大なり小なり、みんな被災者

大なり小なり、みんな被災者

大なり小なり、みんな被災者


石岡さんは、震災から3週間が経った頃、被災地のがん医療の状況を知るためにアンケートを行った。「震災のような非常事態では、治療がどのくらい遅れるのか」、気になったからだ。

東北6県の35病院を対象に調査を行ったところ、放射線治療は1週間後、抗がん剤治療は2週間後、手術は1ヶ月以上経ってから再開していたことがわかった。

建物、スタッフにほとんど被害はなく、電気、水道の復旧も早かった東北大学病院でも、抗がん剤治療を再開したのは、3月22日のことだ。仙台市内に住み、直接的な被害を受けなかった患者さんからは、「いつ再開してくれるのか」、不安の声もあった。その間、待機患者さんにはスタッフが手分けして連絡し、予約を取り直した。

さらに時間がかかったのは、やはり手術だ。手術の場合、術後に感染症などの病気を起こすことがある。もし、多くの人が共同生活を行っている避難所で感染症が広がれば一大事だ。また、同院の場合、手術器具はガスで滅菌している。病院全体にガスが通るまでに1週間以上かかったことも、再開を遅らせた要因の一つだった。

「みんな、大なり小なり被災者なんです」。石岡さんは言う。


Source URL: https://www.novartis.com/jp-ja/greater-lesser-everyone-victims

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