眼の病的な血管新生および網膜浮腫と関連しています20。脈絡網膜疾患を有する患者において、VEGF経路の阻害は、血管新生病変の増殖の阻害、網膜浮腫の消失、および視力改善をもたらすことが明らかになっています20。

HAWK試験とHARRIER試験について

全世界の400の医療機関から1,800人を超える患者が参加したHAWK(NCT02307682)およびHARRIER(NCT02434328)試験は、nAMD患者を対象とした最初のプロスペクティブな国際共同、直接比較試験です。革新的な12週毎(q12w)/8週毎(q8w)のレジメンで48週時点の有効性が示され、大多数の患者では導入期直後に12週毎(q12w)の投与が行われています。いずれの試験も96週間のプロスペクティブ、無作為化、二重遮蔽、多施設共同試験で、ブロルシズマブの第III相臨床開発の一環として行われています。これらの試験はnAMD患者を対象にブロルシズマブ6mg(HAWKとHARRIER)および3mg(HAWK)の硝子体投与による有効性と安全性をアフリベルセプト2mgと比較するためにデザインされました2。

滲出型加齢黄斑変性について

nAMDは、北米、欧州、オーストラリアおよびアジアの65歳以上の人々における重度の視力喪失および法的盲の主な原因です。全世界で2,000~2,500万人がこれに罹患していると推定されています4,5,11。
米国では、2020年に175万人がnAMDを罹患していると推定されています。nAMDは、網膜の中で鮮明な中心視力を担う部位である黄斑の下に、異常な血管が形成されて生じます8-10。このような血管は脆弱で、漿液が漏出することで、正常な網膜構造を乱し、最終的に損傷を引き起こします8-10。

nAMDの初期症状として変視症(視覚の歪み)が生じたり、ものを明確に見ることが難しくなります8, 21。迅速な診断と治療が不可欠です10。病気が進行するにつれて、細胞の損傷が増加し、視力の質がさらに低下します8。疾患が進行するにつれ、細胞の損傷が進み、視覚の質がさらに低下します。このような進行によって中心視力が完全に消失し、患者はものを読んだり、運転したり、身近な人の顔を認識することができなくなります8,12。無治療のままでは視力は急速に悪化します22。眼科領域におけるノバルティスの活動についてノバルティスのミッションは、より充実した、すこやかな毎日のために、新しい発想で医療に貢献することです。

眼科領域では、データや変革技術を駆使して、前眼部から後眼部にわたって人生を変える薬や治療法を開発してまいります。当社の点眼剤は、未熟児から高齢者まで、年間1億5千万人以上の人に届けられています。

免責事項

本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の7億5千万人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約10万8千人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com [2]

