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ノバルティス、Piqray®(アルペリシブ)がPIK3CA変異を有するHR陽性/HER2陰性進行性乳がん患者における生存率向上に寄与するとのSOLAR-1試験結果を発表 [1]

Publish Date: 
2020年 10月 12日

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2020年9 月19日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.com [2]をご参照ください。

  • SOLAR-1試験の最終解析において、「Piqray(アルペリシブ)」と「フルベストラント」の併用投与は、フルベストラント単剤投与と比較し、PIK3CA変異を有するHR陽性/HER2陰性進行性乳がん患者の全生存期間(OS)について約8ヵ月延長効果を示す1
  • 肺または肝臓への転移が認められる患者においては、14ヵ月を超えるOSの改善を達成。これらの転移は閉経後のHR陽性進行性乳がん患者の41%に認められており治療が難しいと考えられている1-3
  • 今回の結果は、PIK3CA変異を有する進行性乳がんに対して承認取得済みの唯一の治療薬であるPiqrayの有効性へのさらなるエビデンスに

2020年9月19日、スイス・バーゼル発-ノバルティスは本日、SOLAR-1試験の全生存期間(OS)に関する解析の最終結果を発表しました。この試験は、PIK3CA変異を有するホルモン受容体陽性、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HR+/HER2-)の進行性乳がん患者を対象に、「Piqray®(アルペリシブ)」と「フルベストラント」の併用療法をフルベストラント単剤療法と比較評価したものです。Piqrayは、PIK3CA変異を有するHR+/HER2-進行性乳がんの患者を対象に、欧州、米国およびその他15ヵ国において承認を取得している唯一の治療薬です。今回の分析データは、欧州臨床腫瘍学会議(ESMO)の2020年バーチャル年次総会において発表されました。

この試験では、フルベストラント単剤投与に比べ、「Piqray(アルぺシブ)」と「フルベストラント」の併用投与を受けたPIK3CA変異を有する患者において、8ヵ月のOSの改善が確認されました(OSの中央値:39.3ヵ月 vs 31.4ヵ月、片側検定のp値≤ 0.0161、ハザード比[HR] = 0.86、95%信頼区間[CI]:0.64~1.15、p=0.15)1。この差は、PIK3CA変異を有する乳がん患者におけるOSの副次的指標について、事前に設定した統計的有意差の閾値には到達しませんでした。肺または肝転移を有する患者では、14ヵ月を超えるOSの改善が認められました(OSの中央値:37.2ヵ月 vs. 22.8ヵ月、HR = 0.68、95% CI:0.46~1.00)1-3。

フランスのヴィルジュイフにあるギュスターブ・ルシーがん研究所(Institut Gustave Roussy)腫瘍内科の教授で、リサーチディレクターとINSERM Unit U981の責任者、かつ、SOLAR-1国際共同試験の責任医師でもあるファブリス アンドレ(Fabrice André)医学博士(MD、PhD)は「今回の結果は、アルペリシブがこの治験に参加された患者における無増悪生存期間の中央値をほぼ2倍に延長することを実証したこれまでのデータを証明しています」と語っています。「PIK3CA変異があり、肺や肝臓への転移を有する患者の腫瘍は悪性度が高く、治療も困難です。今回の結果は、アルペリシブが延命効果をもたらすことを示し、期待の持てるものとなりました。」
さらに、「Piqray(アルぺシブ)」と「フルベストラント」を併用投与した患者では、フルベストラント単剤を投与した患者と比較して、化学療法の必要性が9ヵ月遅延しました。(23.3ヵ月 vs. 14.8ヵ月、HR = 0.72、95% CI:0.54~0.95)1。「Piqray(アルぺシブ)」と「フルベストラントを併用投与した患者では、生活の質(QOL)が維持されました。

ノバルティスオンコロジーのプレジデントであるスザンヌ シャファート(Susanne Schaffert、PhD)は、「生存率改善を示した今回の結果は、PIK3CA変異を有するHR+/HER2-乳がん患者さんの40%の方が、大切な人との時間をより長く過ごせること、大切なことにもっと時間を使えるようになることを意味します」と語っています。「私たちは進行性乳がんを治癒可能な疾患にするために全力を注いでおり、今回の結果は、PIK3CA変異を有する他のタイプの乳がん患者さんに対しても、『Piqray』を使った治療提供を模索する私たちの取り組みへの自信を後押しするものとなりました。」

なお有害事象については、過去に報告されたSOLAR-1試験の結果と一致しており、安全性への新たな懸念はありませんでした。

ノバルティスは、がん治療の未来を描く為に大胆なアプローチを続けています。ノバルティスの最新情報や、ESMOの2020年バーチャル年次総会のシンポジウムとデータ発表については、https://www.virtualcongress.novartis.com/ESMO20 [3]をご覧ください。

2020年7月、欧州委員会(EC)は、単独療法として内分泌療法を受け、その後に病勢が進行した、PIK3CA変異を有するHR+/HER2-局所進行性または転移性乳がんの閉経後女性および男性に対する、「Piqray(アルぺシブ)」と「フルベストラント」の併用投与について承認しました。

