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6月9日、ノバルティス ファーマ株式会社 代表取締役社長 ダーク・コッシャが東京都内で記者会見を行いましたので、お知らせいたします。

会見では、医師主導臨床研究や副作用報告遅延等の一連の事案についてお詫びするとともに、弊社が一年間取り組んできた企業風土の改革や、新薬開発パイプラインを中心とした今後の展望について説明させていただきました。

【会見要旨】
はじめに、医師主導臨床研究や副作用報告の問題に関して、患者様とそのご家族、医療関係者の皆様をはじめ多くの方々に多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを、改めて心よりお詫びいたします。弊社はこの問題を真摯に受け止め、これからも患者の皆様、医療関係者の皆様、日本社会からのさらなる信頼回復に向け全力で努めてまいります。

2014年4月の社長就任後、新経営陣とともに再発防止や企業文化の改革などに取り組んでまいりました。

  • 医師主導臨床研究に関して:
    2014年7月、ノバルティスは医師主導臨床研究に関するグローバルガイドラインを新たに策定し、医師主導臨床研究の支援のあり方を全面的に改めました。医師主導臨床研究の全プロセスを通じて、コマーシャル部門の関与を禁じ、今後、日本で使用できるプロモーション資材は、原則、本ガイドラインに従って実施された契約型の医師主導臨床研究のみを引用することとしました。

  • 研究助成に関して:
    2014年4月に奨学寄付の一時中断を発表しておりましたが、昨年末から従来の奨学寄付を取りやめ、これに代わる新しい研究助成の方針を導入しました。資金の透明性を確保すると同時に、弊社製品に関連しないもので、テーマが科学的かつ明確な研究のみを助成することとしました。

  • 副作用報告遅延の再発防止に関して:
    2014年8月に厚生労働省に提出した改善計画に沿い、弊社社員に対する教育研修を徹底・継続するとともに、関連する社内プロセスの改善等、再発防止のための体制整備を進めています。

    弊社記者会見について
  • 企業文化・風土の改革に関して:
    ノバルティスの企業文化を改善し、全社員が会社の方向性を共有するため、2014年12月、全社員の意見を基に、新たなビジョンを策定しました。また、2015年の初めに、企業価値に基づく行動指針であるバリュー&ビヘイビアの見直しも行いました。

ノバルティス ファーマ(株)の新ビジョン(PDF 67.6 KB)

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今後も信頼回復に向けた努力を継続していくことが私たちの最優先事項です。そのために、倫理的な行動とコンプライアンスの遵守に基づいて事業活動を行い、日本の医療に貢献できるよう努力いたします。

そのうえで、私たちがどのように患者さんに貢献できるか、今後の活動についてご説明します。

  • 真に患者さんに貢献できる新薬の提供:
    今年の2月に、米国や欧州など世界に先駆けて日本で生物学的製剤である尋常性乾癬と関節症性乾癬の治療薬を発売することができました。乾癬は患者さんの生活に長期にわたる影響を与える慢性の炎症性疾患です。治験で既存の生物学的製剤より優れていることが示されています。今後も、このような真に患者さんに貢献できる新薬を医療現場にお届けしていきたいと思います。 

  • 豊富な製品ポートフォリオ開発パイプライン:

    弊社記者会見について

    2015年3月、グラクソ・スミスクラインとのオンコロジー領域の事業移管が完了しました。これにより、製品ポートフォリオと開発パイプラインが強化されました。オンコロジー領域はアンメットメディカルニーズの中でも最も重要度の高い領域の一つと言われており、多くの患者さんが革新的な治療薬の登場を心待ちにされています。ノバルティスはできるだけ早く患者さんに優れた新薬を届けていきたいと考えています。
    また、全領域の開発パイプラインの中にもアンメットニーズを克服できる可能性のあるものを多数有しています。

日本の開発パイプライン(2015年4月現在) (PDF 131 KB)

  • 細胞医療と遺伝子治療について:

    弊社記者会見について

    医薬品は低分子薬から生物学的製剤へ進化し、これからは細胞医療と遺伝子治療が、ライフサイエンスの柱になると考えています。CAR-T(カート)セラピーという、非常に有望な細胞医療と遺伝子治療に関する開発領域があります。これは、患者さん別に治療法を開発するという革新的な手法で、患者さんから免疫細胞を採取し、癌細胞を攻撃するよう改変して患者さんに戻すというものです。現在、グローバルの開発チームが、米国以外で2015年に実施予定の臨床試験の実施施設について慎重に検討を行っています。

細胞医療・遺伝子治療は将来のライフサイエンスの柱となる (PDF 145 KB)

この一年間、経営陣と社員とともにこれまでの問題を解決し、会社の文化を変革する取り組みを行ってきました。改革は進んでいますが、まだなすべき事は多く残っています。

私たちは患者さんに真に貢献できる革新的な医薬品をできるだけ早く医療の現場にお届けするという使命を持っています。患者さんのために最善を尽くし、失った信頼を少しでも取り戻せるよう努力を続けていく所存です。

以上