以上

参考文献

  1. BEOVU [prescribing information] East Hanover, NJ. Novartis: 2019.
  2. Dugel P, et al. HAWK and HARRIER: Phase 3, multicenter, randomized, double-masked trials of brolucizumab for neovascular age-related macular degeneration [published online ahead of print]. Ophthalmology. 2019.
  3. Varano M, et al. Current barriers to treatment for wet age-related macular degeneration (wAMD): findings from the wAMD patient and caregiver survey. Clin Ophthalmol. 2015;9:2243–2250.
  4. Wong WL, Su X, Li X, et al. Global prevalence of age-related macular degeneration and disease burden projection for 2020 and 2040: a systematic review and met analysis. Lancet Glob Health. 2014;2:106-16.
  5. Singer M. Advances in the management of macular degeneration. F1000Prime Rep. 2014;6:29.
  6. Arnold J, et al. The role of sub-retinal fluid in determining treatment outcomes in patients with neovascular age-related macular degeneration--a phase IV randomised clinical trial with ranibizumab: the FLUID study. BMC Ophthalmol. 2016;143(4):679-680.
  7. Qazi Y, et al. Mediators of ocular angiogenesis. J. Genet. 2009;88(4):495-515.
  8. National Eye Institute. Facts About Age-Related Macular Degeneration. Available at https://nei.nih.gov/health/maculardegen/armd_facts [3] (link is external). Accessed September 2019.
  9. World Health Organization. Priority eye diseases: Age-related macular degeneration. Available at http://www.who.int/blindness/causes/priority/en/index7.html [4] (link is external). Accessed September 2019.
  10. NHS Choices. Macular Degeneration. Available at http://www.nhs.uk/Conditions/Macular-degeneration/Pages/Introduction.aspx [5] (link is external). Accessed September 2019.
  11. Schmidt-Erfurth U, et al. Guidelines for the management of neovascular age-related macular degeneration by the European Society of Retina Specialists (EURETINA). Br J Ophthalmol. 2014;98:1144-1167.
  12. Mitchell J, Bradley C. Quality of life in age-related macular degeneration: a review of the literature. Health Qual Life Outcomes. 2006;4:97.
  13. Friedman DS, O’Colmain BJ, Munoz B, et al. Prevalence of age-related macular degeneration in the United States. Arch Ophthalmol. 2004;122(4):564-72.
  14. Klein R, Chou CF, Klein BE, Zhang X, Meuer SM, Saaddine JB. Prevalence of age-related macular degeneration in the U.S. population. Arch Ophthalmol. 2011;129(1):75-80.
  15. American Academy of Ophthalmology. Age-related macular degeneration preferred practice patterns. Available at: https://www.aao.org/preferred-practice-pattern/age-related-macular-degeneration-ppp-2015 [6] (link is external). Accessed September 2019.
  16. Nimz EL, et al. Intraocular and systemic pharmacokinetics of brolucizumab (RTH258) in nonhuman primates. The Association for Research in Vision and Ophthalmology (ARVO) annual meeting. 2016. Abstract 4996.
  17. Escher D, et al. Single-chain antibody fragments in ophthalmology. Oral presentation at EURETINA congress. 2015. Abstract.
  18. Gaudreault J, et al. Preclinical pharmacology and safety of ESBA1008, a single-chain antibody fragment, investigated as potential treatment for age related macular degeneration. ARVO Annual Meeting abstract. Invest Ophthalmol Vis Sci 2012;53:3025. http://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2354604 [7] (link is external). Accessed September 2019.
  19. Tietz J, et al. Affinity and Potency of RTH258 (ESBA1008), a Novel Inhibitor of Vascular Endothelial Growth Factor A for the Treatment of Retinal Disorders. IOVS. 2015; 56(7):1501.
  20. Kim R. Introduction, mechanism of action and rationale for anti-vascular endothelial growth factor drugs in age-related macular degeneration. Indian J Ophthalmol. 2007;55(6):413-415.
  21. Healthline. What is metamorphopsia? Available at https://www.healthline.com/health/metamorphopsia [8] (link is external). Accessed September 2019.
  22. van Lookeren Campagne M, et al. Mechanisms of age-related macular degeneration and therapeutic opportunities. J Pathol. 2014; 232(2):151-64. doi: 10.1002/path.4266.

ダウンロード(PDF 478KB) [9]


Source URL: https://www.novartis.co.jp/news/media-releases/prkk20191023

Links
[1] https://www.novartis.co.jp/news/media-releases/prkk20191023
[2] https://www.novartis.com
[3] https://nei.nih.gov/health/maculardegen/armd_facts
[4] http://www.who.int/blindness/causes/priority/en/index7.html
[5] http://www.nhs.uk/Conditions/Macular-degeneration/Pages/Introduction.aspx
[6] https://www.aao.org/preferred-practice-pattern/age-related-macular-degeneration-ppp-2015
[7] http://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2354604
[8] https://www.healthline.com/health/metamorphopsia
[9] https://www.novartis.co.jp/sites/www.novartis.co.jp/files/pr20191023.pdf