Piqray®(アルペリシブ)について

Piqrayは、内分泌療法中または内分泌療法後に進行したHR+/HER2-、PIK3CA変異陽性を有する進行性または転移性乳がんの閉経後女性および男性の治療を目的に、フルベストラントとの併用を意図して開発されたキナーゼ阻害剤です。Piqrayは、米国やEU加盟国を含む48ヵ国で承認されています。

* Piqrayは日本においてもPIK3CA変異陽性 HR+/HER2-の進行性または転移性乳がんの治療薬として開発中です。

SOLAR-1について

SOLAR-1試験は、アロマターゼ阻害剤単剤またはCDK 4/6阻害剤との併用で治療中または治療後に進行が認められた、PIK3CA変異陽性、HR+/HER2-の進行性または転移性乳がん閉経後女性および男性を対象とし、「Piqray(アルぺシブ)」と「フルベストラントとの併用療法を検証する、国際共同、第III相、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験です7-9。

この試験では、Piqray 300mgの継続的な経口投与群または1日1回プラセボ投与群に1:1の比率でランダム化割付けされた572名の患者において、第1サイクルのDay 1とDay 15、第2サイクル以降の28日サイクルのDay 1に、処方情報に従ってフルベストラント 500 mgの筋肉内注射を併用しました。患者は、中央検査機関による腫瘍組織評価の結果にもとづいて、PIK3CA変異を有するコホート(341例)とPIK3CA変異を有さないコホート(231例)のいずれかに割り当てました。層別化は内臓転移の有無と、CDK4/6阻害剤による治療歴に基づき実施しました7-9。患者および試験責任医師には、PIK3CAの変異状態と割付された投与群は盲検としました。

主要評価項目は、PIK3CA変異を有する患者における、無増悪生存期間です。重要な副次評価項目は全生存期間とし、追加の副次評価項目には、全奏効率や臨床的有用率、健康関連のクオリティ・オブ・ライフ、PIK3CA変異を有さないコホートにおける有効性、安全性、忍容性等が含まれています7-9。

ノバルティスの進行性乳がんにおける取り組みについて

ノバルティスは、優れた科学、協働、そして患者さんのケアへの情熱を元に、乳がんに取り組んでいます。大胆なアプローチで研究に臨み、臨床試験では顧みられないことの多い患者さん集団を組み入れ、疾患の進行に関与する可能性のある新たな経路や遺伝子変異を特定するとともに、患者さんの生活の質を維持するだけでなく、向上に貢献してきました。これまでも、これからも、私たちは、進行性乳がんと診断された患者さんの生活を改善し、生存期間を延長に寄与する治療提供に取り組んでいきます。

免責事項

本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は145ヵ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com [2]
 

以上

参考文献

  1. André F, Ciruelos EM, Juric D, et al. Overall Survival (OS) Results From SOLAR-1, a Phase 3 Study of Alpelisib (ALP) + Fulvestrant (FUL) for Hormone Receptor-Positive (HR+), Human Epidermal Growth Factor Receptor 2-Negative (HER2–) Advanced Breast Cancer (ABC). Presented at the European Society for Medical Oncology (ESMO) Congress, September 19, 2020 (LBA18).   
  2. Harb, WA. Management of patients with hormone receptor-positive breast cancer with visceral disease: challenges and treatment options. Cancer Manag Res. 2015;7:37-46.
  3. Wang R, Zhu Y, Liu X, et al. The Clinicopathological features and survival outcomes of patients with different metastatic sites in stage IV breast cancer. BMC Cancer. 2019;19(1):1091.
  4. The Cancer Genome Atlas Network. Comprehensive molecular portraits of human breast tumours. Nature. 2012;490(7418):61-70.
  5. Miller TW, Rexer BN, Garrett JT, Arteaga CL. Mutations in the phosphatidylinositol 3-kinase pathway: role in tumor progression and therapeutic implications in breast cancer. Breast Cancer Res. 2011.
  6. Saal LH, Johansson P, Holm K, et al. Poor prognosis in carcinoma is associated with a gene expression signature of aberrant PTEN tumor suppressor pathway activity. Proc Natl Acad Sci U S A. 2007;104(18):7564-7569.
  7. Piqray (alpelisib) Prescribing Information. East Hanover, New Jersey, USA: Novartis Pharmaceuticals Corporation; May 2019.
  8. André F, Ciruelos E, Rubovszky G. Alpelisib for PIK3CA-Mutated, Hormone-Receptor-Positive Advanced Breast Cancer. N Eng J Med. 2019.
  9. André F, Ciruelos EM, Rubovszky G et al. Alpelisib (ALP) + fulvestrant (FUL) for advanced breast cancer (ABC): Results of the phase III SOLAR-1 trial. Annals of Oncology, Vol 29, Suppl 8, October 2018, Abstract LBA3_PR.

ノバルティス、Piqray®(アルペリシブ)がPIK3CA変異を有するHR陽性/HER2陰性進行性乳がん患者における生存率向上に寄与するとのSOLAR-1試験結果を発表(PDF 466KB)  [4]


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