患者様と医師の間に必要な「デジタルの橋渡し」。医療業界に貢献するデジタルコミュニケーターの価値

対面での面談が当たり前だった医師にとって、Web面談やメールなど、デジタルでのコミュニケーションをどう感じ、考えているのでしょうか。デジタルコミュニケーターを活用している多治見病院の市川先生にお話を伺いました。

Nov 13, 2023

市川 元司 先生
平成5年に医師資格を取得。岐阜県立多治見病院にて感染管理部長を務める。

日本内科学会認定内科医 / 日本内科学会総合内科専門医 / 日本呼吸器学会専門医・指導医 / 日本結核病学会 結核・抗酸菌症指導医 / ICD(インフェクションコントロールドクター)/ 日本医師会認定産業医 / 日本アレルギー学会専門医 / 日本感染症学会暫定指導医・専門医

患者さんのお困りごとに対して、適切な診断ができる医師になりたい

私は現在、岐阜県立多治見病院の感染管理部長を務めています。この役職に就いてからはまだ数年ですが、呼吸器内科医つまり医師になったのは、30年以上も前のことになります。

私は小さい頃に大病を患いました。手術後も通院を続け、病院やドクターの雰囲気を身近に感じながら育ちました。子供の頃の病気がきっかけで医療の世界を目指す医師は多いものですが、私もそのうちの一人でした。

私は医師として「何でも屋」になりたいと思っていました。呼吸器内科を選んだのも、感染症、腫瘍、アレルギー疾患など、ほぼ全ての領域が含まれるからです。私が医師になった当時はまだ、総合診療というものはありませんでした。当時総合診療があれば、総合診療医になっていたかも知れません。何でも屋になりたかったのは、どんなお困りごとを持つ患者さんに対しても、全般的な知識で対応することができるからです。私はそんな姿を目指して医師を続けてきました。今は、呼吸器内科医というサブスペシャリティ領域を持ちながら、総合的に診断できることが重要と考えています。

現在、私は感染管理部門の責任者を担っています。感染管理部門とは、患者さんやご家族、病院職員など病院に出入りするすべての人々を感染から守る役割を担う部門です。ネット社会の現代では、例えばガンのことなら、ネットで調べれば簡単にたくさんの情報が入ってきます。しかし感染症の分野は、抗菌薬の開発がされなくなっているという時代背景もあり、あまり情報がありません。いかに迅速に正確な情報を得るか。どの分野でもそうですが、とくに感染症はそこが重要だと感じています。

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Web面談になり情報の早さや正確さがレベルアップ

ノバルティスさんとは以前から定期的なやりとりを続けていますが、2023年にデジタルコミュニケーター(DC)が発足してからは、コミュニケーション方法が対面からWeb面談に変わりました。対面には対面の良さがあり、それを希望されるドクターがいるのもわかりますが、私個人としてはWeb面談をとても気に入っています。

その理由としてはまず、本社の方や専門的な知識を持った方が、同席しやすい環境になったことがあげられます。これまでの対面式ではまずMRさんに質問し、もしその場で答えられない場合は、一度持ち帰って確認してもらうという形でした。Web面談の場合は、最初から知識を持った方も一緒に参加してくれるので、その場でリアクションをもらえるし、聞きたかったことと回答の時差がなくなりました。早さや正確さなど、様々な面で情報のレベルが格段に上がったと感じています。

一口に医師といっても、色んな医師がいます。製薬会社の方が十人十色の医師に対応するには、やはり場数というものも必要です。面談に複数人が参加することを好まない先生もいますが、私としては、一度で複数人の経験値になるWeb面談は、医療界にとって良いことだと思っています。

また医師というのは、患者さんの体調の変化や、救急の患者さんの対応など、どうしても約束を反故にしてしまうこと、いわゆるドタキャンをしてしまうことがよくあります。せっかく来てくれたMRさんにそのまま帰っていただくしかなかったことも、一度や二度ではありません。その点についてもWeb面談ならアポイントの取り直しがしやすく、助かっています。時間調整が楽になることは、医師の働き方改革にもつながると思います。

世の中ではあらゆる分野でデジタル化が進み、上記のように私としても恩恵を受けています。ただ医療業界のデジタル化が、完全に患者さんに貢献できているかといえば、まだそんなことはないと思っています。

というのも、今ネット上には膨大な医療情報がありますが、私から見るとニュートラルなものは決して多くありません。公的病院や大学病院のホームページにはニュートラルで正しい情報が載っていますが、アップデートが少し遅く、書き方にしても一般の患者さんにとっては堅苦しく理解が難しい傾向にあります。

患者さんが自分の症状や病気について勉強したいと思うのは、ごく自然なことです。しかし現状、医療従事者でもない限り、ネット上の医療情報が正しいかどうか、ニュートラルかどうかを判断するのは困難です。そこでもし「ここの情報は信用できるから読んでおいて」と患者さんに紹介できるサイトなどがあれば、医者としてとても助かります。

患者さんと医師の間にデジタルの橋渡しをする。そのためには、ノバルティスさんをはじめ民間の力が必要です。その実現を待ち望んでおります。

https://www.drs-net.novartis.co.jp/dr/web_reserve/