栄養状態で治療が変わる

栄養状態で治療が変わる

栄養状態で治療が変わる


副作用や療養環境に問題があるならば、栄養管理室だけの問題ではなく、病院全体で取り組むべき問題だ――。そう考えたものの、入職した当初のがんセンターは、管理栄養士の桑原さんにとって、"アウェー"だった。
「たとえば糖代謝異常の治療であれば、管理栄養士がかかわるのが当たり前で、私たちが食事状況の把握・評価をした後に医師が診察するという流れになっていました。ところが、がんの場合、管理栄養士が介入して栄養管理をするという習慣がなかったのです」
食にまつわる副作用に関する説明にしても、対応するのは看護師で、これまでの経験のなかで蓄積してきた情報を伝えていた。もちろん貴重な情報ではあるものの、決して、食品や栄養素、食べ方にまで精通しているわけではない。

もどかしく感じていた矢先に、志のある2人の医師が「NST(栄養サポートチーム)を立ち上げよう」と、桑原さんに声をかけてくれた。そして、医師2人、看護師1人と桑原さんという小さなチームが立ち上がった。

栄養状態で治療が変わる

「栄養状態が悪い患者さんに困っていた医師もいました。それで、NSTとして私たちが介入したところ、食欲がなくて食事を取れなかった人が口から食べられるようになり、顔色が良くなって、目の焦点が合うようになり、元気になったんです。患者さんが元気になると、家族も安心して元気になります。そういうケースが2、3例出てくると、栄養管理に対する病院内の評価も変わっていきました」
また、栄養状態が悪くて腸管免疫が下がれば、たとえば、3クール予定していた抗がん剤治療を2クールで中断せざるを得ないということも起こり得る。「栄養状態がよければ、予定通りの治療を行えるわけです。栄養を通じて患者さんの状態を良く保ち、最善の治療を受けられるように支援することが、私たちの重要な役割なんです」と、桑原さんは説明する。


Source URL: https://www.novartis.com/jp-ja/treatment-changes-depending-nutritional-status

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